ENGINE online/エンジン オンライン

ダッジ・ブランドのこれぞ本命、JC上陸!


DODGE JC/ダッジJC
クリックすると拡大
DODGE JC


ダッジJC
実車を目の前にしても、それが4895×1880×1720mmものサイズがあるようには見えない。運転しても大きさを忘れさせるほどに取り回しは容易だ。2.74リッターのV6は185ps/5500rpmと26.1kgm/4000rpmを発揮するにすぎないが、車輌重量は1830kgだから、馬力荷重比は10kg/psを切っている上に、ATの巧妙なギア比設定のおかげもあって、走りは望外に軽快。6ATにはティップ操作を許すゲートが設けられている。しっとり重厚な乗り心地はサルーンのそれで、静粛性の高さでも外観の印象を覆す。362万2500円という価格は、内容を考えると良心的だと思う。



3兎を追って3兎を獲る。


矢継ぎ早にニューモデル攻勢をかけてきたダッジの新顔JCは、
取捨選択の妙で、魅力的な大型実用車となっていた。
文=齋藤浩之(本誌) 写真=小野一秋



 アメリカン・ブランドでもっとも勢いがあるのは、まちがいなくダッジだ。ダイムラー・ベンツとの合併期に生まれ変わったクライスラー傘下で、積極的なニューモデル攻勢を軸にブランド力強化を図ってきた。それと同時に、西欧圏を含めた世界市場にも打って出て、アメリカにダッジあり! を強く印象づけてきた。この数年は日本でも“赤”をイメージカラーに次々と新型車を送り出し、急速に認知度を上げている。
 かつての“アメ車”とは違って、ただ“アメリカン”な雰囲気だけを売りにするのではなく、ダッジは国際的に通用する内容を携えているのがいい。右ハンドル仕様の仕立ても立派なものだ。おざなりなものになりがちなワイパーひとつをとって見ても、その払拭面積の広さや拭き残しによる死角の小さいことから、真面目な仕事ぶりがよく理解できる。異国情緒を振りまくだけではもはやクルマが売れないことを、ダッジはきちんと理解している。


あれもこれも、ではなく

 日本では登録商標の関係からジャーニーの名が使えず、“JC”と命名されたこのニューモデルを、ダッジはクロスオーバー・カーだと謳う。ミニバンの利便性、SUVの機能性、セダンの総合的な効率の良さ、その3つを兼ね備えているからだという。2兎どころか3兎を追ったクルマということになるわけだから、諺の戒めを思い出せば不安になる。ところが、クルマをためつすがめつして走らせてみたら、これが驚いたことに、ダッジの言うとおりなのだ。要は、あれもこれも、ではなく、それぞれの“ここ”こそという要素を抜き出して組み合わせているのである。それ以外はばっさりと切り捨てている。その取捨選択が、クルマの本質をよくよく識っていないとできないものになっている。


DODGE JC/ダッジJC
クリックすると拡大
DODGE JC
シート・アレンジの自由度や完成度の高さは完全にミニバンのそれ
シート・アレンジの自由度や完成度の高さは完全にミニバンのそれ。普通の前ヒンジ式ドアでも3列目へ乗り降りするのに大きな難はない。助手席も前倒しできるから、長尺物もやすやすと飲み込む。見た目SUV、使い勝手ミニバン、走ればサルーンというふれこみに偽りはない。ブン回さずに走れば静粛性もきわめて高いし、乗り心地も優れている。
 ミニバンは3列のシート構成をいかに使えるものにするかが生命線。SUVのそれは突き詰めれば踏破性能とスタイル。サルーンの場合は静粛性や運転の容易性ということになるだろう。ダッジ(クライスラー)は遠く1983年にキャラヴァン(ヴォイジャー)でミニバンの創始者となったメーカーである。SUV先進国だからこそ、そもそも過剰なあれこれを詰め込んだSUVから余分な要素を外していかなければならないとなった時に、最後に残す必要のあるものが何かを見極めることもできたのだろう。シートはどの列も十二分なサイズをもったしっかりした作りで、どこへ座ってもやせ我慢をする必要がない。重量増をもたらすスライドドアを用いずとも、2列めの折りたたみ方に工夫を凝らしてあるから、最後列席への乗り降りもしやすい。
DODGE JC/ダッジJC
DODGE JC
 JCは2.7リッター横置きV6エンジンによる前輪駆動(米国では4WDもある)だから、パワートレーンの重量も小さい。では、それのどこがSUV的なのかといえば、セダンにはありえない20cm近いロードクリアランスとハイトの高いタイヤだ。そのおかげで、縁石や段差に必要以上に神経質にならなくとも問題が生じない。サスペンション・ストロークがたっぷりと取られていることも相まって、円満な乗り心地を獲得するのを容易にもしている。しかも、タイヤは専用開発として(横浜ASPEC)乗り心地や静粛性に重きを置いている。サイズもSUV的に見える範囲で可能な限り控えめなものにして、交換作業の容易性やタイヤ価格を押さえることにも意を割いている。そうとしか思えない。
走らせると、サルーン

