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プジョーの新たなるフラッグシップ、クーペ407日本上陸!


PEUGEOT Coupe 407/プジョー・クーペ407
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PEUGEOT Coupe 407/プジョー・クーペ407
1898年の「タイプ21」以来、クーペづくりにかけては長い歴史を持つプジョーが、「406クーペ」の後継モデルとして世に問うた最新作。407セダンをベースとしながらも全長を130mm、全幅を40mm拡大し、新たなフラッグシップの名にふさわしい堂々たる体躯を持つ。フロントに横置きされる3リッターV6DOHCは、最高出力=210ps/6000rpm、最大トルク=29.5kgm/3750rpmを発生。アイシンAW製の6速ATを介して、前輪を駆動。ハンドル位置は左右選べる。全長×全幅×全高=4815×1870×1405mm。ホイールベース=2725mm。車重=1660kg。車両本体価格=549万円。



オトナの余裕って、こういうものか。


“世界でもっとも美しいクーペ”と賞された406クーペの後継モデルが登場。
猫科の猛獣を思わせる新世代プジョー顔を得た新型は、どんな乗り味を持つのか。
文=村上 政(本誌) 写真=柏田芳敬


名前を逆転させた理由

 ピニンファリーナの傑作、406クーペの生産終了から2年。その後継モデルたる“クーペ407”が日本上陸を果たした。今度のデザインは、プジョー・デザイン・センターによる内製。車名を“407クーペ”でなく“クーペ407”としたのは、傑作の誉れ高い先代をあらゆる面で超える新たなクーペをつくりあげたという、「プジョーの大きな自信と、誇りと、情熱の、静かな主張」(プレス・インフォメーション)の表れなのだとか。
 先代のいかにもクーペらしい流麗なラインを受け継ぎながらも、猫科の猛獣を思わせる新世代プジョー顔を得た新型のエクステリアは、単なる美しさを超えたダイナミックな躍動感を持ったクーペをつくり出そうという意志を感じさせる。とりわけ強調されているのは、低くワイドな身構えで、1870mmの全幅はBMW6シリーズよりも15mm幅広だ。全長は407セダンのホイールベースはそのままに、前後が130mm伸ばされており、真横から見ると長いオーバーハングがクラシックな印象をもたらす。
 長く重いドアを開けて運転席に乗り込むと、想像以上にボディが大きく、狭い地下駐車場ではとり回しに苦労したが、地上に出て、都会の雑踏を走り、高速道路に乗る頃には、ボディの大きさなど気にならなくなっていた。
 走り出しての第一印象は、クルマのすべての動きがスムーズで上質感、高級感にあふれていること。そして、室内がきわめて静かなことだった。210ps/29.5kgmのパワー&トルクを発生する3リッターV6ユニットは、1660kgの大きなボディを引っ張るには必ずしも強力とは言えないけれど、少し湿った重さをともなって吹け上がっていく感触には、オトナの色気のようなものが感じられる。
 さらに特筆すべきは、電子制御の可変ダンパーを備えた前ダブル・ウィッシュボーン、後マルチリンクの足まわりだ。これまでのプジョーの“猫足”より硬めだが、しなやかさや外乱に対するいなしのうまさは相変わらずで、フラットなオトナっぽい乗り心地が絶品だ。ちなみに、この可変ダンパーにはスポーツ・モードもあり、ボタンひとつで切り替え可能。スポーツにするとハッキリと硬くなり、ロール量も減るのが印象的だった。

PEUGEOT Coupe 407/プジョー・クーペ407
PEUGEOT Coupe 407


きわめて快適なドライブ空間

 室内の静粛性には、かなり細かな工夫が凝らされているようだ。たとえば、フロントとサイドのウインドウに採用された防音ラミネート・ガラス。2枚のガラスのあいだに特殊な防音フィルムが挟み込まれているのだという。そのおかげか、室内には、運転を楽しむために必要なエンジン音やロード・ノイズが聞こえてくるだけで、きわめて快適なドライブ空間が実現されている。
 大きく肉厚なレザー・シートの座り心地は、最近乗ったクルマのなかでは最高レベルの気持ちよさだった。長時間乗っていても、まったくお尻も腰も痛くならない。プジョーは、ダンパーとシートに関しては強いこだわりを持っており、どちらもいまだに内製なのだとか。そうでなければ、こんな独特の味は出せないだろう。
 東名高速を御殿場インターで下りて、箱根に向かう。峠道を走ってみて驚いたのは、こんな大きなナリにもかかわらず、きわめてハンドリングがいいことだった。ステアリングを切り込んでいくと、きれいにノーズがインを向く。ターン・インした後でも、アクセレレーターの操作ひとつでノーズの向きを変えられる。ちょっと抜いてやれば、スッとノーズが内を向くのだ。こんなに曲がっていいの? と問いかけたくなるくらいに。
PEUGEOT Coupe 407
 パワーを持て余しているわけではないから、決して飛ばしてやろうなどとは思わなかったが、適度にスピードに乗って、ひらひらとワインディングを駆け抜けるのは、無上の歓びだった。ああ、これがオトナの余裕ってものなんだろうな。私はひとりごちた。都会を、高速道路を、峠道を、飛ばすのではなく、ちょうどいいスピードで流すことの気持ちよさ。いまの自動車界を席巻するドイツ流のクルマづくりとは別の、優雅でゆったりとした時間が、このプジョーの新型クーペには流れていると思った。

PEUGEOT Coupe 407/プジョー・クーペ407
左から、フロント・マスクの特徴は、新世代プジョー共通の大口グリル。コーナリング性能は秀逸だ。上質なレザーとつや消しアルミをうまくコンビネーションさせたインテリア。5連メーターは見やすいブラックの文字盤を持つ。横から見ると、オーバーハングの長さ(とりわけフロント)がよく分かる。エンジンは407セダンと同型の3リッターV6のみ。



(2006年8月号掲載)
 
 
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