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4代目へとフルチェンジしたオデッセイに説得力あり。


ホンダ・オデッセイ
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HONDA ODYSSEY


ホンダ・オデッセイ
1.8mの全幅、1.55mの全高は変えずに生み出された4代目オデッセイ。2.83mの軸間距離にも変更はないが、全長は30mmだけ伸びて4.8mちょうどになった。2列目に3名乗車が可能な7人乗りだが、基本は2+2+2で使うのが前提のシート形状となっている。ラインナップは173psユニットとCVT(4WDは5段AT)を組み合わせるシリーズ(M/L/Li)と、ハイオク・ガソリン前提の206ps(4WDは204ps)エンジンに5ATを使うアブソルートの基本4トリムで構成されている。
車輌本体価格は259.0〜361.0万円。



実をとった価値ある深化。


日本の上級ミニバン東の横綱オデッセイ。
地味なフルモデルチェンジはじつに意義深いものだった。
文=齋藤浩之(本誌) 写真=小野一秋



 「なんか、あまり代わり映えしないなぁ」というのが、新型オデッセイの実物を目にしての第一印象だった。初代から2代目、そして3代目へと大きなステップを踏んで、ホンダの大黒柱としての大役を担い続けてきたオデッセイも、ついに守りに入ったか? と思った。でも、ためつすがめつして、そうではないと分かった。
 初代オデッセイは今回と同じ神戸、六甲山で発表試乗会が行われた。今から14年前の1994年のことだ。そこで初めて乗って以来、初代モデルには何度も触れる機会があったけれど、乗るたびに画期的なクルマだと思ったのを思い出す。それまで日本では、3列シートの乗用車といえば、小高い前席下のアンダーフロアにエンジンを置いたFRレイアウトの1ボックス商用車を、乗用用途向けに転用したものが主流だった。1984年に大西洋の西と東でクライスラーのヴォイジャーとルノーのエスパスが出て始まったミニバンの時代は、日本ではまだ胎動期の只中。日産プレーリーや三菱シャリオの挑戦はあっても、この国にミニバン革命を起こすにはいたっていなかった。初代オデッセイはしかし、ミニバンの本当の意義を伝えることに成功して、日本は雪崩をうつようにミニバン時代に突入した。
 ミニバンの意義は、3列座席乗用車の室内空間の意味を決定的に変えたところにあった。それまで2列目と3列目で共有されていた空間が、1列目と2列目で濃密に共有されるものへと変わった。商用車転用型1BOX車の1列目と2列目の間にあった空間の不連続、心理的な障壁を、見事に取り払ったのだ。
ホンダ・オデッセイ
(写真上)18インチ・タイヤは交換時の費用は嵩むだろうけれど、乗り心地は積極的に16インチ仕様よりいい。
(写真下)俯瞰画像も見られる使いやすいカメラ・システムは全車にオプション。
 初代はもちろん大ヒットを飛ばし、それを全方位的に改良するモデルチェンジによって2代目が生み出された。初代にあった小さな欠点はことごとくつぶされて出来上がった2代目は、走る性能でも飛躍を見せて、ミニバンへの認識を改めさせることに成功した。けれど、そこに新たな不満が生まれた。後席、とくに3列目の乗り心地が硬すぎた。背の高い(重心の高い)クルマに3ボックス・サルーンなみの運動性能を与えようとすれば、快適性が犠牲になるのは当然のことだった。そこでホンダは、床下設計を突き詰めて“低床フロア”なる専用プラットフォームを起こし、低全高パッケージングを実現した。立体駐車場に入る1.55mの高さで広々とした3列座席を実現したのだった。普通のサルーンに引けをとらないシャシー・ダイナミクスと柔らかい乗り心地の両立を実現した。ミニバンのネガが取り払われたのである。実用に耐える3列目シートを備えるステーション・ワゴン的なクルマが、そこに登場したのだった。かつてメカ・ミニマム、マン・マキシマムをうたってインサイド・アウトの空間設計手法を日本車に積極的に取り込む潮流をもたらしたホンダの、面目躍如といえるクルマだった。


ホンダ・オデッセイ
ひとりの時にはドライバーズ・カーとして溜飲の下がるアブソルートがいい。ショルダー・サポートの張り出しが大きい前席はアブソルート専用。206ps(FWD用)のエンジンは大人しく走って良し、回して良し。オプションを欲張らなければ価格も適度。


 今度のモデルチェンジは、パッと見て、初代から2代目へのモデルチェンジにもまして変化が小さい。けれども、そこに3代目で指摘された欠点はひとつも残っていない。ステアリングにはテレスコピック調整機構が加わって運転姿勢の自由度が増し、体格差への適合能力も大いに上がった。Aピラー断面形状の工夫で前方視界も広くなった。リアドアの開口部が拡げられて3列目への乗り降りもしやすくなった。3列ある座席は、俯瞰すると、最後席から前席へとV字を描くように左右乗員の距離が開いていくように配置され、3列目乗員にも心理的な空間共有が実感できるものとなった。それでいて、いざ3列目を床下に格納すればワゴン顔負けの大きな荷室が生まれるのは、3代目と変わらない。バックゲートの開口部も拡げられ、大きな荷物の出し入れもよりやり易くなっている。
 乗り心地もいっそう快適になって、もはや下手な上級サルーン以上のものになっている。無駄な動きを素早く抑え込むしっとりとしたダンピングを実現したスポーティ仕様のアブソルートは、とくに良かった。
 変化のための変化を拒否して実をとった。じつに意義深いフルモデルチェンジだと、僕は思う。
ホンダ・オデッセイ
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(2009年1月号掲載)
 
 
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