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生まれ変わったメルセデス・ベンツBクラスにドイツで乗る。


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Mercedes-Benz B-Class



悩める巨人メルセデスのいま。


これまでのサンドイッチ構造を捨て、シャシーのすべてを一新した新型Bクラスがデビューした。
ゆったりしたスペースに余裕ある運動性能、さらにはクラス初のレーダー型衝突警告システムまで標準装備したと謳う最新メルセデスのデキ映えはどうか。本拠地シュトゥットガルトでテストした。
文=村上 政(本誌) 写真=ダイムラー日本



 SLS AMGロードスターに試乗した帰途、同じくフランクフルトでデビューしたばかりの新型Bクラスにもいち早く試乗する機会を得た。
 2005年のデビュー以来、これまでに約70万台を販売してきたBクラスの、今回は文字通りのフルモデルチェンジである。最大のトピックは現行A、B両クラスに共通していたサンドイッチ構造のシャシーを廃したことで、今春の上海ショウで発表された新型Aクラス・コンセプトは、まるでスポーツ・クーペのような低くワイドなボディを持っていた。
 一方のBクラスはといえば、ごらんの通りのズングリむっくりしたボディのまま……いや、これでも先代より車高は50mm近く低くなっているのだ。しかし、サンドイッチ構造を廃したおかげでフロアも下がっているから、室内空間はむしろ拡大しているというのが自慢だ。実際、路面からのシートの高さは86mmも下がり、乗降性は明らかに良くなっていた。
 新型AとBの位置づけについて、マーケティング担当者はこう語った。
「ドイツにおけるメルセデス・ユーザーの平均年齢は現在58歳。それが中国だと25歳なのだから、欧州でももっと下げていきたい。そこでスポーティでセクシーなクルマが好きな若者たちを取り込むために、Aクラスのデザインを一新することにした。一方、Bクラスでは、これまでのA、Bユーザーの繋ぎ止めを狙う」
(上)直噴1.6リッター直4ターボは先代のように斜めに置かれることはなくなった。
(下)下から大きく開く荷室の容量は488リッター。
 将来的にAクラスにはAMGモデルが出る予定だが、BクラスにAMGはないという話からも、両者の性格づけの違いがよくわかる。
 とはいえ、新型Bクラスには、いささか地味な見かけから想像する以上の新技術が、これでもかとばかりに投入されている。まずは、122psと156psのふたつの新型直噴1.6直リッター4ターボ・ユニットに、自社開発した新型デュアルクラッチ式7段自動マニュアルトランスミッションを組み合わせたパワートレイン。そして、これまでのリジットから独立懸架に改められたリア・サスペンション。電気モーターをステアリングギアに直接取り付けた、改良型の電動パワー・ステアリング。さらには、クラス初のレーダー型衝突警告システムを含む数多くの安全運転支援システムが採用されている。


どっちつかずの感アリ

 乗り込んでまず驚かされたのは、内装がこれまでより格段に高級感を増していることだった。ステアリングやエアコンの吹き出し口のデザインは、乗ってきたばかりのSLSにそっくりだ。室内空間は余裕タップリで、アップライトな姿勢で座っても、頭上にはかなりの余裕がある。
 ところが、走り始めると、ちょっと首を捻らざるを得なかった。とにかく、足が硬い乗り心地が、あのとろけるようなメルセデス・ライドとはまったくかけ離れたものだったのだ。実は、新型Bクラスにはメルセデス初のランフラット・タイヤが全車標準装備されている。しかし、それをうまく履きこなしているとは言い難い。路面の荒れに敏感すぎるのは、ノーマル・サスでも15mmローダウンしたスポーツ・サス(日本仕様は機械式駐車場に対応するためこれを標準装備予定)でも同じだった。
 加えて、電動パワステのフィールにも違和感を感じた。切り込んで行った時に、反発したり、軽くなったりして、反応が一定しない。ペダル類の妙な軽さも、微妙な操作を妨げる一因になっていて、運転が下手になったように感じるのには参った。
 アイドル・ストップ機構をはじめ、燃費対策が充実しているのはいいのだが、エコノミー・モードを選んでいると、B180はもちろんB200でもあまりの加速の悪さに戸惑うことがしばしばだった。逆にスポーツ・モードでワインディングを走ると、パワーもトルクも下から十分に出ているし、足の硬さもちょうどよく感じられて、従来のBクラスのイメージとは違ったスポーティな運転が楽しめる。その落差が大きいのだ。
 結局のところ、実用性重視の方向に振りたいのか、スポーティな方向に振りたいのか、その味付けがどっちつかずの印象は否めなかった。日本導入までには修正して、本来の実力を発揮していることに期待したい。

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(左)リア・シートの居住性は格段に高まった。(右)アップライトな姿勢をとらせる前席。
これがBクラスかと驚くほど高級感にあふれた室内。試乗車のダッシュボード上部はオプションのステッチ付き人工皮革仕上げになっていた。

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写真は日本導入予定のスポーツ・サス仕様で標準より15mm低い。



  
  メルセデス・ベンツB200ブルー・エフィシェンシー
駆動方式エンジン・フロント横置き前輪駆動
全長×全幅×全高4359×1786×1558mm
ホイールベース2699mm
車両重量1435kg(7G-DCT)
エンジン形式アルミ製直噴直列4気筒DOHCターボ
排気量1595cc
ボア×ストローク83.0×73.7mm
最高出力156ps/5300rpm
最大トルク25.5kgm/1250-4000rpm
トランスミッションデュアルクラッチ式7段自動MT
サスペンション(前)マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション(後)マルチリンク/コイル
ブレーキ(前)通気冷却式ディスク/(後)ディスク
タイヤ(前後とも)205/55R16
日本導入時期2012年春




(2011年12月号掲載)
 
 
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バックナンバーページの定価表記について
「ENGINE 2014年3月号」以前の定価表記は、発売時の定価になっております。
予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



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