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発売25周年に登場したメルセデス・ベンツG55AMGロング


MERCEDES-BENZ G55 AMG LONG  メルセデス・ベンツG55AMGロング
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MERCEDES-BENZ G55 AMG LONG  メルセデス・ベンツG55AMGロング
サイド・プロテクション・モールと横出しのエグゾーストが輝く。全長×全幅×全高=4530×1860×1950mm。ホイールベース=2850mm。車重=2460kg。1169.7万円のG500ロングよりイッキに400万円超高い。ステータスとしかいいようがない。



能ある鷹は爪を隠す。


昨年、5.4リッターV8が過給機付きに換装されたG55AMGロング。
古式ゆかしいボディと驚愕の476psの組み合わせ。ようやくテストする機会を得たスーパーSUVの性能やいかに?
文=今尾直樹(本誌) 写真=望月浩彦




老兵は死なず

 「老兵は死なず」といったのはマッカーサー元帥。なぜか、G55AMGロングをドライブしていると、その言葉が浮かんだ。メルセデスのオフ・ローダー、Gクラスは昨年、発売25 周年を迎えた。そもそもは1975年、メルセデスの株主であった当時のイラン国王の要請により軍用車として企画された、強固なラダー・フレームを持つ本格クロス・カントリー・ヴィークルである。実際の開発はオーストリアの4WDスペシャリスト、シュタイア・ダイムラー・プフ(当時)と共同で行われ、生産はシュタイアが担当している。
 79年の発売以来、エアコンとATを81年に用意、常時4WD、デフ・ロックを90年から標準装備するなどモダン化が図られ、25年間の生産累計は17万5000台。じつは2001年から03年にいたってようやく生産のピークを迎える。01年からアメリカへの輸出が始まり、人気を博したからだ。このブームが日本にも波及したのは記憶に新しいところ。
 スーパー・メルセデスたるAMG版の登場は99年のこと。といっても、搭載されたエンジンは(いまとなっては)控えめな自然吸気の5.4リッターV8で、354psでしかなかった。で、発売25周年の昨年、自然吸気に代えて登場したのがおなじみのスーパーチャージドV8で、こちらはプラス100ps超のじつに476psの高出力と71.4kgmの大トルクを生み出す。老兵に移植された人工心臓の威力は目覚しく、この四角いボディを210km/hに到達させ、0-100km/h加速に5.6秒しか要しない。つまり、03年発表のカイエン・ターボ、450psの迎撃用として生まれたワケです。



百獣の王

 加速はたしかに目覚しい。150km/hからだって、望めば豪快に加速する。とはいえ、私が思いますに、これは高速道路を速く走るためのスーパー4WDではない。風切り音も盛大だし、固められた乗り心地は跳ねるし、サスペンションはいかにもストローク感がない。エンジンは建設機械風のノイズしか立てず、芸術点は1点も入れられない。山道も行ってみたが、低められているとはいえ、高い重心は隠しようもなく、次のコーナーが待ち遠しいという境地にはなれない。ウッドパネルを貼りまくった超豪華なトラクター、と申し上げると怒られるでしょうか。お値段は1606万5000円とスーパーカー並みで、目立ちたいんだったら、同じトラクターでもランボルギーニをオススメしたい。
 ところが、翌日、都内で撮影のためにウロウロしていると、G55AMGロングのよさがようやくわかってきた。四角いボディで着座位置が高いから、見切りはいいし、見通しもいい。車重は2460kgもあるけれど、努力ナシでスッと加速する。操作系はたしかに重いが、高速道路を走っているときほどにはステアリングも重くない。加速する際、ライオンのようにガオオッと吼える。そもそもエンジンを始動したときに、ガオオッと雄叫びをあげ、グイッと1本、今日もドライバーを元気にさせてくれる。こいつはコンクリート・ジャングルを徘徊する百獣の王なのだ。ガオオッ!
 それでいて、あくまで四角いプレーンなボディは、周囲に百獣の王であることを喧伝しない。後席も広いし、荷物も積めて実用的。都内を走っている限り、乗り心地はクラシック・カーのよう。あ、これはモダン・クラシック・カーなのだ。成功した中年のクリエーターが好む理由がわかりました。能ある鷹は爪を隠す。

MERCEDES-BENZ G55 AMG LONG  メルセデス・ベンツG55AMGロング

ゴージャスなウッドとレザーで埋められた運転席まわり
ゴージャスなウッドとレザーで埋められた運転席まわり。それでも男の仕事場っぽく感じる。5.4リッターV8スーパーチャージャーは476ps/6100rpmと71.4kgm/2650-4000rpmを発生。SやSLの55AMGよりちょっぴりデチューンしてある。全高2m近いだけに居住空間は広々している。着座位置は高くアップライト気味に座る。前後285/55R18の横浜のSUV用高性能タイヤ、AVS S/Tタイプ1を装着する。



(2005年4月号掲載)
 
 
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バックナンバーページの定価表記について
「ENGINE 2014年3月号」以前の定価表記は、発売時の定価になっております。
予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



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