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プレミアム・リーグ入りを目指すサーブの新型9-3スポーツ・セダン


サーブ 9-3 スポーツ・セダン






北国の春、って感じです。


02年のパリ・サロンでデビューしたサーブ9-3スポーツ・セダンが日本上陸。 BMW3シリーズの市場に切り込めるか?


文=今尾直樹 写真=望月浩彦

サーブ 9-3 スポーツ・セダン
こちらはアーク2.0t。まごうかたなきサーブのお顔。対して、リアはやや無個性。ハッチバックを望む声もあるとか。衝突安全ボディはユーロNCAPでGM車初の5つ星を獲得。Aピラーからルーフにかけては大鹿がぶつかっても大丈夫なように強化されている。
がんばれ、サーブ! そおれっ!
 1990年にGMグループ入りしたスウェーデンの自動車メーカー、サーブはいまプレミアム・ブランドの仲間入りを目指して奮闘中。がんばれ、ベアーズ! じゃなくて、サーブ! そおれっ(応援のかけ声のつもり)。
 それというのも、サーブは年産10万台の少量生産。このような規模では世界自動車戦争を価格面で勝ち抜くのはむずかしい。そもそも過去10年間、BMW3、メルセデスC、アウディA4に代表されるプレミアム・コンパクト・クラスは世界全体で約50%増加した成長市場。サーブは98年に送り出して以来の2代目9-3シリーズでもって、この市場に本格参入し、自らの生産台数を5年で倍増させようという高度経済成長計画のさなかにあるのだ。
 今回日本上陸を果たした9-3スポーツ・セダン。伝統のハッチバックを捨て、4ドアの正統セダンというボディ形式を選択したのは、同クラスの販売の60%をセダンが占めているから。わざわざ「スポーツ・セダン」を名乗って登場したのは、BMWに挑む心意気でしょう。3月のジュネーブでカブリオレが、さらにのちにワゴンが追加されることもある。
 全長4635×全幅1760×全高1465mmのボディ・サイズは先代比50mm幅広いのが目立つ。ホイールベースは同じく先代より70mm長い2675mm。これらの数字はぶっちゃけ(若い人の用語)、ベースのオペル・ベクトラに近いがビミョーに異なる。日本仕様は、(1)150psのリニア1.8t、360万円(2)175psのアーク2.0t、415万円(3)210psのエアロ2.0T、470万円の3種。1.8tも含め、すべて2リットル直4DOHCターボで、エンジン性能はターボの違いで差別化される。(3)のエアロ2.0Tは5月発売。
新型9-3のコンセプトを質問されたサーブのエンジニアが描いたというポンチ画
新型9-3のコンセプトを質問されたサーブのエンジニアが描いたというポンチ画。ドライバーが笑っちゃうような楽しいクルマです、の意。
驚くべき滑らかさと自然なフィール
 小田原周辺で最初に乗ったのは、(2)のアーク2.0t。タイヤはグッドイヤーNCTで、サイズは215/55R16。これがね、いいクルマなんです。それも地味ぃにいいクルマ。驚くべき滑らかさと、自然なフィールを持つFFセダンなのであった。
 外観はフロント・グリル中央のメッキのバーにSAABと入っていて、グリフィン・マーク以前のサーブを思わせるところが泣かせる。サーブ・スタイルを継承したインテリアも泣かせる。
 ボディ剛性は2倍以上カタい。それでいて、電動指圧付きのイスみたいにソフトなレザー・シートが体をやさしく包み込んでくれる。フライ・バイ・ワイアのアクセルはレスポンス早めの設定で、アイシンAWの5ATの組み合わせもあって、いわゆるターボラグはほとんどない。サーブいわく、「オーストラリアのエアーズロックのような」トルク曲線は、アーク2.0tの場合、たった2200rpmで頂上に達する。タイヤのあたりもソフトな印象で、乗り心地がいい。エンジン・ノイズも静か。和み系の癒し系。それでいてノロマなカメにあらず。
 そもそも直4ターボはオペルのエコテックがベースながら、ボア×ストローク=86×86mmのエンジン・ブロック、クランクシャフト、コンロッド、ピストン、それに電子制御システム等はサーブ・オリジナル。76年の99ターボで初のターボ量産車を登場させたサーブはGM内にあってターボの技術リーダーだそうで、ギャレットGT20ターボチャージャー、過給圧0.7バールを使いこなしている感じ。箱根ターンパイクでも回頭性は優秀。リアのパッシブ・ステア、「リアクシス」の恩恵もありましょう。
 あとで乗ったリニア1.8tは個体差かもしれないけれど、2.0t比やや非力はいいとして、エンジン音がうるさい。16インチとレザーのスペシャル・パッケージ、16万円も好感もてず。オススメはアーク2.0tと見た。人をほころばせる北国の春のようなクルマです。千昌夫じゃないよ。



壁のように広がるインパネはサーブ・デザインの継承
壁のように広がるインパネはサーブ・デザインの継承。スターター・キイは伝統通り、フロアに。排気を奥にして、重量配分を改善した横置き直4ターボ。アルミ・エンジンは旧型比15%軽量とか。かけ心地のよいシート。ジマンのアクティブ・ヘッド・レストは事故の際のムチ打ちを、非装着車比75%の割合で低減させるという。アルミのボンネットを採用するなどダイエットに努力していないわけではないが、車重は1480kgとちょっと重め。日本市場の販売目標は今年1500台。



2003年4月号掲載



 
 
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