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上陸準備完了! キャリバー、アベンジャー、ナイトロの3モデルをスペインでテスト。


DODGE
中型SUV市場に嵐を呼ぶか? ダッジ・ナイトロ

ダッジが日本にやってくる!


十字グリルに四角いヘッドライト、四角い顔のダッジが日本上陸。
それに先駆け、スペインで開かれたダッジの国際試乗会で最新モデルのテスト機会を得た。
果たして、ヒップでホップでアメリカンなダッジは、どんなクルマなのか?
文=今尾直樹(本誌)
写真=ダイムラー・クライスラー日本
史上最多の商品攻勢
 ジョンとホレイスのダッジ兄弟が創立、1914年に発売した1号車、愛称「オールド・ベッツィー」に始まるアメリカの老舗自動車ブランドがダッジである。ダッジ兄弟の関心は「バリュー・フォー・マネー」であること。宣伝キャンペーンは「信頼に足る」という一語だけだった。
 現在ダッジはクライスラー・グループのブランドとして、米国市場でのシェア6%を占める。グループ内では販売トップ、米国市場では第5位のブランドで、06年の販売台数は134万5517台。昨年から米国以外の国際市場への輸出を本格化し、前年比185%増の3万527台を記録、緒戦大勝利を飾った。
 クライスラー・グループは今年の年末までに8車種の新型車を投入して、史上最多の商品攻勢をかける。そもそもクライスラーには、4年前の03年の時点で9車しかなかった。それを 07年には20車に倍増させようというのだ。さらに右ハンドルを6車から19車に、ディーゼル・エンジンを4車から16車に拡大するというのも輸出意欲の現われだろう。
 日本でのダッジ発売開始は本年6月から。
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SUVを思わせる下半身のガッシリ感と全高の高さがキャリバーの特徴。日本仕様は、装備類の違いでスタンダードとSXTの2グレードの設定。SXTは十字グリルがクロームになり、18インチの215/55タイヤが標準となる。標準は17インチ。
それに先駆け、日本導入の決まったベーシック・モデルのキャリバー、中型セダンのアベンジャー、中型SUVのナイトロの3モデルにスペインで乗る機会が設けられた。
「大胆(Bold)でパワフルで、能力(Capable)があって、賢い(Smart)」をブランド・キャラクターとし、真のアメリカンを掲げるダッジは、派手な外観とは裏腹に、乗ってみると 意外なまでに実用重視であった。


ゴルフには勝てっこない?
 ネオンの後継、または入門用ダッジとして06年にデビューしたのがキャリバー。英語で「(銃砲の)口径、手腕、能力」という意味の名前が与えられたこれは、北米外の市場を視野に入れて開発されたダッジ初の世界戦略車でもある。欧州ではVWゴルフ、プジョー307などの強豪がひしめく激戦区に挑む。挑戦者の武器は、個性的なデザインと競合車比約10%低い価格にある。
 機構的にはごくフツウのFF(4WDも一部ある)ハッチながら、ロボットを大量導入した世界最先端の高効率工場で生産し、ダイムラー・クライスラー、三菱、現代の3社合弁会社が開発した可変バルブ・タイミング付き直4DOHCを搭載することで、国際市場における競争力を獲得。「ワールド・エンジン」と呼ばれるこのエンジン、排気量1.8、2.0、2.4の3種があるが、日本向けは2.0+無段変速のCVTのみとなる。今回2リッターディーゼル・ターボ+6MTにも乗ったけれど、ここでは2.0+CVTに話を絞る。
 SUVとのクロスオーバーとされるエクステリア・デザインは、ダッジ共通の十字グリルと張り出したフェンダーが男らしくてステキだ。かわいらしさとは無縁。サイズ的にはプジョー307に近く、ゴルフより20cm長くて5cm高い。着座位置はミニバン並みに高くて、視界は良好。シフト・レバーがダッシュから出ているのもミニバン風で、運転席と助手席が空間的に分断されていないから、広々感がある。ゴルフより55mm長いホイールベースの恩恵で、後席足元も十分広い。


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(写真左)シンプルな運転席まわり。CVTは、6段のマニュアル変速もできる。
(写真中)後席は60:40の分割可倒式。助手席も倒せる。ミニバンの経験が生きる。
(写真右)屋外での活躍が期待されるスウィング式リフトゲート・スピーカー。

