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フォード・フォーカスSTに富士スピードウェイで乗る。


FORD FOCUS ST/フォード・フォーカス ST
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FORD FOCUS ST

フォード・フォーカスST
STは“Sport Technologies”の頭文字。WRCをはじめとするモーター・スポーツ車両の開発も手がけるフォード・チームRSが、昨年8月にモデル・チェンジした新型フォーカスをベースに独自のチューニングを施したのが、このSTだ。フロントに横置きされる2.5リッター直5インタークーラー付きターボ・ユニットは、最高出力=225ps/6000rpm、最大トルク=32.6kgm/1600-4000rpmを発生。6速マニュアル・トランスミッションを介して前輪を駆動する。サスペンションは、前マクファーソンストラット/後マルチリンク。タイヤ・サイズは、225/40R18。車両重量=1430kg。車両本体価格=320万円。






GTIよりスポーツ志向


先月、日本上陸したばかりの新型フォーカスSTにサーキットで試乗した。
フォード・チームRSが手がけたハンドリング・マシンの実力や、いかに。
文=村上 政(本誌) 写真=神村 聖



よく曲がるセッティング

 新型フォーカスSTに富士スピードウェイで試乗できると聞いて、なにがなんでも参加したいと思ったのは、いつも乗っているVWゴルフGTIとのハンドリングの違いをサーキットで確かめたい、と思ったからだ。
 いきなり私事で恐縮だが、私はいま、とても悩んでいる。ゴルフGTIカップ・カーの足まわりが今年から変更され、車高と減衰力調整付きのものになり、ハンドリング特性が去年のノーマル状態のものとまるで変わってしまった。で、いったいどういうハンドリングを理想にしてセッティングを煮詰めていったらいいのか、わからなくなってしまったのである。
 果たして、世界でも指折りのハンドリング・カーと言われるフォーカスSTは、サーキットでどんな走りっぷりを見せてくれるのだろうか。もしかしたら、なにか参考になるかも。というわけで、興味津々、富士スピードウェイに乗り込んで、フォーカスSTで本コースを走ってみて、ゴルフGTIとは意外に大きなハンドリングの味付けの違いがあることを発見して、驚いた。
 ひとことで言えば、フォーカスSTはゴルフGTIよりずっとスポーツ志向が強く、よく曲がるセッティングになっていたのである。
FORD FOCUS ST/フォード・フォーカス ST
 もっと簡単に言うと、想像以上にお尻が出やすい。むろん、基本的には弱アンダーステアの味付けがしてあるのだろうが、ブレーキの残し加減やアクセレレーターの踏み方次第では、積極的にお尻を流すことも可能なセッティングになっていたのだ。
 たとえば、100Rを上っている時に速度を上げていくと、車体はどんどん外へ押し出されていく。しかし、そこでスロットルを少し戻すと、スーッとお尻が流れてノーズがインを向いてくれる。その動きが実にスムーズで淀みがない。滑り出しが自然で、滑り出してからのコントロール性もいいので、お尻が流れても、そうそうドキッとさせられることがない。
 これがゴルフGTIだと、そうはいかない。お尻がもっとドッシリと安定した感じで、なかなか滑り出さないし、ようやく滑り出してもズズッ、ズズッとゆっくり動いていく感じだ。もっとも、それは去年までのノーマルの足まわりを持ったGTIの話。それはそれで私は安定感のある乗りやすいハンドリングだと思っていたが、新たに導入されたカップ・カーの足まわりだと、ターン・インではアンダーステアが強いのに、コーナリング中にスロットルを抜くと唐突にノーズがインを向き、恐いことこの上ないのである。



エンスージアストのために

 「最新のゴルフGTIは、初代GTIとはまったくの別物だ。確かにフツウのゴルフに比べるとスポーティな味付けになっているけれど、GTIという感じではない。でも、フォーカスSTは旧型のSTよりも、もっとスポーティになっている。STの名に値するはずだ」
 こう胸を張ったのは、来日していたチームRSのビークル・インテグレーション・マネージャーで、新型フォーカスSTのチーフ・エンジニアでもあるポール・ワイガート氏。なるほど、これは面白い指摘だと思った。
 より多くの顧客を想定して開発されたゴルフGTIは、フォーカスSTと比べたら、ずっと安定志向が強い。だから基本的に、リアが絶対に流れないような足まわりになっている。そのため、サーキットなどを走ろうとすると、曲がりにくい印象を持つのだろう。レース用のカップ・カーにいたっては、もともと滑らないように設計されたサスペンションを、無理やり滑るようにイジっているのだから、バランスが崩れるのもムベなるかな、だ。
 一方、チームRSのロード・カー開発の哲学は、“エンスージアストによるエンスージアストのためのクルマづくり”だそうで、それならある程度、ターゲット・カスタマーを絞ってクルマを開発していくことも可能だろう。だからこそ、フォーカスSTのようなハンドリングのクルマを世に出すこともできるのだ。どちらがいいかは、使う側の考え方次第。あなたなら、どっち?


FORD FOCUS ST/フォード・フォーカス ST
(左から)センターコンソール上の3連メーターや、要所にあしらわれたアルミ・パーツがスポーティな雰囲気を醸しだすフォーカスSTの内装。レカロ製のスポーツシートを標準装備。当日は、フォード・チームRSが手がけた残り2台のSTモデル、モンデオST220とフィエスタSTにもチョイ乗りで試乗した。やはり素晴らしいハンドリングが印象的だった。



(2006年8月号掲載)
 
 
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