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レクサスHS250hのトヨタ版、サイ登場。


TOYOTA SAI/トヨタ・サイ
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TOYOTA SAI/トヨタ・サイ


麗しくあれ!


プリウスの兄貴分がついにトヨタ名義でも出た。
中身はレクサスHS250hにほぼ同じ。その実力は?
文=齋藤浩之(本誌) 写真=小野一秋


 発売直後から受注好調が伝えられるトヨタ・サイは、先に投入されたレクサスHS250hと双子姉妹の関係にあるクルマである。皮を剥げば、走る部分に関する機械構成は事実上、等しい。
 ホイールベースやトレッドといったプラットフォーム固有の寸法が一致するだけでなく、アトキンソン・サイクル・エンジンと電動モーターの組み合わせによるパラレル(並列)ハイブリッド方式をとる動力源も同じものを使う。2.4リッター4気筒エンジンの最高出力は150ps、交流同期型モーターのそれは143ps(105kW)。これらからの出力を遊星ギアで合成して出力する最高出力は190psとなる。
 車輌重量はほんのわずかに外寸の小さいサイが1570〜1590kgで、レクサスHS250hは1640kgだから、人間ひとり分ほどの違いがそこにあるものの、体感する速さには、ほとんど違いはない。動力性能に十分な余裕があるからである。



基本レイアウトはレクサスHS250hに同じだが
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基本レイアウトはレクサスHS250hに同じだが。表層意匠はサイ専用。
タイヤの違いが大きい

 しかし、それが静粛性や乗り心地といった、これら2台にとって些細なこととはいいがたい項目での差は、意外なほど大きかった。レクサスのほうが全体に洗練されており、静かで乗り心地も明らかにいいのだ。これはサイの試乗会に赴いて、記憶のなかにあるHS250hの印象と比べての話だけれど、直接乗り比べれば、誰もがその違いをはっきりと感じとることと思う。
16インチ・タイヤを履くサイS
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16インチ・タイヤを履くサイS。ホイールはアルミ製に樹脂カバー。
 サイにはGとSの2種類のトリムが用意されており、Gには215/45R18、Sには205/60R16というサイズのタイヤが標準装着される。前者は足元をスポーティに装いたいという意図で組み込まれたもので、予想どおり、不整路面ではそれなりにゴツゴツとする。また、省燃費タイヤ的な性格を備える16インチのほうも、ゴムまりのような少々ダンピングの不足する乗り味が表面化しがちで、これもすっきりと腑に落ちない。
 一方で、レクサスHS250hに装着される17インチ・タイヤ(215/55R17)は、転がり始めたその瞬間から高級タイヤならではの、しっとりとした接地感で、乗り心地に貢献する。滑らかなのだ。
 燃費はどうなのだろうと思ってカタログ値を照らし合わせてみると、3仕様ともに10・15モード燃費は23.0km/リッターと、選ぶところがない。現実にはタイヤの転がり抵抗の違いに起因して燃料消費率に差が出るだろうと思うけれど、もし、そこに大差がないのだとすれば、多少車輌価格が高くてもレクサスHS250hを選ぶべきだと、僕は思う。
 サイを選ぶということは、プリウスの上を目指すということにほかならない。燃費性能ではエンジン排気量が小さく、車輌重量もずっと軽いプリウスに及ぶはずがない。室内空間の大きさや動力性能は、普通に実用に使うぶんにはプリウスにしてすでに十分以上の域にある。それを知ってなお、車輌重量が優に1.5tを超える上級サルーンを選ぶのである。サルーンと呼ぶに足る乗り心地が実現されていてしかるべきである。
 残念なことに、それをきちんと実現できているのは、レクサスHS250hのほうだけなのである。




(2010年2月号掲載)
 
 
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