 車両重量は1.8tを超えるけれど、それが4.9×1.9×1.7mものサイズがあることを考えれば、望外の軽さである。同サイズのセダンなみに収まっている。しかも、6段ATの1速をエクストラ・ロー的に低いギア比とすることで、発進は軽々。高回転を苦にしない4カムV6ユニットのおかげで、必要とあらば、かなりの速さを見せるのも予想を覆す好印象。操縦性も軽快だ。
 JCはじつによく考え抜かれた大型実用車だと思う。
DODGE JC/ダッジJC
DODGE JC



(2009年4月号掲載)
 
 
最新記事一覧
SPECIAL
注目!! 富士のショー…
5月11日(木)開催予定のエンジン・ドライビング・レッスン・スペシャル、「FUJIオーバル・スクー…
Driving Lesson
エンジン・ドライビング・レッスン
「エンジン・ドライビング・レッスン2017」の受講生募集を開始します。今年の開催は全3回…
NEWS
volvo S60 Polestar/ボ…
ボルボS60ポールスターをベースとするレーシング・カー、TC1でWTCCを戦うポールスター・シアン・レー…
WATCH/時計
A.ランゲ&ゾーネ今月…
最高峰の技術を集大成した複雑時計と人気モデルのアップデートでブランドの魅力を新たにした今年。
WATCH/時計
オーデマ ピゲラグジュア…
今年は定番「ロイヤル オーク」が持つデザインの発展性を追求。基本的なスタイルを堅持しつつ、ディテ…
WATCH/時計
ヴァシュロン・コンスタ…
世界一複雑な時計「リファレンス57260」で披露した超絶技術の流れを汲むハイエンドの新作をずらりと揃…
WATCH/時計
カルティエENGINE WATCH …
ジュネーブ新作時計見本市で発表された2017年の新作は、それぞれのブランドが今まで以上に力の限りを…
WATCH/時計
タグ・ホイヤー カレラ …
自動車に関連したタグ・ホイヤーの代表作といえば、伝説のカー・レース、ラ・カレラ・パナメリカーナ…
NEWS
MORGAN EV3/モーガンEV3…
モーガンは2016年のジュネーブ・ショウで発表した同社初の電気自動車、EV3に続く第2弾として、EV3ジ…
WATCH/時計
ロジェ・デュブイモナコF…
コラボでも、意表を突くのがロジェ・デュブイ流だ。



バックナンバーページの定価表記について
「ENGINE 2014年3月号」以前の定価表記は、発売時の定価になっております。
予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



▼試乗記 最新5件
 トヨタのコンパクトSUV、C-HRに公道で試乗!
 ポールスター・エディションを試す。
 メルセデスSUVのリーダー、Mクラスがモデルチェンジ!
 ルノー・スポールが手掛けた3台の最新モデルに富士スピードウェイでイッキ乗り。
 メルセデス・ベンツSLの頂点、63AMGが上陸!