   156psの2リッター直4は回さなければ静かだが、動力性能的には遅い部類。JATCO製CVTのギア比が高めなこともある。おまけにこのCVT、滑り感が大きく、6段ステップをマニュアル・シフトできるが、変速タイミングはいささかおっとりしている。ステアリングもスローで遊びが大きく、スポーティなクルマではない。そのかわり、17、あるいは18インチ・タイヤでも乗り心地はゴツゴツしておらず、フツウの人がフツウに使う実用車としての能力をちゃんと備えている。室内の質感はチープだが、ネオンより安いのがウリのクルマ。ガマンしよう。
 ということで、キャリバー最大の魅力は、チャレンジング・スピリットにある、と私は思う。往路の機中、映画「ロッキー・バルボア」を観たが、勝てっこない、と誰もが思う相手に、「やってみなければ、わからない」と向かっていくのがアメリカの夢。♪パッパーパパパ、パーパパパ(ロッキーのテーマ)。泣けます。
  
 キャリバー
駆動方式FF
全長×全幅×全高4415×1800×1535mm
ホイールベース2635mm
車両重量1410kg/1420kg(SXT)
エンジン形式直列4気筒DOHC VVT付き
排気量1998cc
ボア×ストローク86×86mm
最高出力156ps/6300rpm
最大トルク190Nm(19.4kmg)/5100rpm)
ギアボックスCVT
サスペンション形式 前ストラット/コイル
サスペンション形式 後マルチリンク/コイル
ブレーキ前:通気式ディスク 後:ディスク
タイヤ215/60R17
車両価格未定
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兄貴分のチャージャーそっくりの外観。盛り上がったリア・ショルダーがステキだが、チャージャーと違ってこちらはFF(あるいは4WD)。張り出したホイール・アーチに17、あるいは18インチの大径タイヤがマッチョ・テイスト。リア・スポイラーはSXTグレードに標準装備。
温/冷カップ・ホルダー
 キャリバーのコンポーネンツを使った中型セダンがアベンジャーである。「復讐者、あだ討ち人」という名前のこれは、後述する中型SUVのナイトロに続き、ダッジ世界戦略車第3弾として07年2月に発表された。欧州でのライバルは、プジョー407、トヨタ・アヴェンシス、マツダ6(アテンザ)などだそうで、つまるところ日本車への復讐者(?)。
 帰ってきたマッスル・カー、兄貴分のダッジ・チャージャーを思わせるマッチョなエクステリア・デザインと、費用対性能でベスト・バリューを提供する、という意気込みの価格設定が2大必殺技で、外観はホント、チャージャーそっくり。ただし、キャリバー・ベースゆえ、後輪駆動ではなくFFなのがちょっと悲しい。もちろんFFのメリットはあって、室内が広い。ホイールベースはキャリバー比130mm長い2765mm。プジョー407より40mm長く、後席足元はじつにたっぷりしている。
 エンジンは2.0、2.4の「ワールド・エンジン」に加え、2.7リッターV6がラインアップされる。欧州向けに2リッターディーゼル・ターボもあるが、ここでは日本仕様に近い2.7リッターV6+4ATに話を絞ろう。
 足回りはキャリバーと同じ形式の前ストラット、後ろマルチリンクで、テスト車はブリヂストンの215/60R17サイズを履く。
60が示すように、外観はワルだが、乗り心地は硬すぎず、操作系は重すぎずで、キャリバー同様、意外とフツウ。V6ガソリンは回すとなかなか勇ましいビートを奏でるけれど、ギア比は高めで、100km/h巡航はトップ、2000rpmに過ぎない。燃費コンシャスで、ステアリングはスロー。それゆえ飛ばす気にならない。6段ATを準備中ということだが、これもおそらくハイ・ギアードに違いない。
 説明会で紹介されたテレビCMはよかった。大地を1台のアベンジャーが疾走している。その上空を最新鋭のジェット戦闘機が飛んでいて、なぜかミサイルを発射する。アベンジャーのジマンはヒーター/クーラー付きカップ・ホルダーを装備していることで、それをアピールすべくドライバーは温かいコーヒーをカップ・ホルダーに置いて保温スイッチを入れる。その熱に反応したミサイルが方向を変える! ドライバーはミサイルに気づかないまま、コーヒーを飲み終わり、ヒーターをオフにする。間一髪でミサイルは進路をそれ、ロード・サイドの大きな看板をぶち抜く。その裏にはネズミ捕りの警官が潜んでいて大慌て。そんなユーモア精神に共感できる人がダッジな人なのですね、きっと。
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(写真左)ダッジのマーク、牡牛からヒントを得たというV字型のセンター・パネル。
(写真中)缶飲料4本を収納するクーラー付きグローブ・ボックス。
(写真右)保冷温度2℃、保温温度60℃のヒーター/クーラー付
  
 アベンジャーSXT
駆動方式FF
全長×全幅×全高4850×1843×1497mm
ホイールベース2765mm
車両重量1520-1615kg
エンジン形式60°V型6気筒DOHC
排気量2736cc
ボア×ストローク86×78.5mm
最高出力188ps/6500rpm
最大トルク256Nm(26.1kmg)/4000rpm)
ギアボックス4AT
サスペンション形式 前ストラット/コイル
サスペンション形式 後マルチリンク/コイル
ブレーキ前:通気式ディスク 後:ディスク
タイヤ215/60R17
車両価格未定
鬼面、人を驚かす
 ナイトロは北米で昨年秋に発表された世界戦略車第2弾の中型SUVである。このクラスは、ナイトロがライバルとするヒュンダイ・サンタフェをはじめとしてFF乗用車のプラットフォームを流用したモデルが多いけれど、ナイトロは違う。機械部品の多くを今年のニューヨーク・ショウでデビューした新型ジープ・チェロキーと共有するからだ。つまり、近頃珍しいエンジン縦置き、後輪駆動ベースの硬派パートタイム4×4なのである。
 
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オートバイをヒントにしたというメーター類。
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(写真上)後席用ビデオ・エンタテインメント・システム。
(写真中)60:40の分割可倒式後席と、これも助手席可倒式。ファブリックは汚れがつきにくい抗菌仕様。(写真下)荷室には荷物を引き出しやすいスライディング・ボードを装備。最大荷重181kg。
 とはいえ、ダッジはストリートが舞台のブランド。4駆専業たるジープとの差別化を図るためもあり、ロー・レインジを省略して、オン・ロード重視のサスペンション・チューニングが施されている。その象徴が上級グレードのR/T標準となる20インチのアルミ・ホイールで、クローム・メッキされてビカビカに輝くこれを泥だらけにするツワモノは少ないだろう。ジープ顔の代わりに、十字グリルが貼り付けられたナイトロは、張り出したフェンダーとあいまって3台のなかで最も劇画チック。鬼面、人を驚かす。夜出くわすとコワイかも。
 エンジンは、4リッターと3.7リッターのガソリンV6SOHCに加え、2.8リッター直4コモンレール・ディーゼル・ターボが欧州では用意される。日本向けは3.7リッター+4ATの組み合わせだが、あいにくスペインでの試乗会には持ち込まれていなかった。以下、4リッターガソリン+5ATと2.8リッターディーゼル・ターボ+6MTの印象を総合しながら進めると、乗り心地は意外とマイルドで、高速巡航だとややフワフワする。欧州の高速交通に合わせてUS仕様より足回りを固めているそうだが、もう少し硬くてもいい。20インチ巨大ホイールでも、バネ下が重い感じがしないのはリッパだ。
 パートタイム4×4を駆動方式に選んだのは燃費を慮っての判断で、ナイトロもギア比は高め。3000rpm以上回すと、4リッターV6はうるさい。ステアリングのロック・トゥ・ロックは3.4回転で、超スロー。つまるところ、コワい顔のナイトロもまたフツウの人が安全かつ経済的に使う性能を最重視してつくられている。ダッジは生活派なのだ。
 ダッジの欧州でのウリは、大胆でパワフルなデザインとお値打ち価格。でも、円安の日本でどこまで価格政策を貫けるのか。日本では無名なのだから、大胆でパワフルな性能を持つ強力なイメージ・リーダーが必要に違いない。そのクルマの存在は、4月11日の東京お台場での発表会まで完璧に隠されていたのであった。
DODGE
この角度からだとジープと似ていることがわかる。20インチ・ホイールは馬車みたいにでっかい。日本仕様は16インチの日本仕様は16インチのSE、17インチのSXT、20インチのR/Tの3種類。一番力が入っている?
  
 ナイトロR/T
駆動方式後輪駆動/パートタイム4×4
全長×全幅×全高4587×1856×1773mm
ホイールベース2763mm
車両重量1875-1970kg
エンジン形式90°V型6気筒SOHC
排気量3700cc
ボア×ストローク93×90.8mm
最高出力205ps/5200rpm
最大トルク314Nm(32.0kmg)/4000rpm)
ギアボックス4AT
サスペンション形式 前ストラット/コイル
サスペンション形式 後5リンク/コイル
ブレーキ前:通気式ディスク 後:ディスク
タイヤP245/50R20
車両価格未定
 
 
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バックナンバーページの定価表記について
「ENGINE 2014年3月号」以前の定価表記は、発売時の定価になっております。
予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



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