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フランクフルト・ショウで発表されたジャガーの本格派2座スポーツカーを見る。
ジャガー=スポーツカーの世界 #02


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JAGUAR C-X16



911に牙をむく


アストン・マーティンと棲家を同じくする必要のなくなったジャガー。
くびきから開放されて血が騒ぐのか、久々に本格的なスポーツカーを出すという。
生産型にほとんど近い状態にあると見ていいコンセプト・カーを見た印象を記す。
文=齋藤浩之(本誌) 写真=望月浩彦



 まるで何かを睨みつけるかのように、ジャガーの新しいスポーツカーはひな壇の上に構えていた。見つめている先にあったのは、アストン・マーティンだった。通路を挟んで真向かいに陣取ったブースには、ザガートの手がけたレーシング・モデルが置いてあったのだ。その光景は何やら象徴的な感じがした。
 かつて、一時的とはいえフォードという巨人の傘の下にともにあったジャガーとアストン・マーティンは、そこで役割を分担させられていた。その構図はさほど窮屈なものには思えなかったけれど、実際にはそうではなかったのかもしれない。その昔はレースの世界で激しく闘った2者である。一見、合理的なもののように見えたフォード傘下での棲み分けは、猫の皮を被った状態であったのかもしれない、と思った。
 袂を分かち、ともにフォードを離れて異なるパートナーの下にある2者はいま、本能を掻き立てられているのかもしれない、と感じたのだ。
久々の2座。

 C-X16の姿には、向かいに陣取ったレーシング・マシンにも劣らぬ研ぎ澄まされた緊張感が宿っていた。低く構えるスタンスは、ジャガーという名の意味を思い起こさせる。獲物を狙い息を潜める猛獣の姿がそこにあった。逆台形のラジエーター・グリル、ノーズに始まってドアへと鋭く流れていく稜線、Aピラーから連なりテールへと走るルーフ・ライン、そしてドア後端の肩に始まって蹴り足の強さで張り出すのを余儀なくされたかのように張り詰めたもうひとつの稜線が作るリズムは、猫科の猛獣のそれにも匹敵するほど、抜き差しならないもののように見えた。
1960年代から70年代半ばまで、ジャガーの代名詞的な存在だったEタイプ・クーペを想起させる、横開きのリア・ハッチ・グラス。
 ジャガーは、C-X16とコンセプト・カー名義になっているこのクーペを“現実的”なものと表明した。おそらくはほぼこのままの姿で、近い将来に市販化されると見ていい。ジャガーとしては久々の、本格的な2座スポーツカーの復活である。


今を生きる息吹

 そのスタンスがこけおどしではないことが、発表された内容に目を通すとわかる。アルミ構造、ジャガー自社設計のAJ-V8をベースに新開発されるV6は直噴で、Vバンクにルーツ・ブロワーを抱え込み、3リッターという抑制の効いた排気量ながら380psを捻り出す。8段ATには95ps相当の電動モーターがビルトインされ、シート背後に隠された16kWhのリチウム・イオン電池から素早い電力供給を受けて、F1のKERSさながらの加速支援装置として働くほか、このモーターのみを使って最高速度80km/hのEVとしても走る。
 全能力を振り絞れば、0-100km/h加速を4.4秒でこなし、最高速度は300km/hに達する。
 狙いを定めている獲物は、見つけるのに苦労しないポルシェだろう。

ジャガーは純2シーターのこのクルマを1+1と表現する。センター・コンソールに設けられたスプリッターが、空間を心理的に分割されたものとする。パセンジャー側のスペースが狭いというわけではない。巧妙なデザインだ。

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英国的趣味が色濃く反映されたこのカラーリングがそのまま生産型にも用意されるかどうかは不明。造形は細かい部分にいたるまで完成している。ステアリングホイールのリムに付くボタンは、KERS作動用。
こうして真横から見ると、フロント・バンパー下端にエア・スプリッターが巧妙に組み込まれていることが分かる。ラインを乱す空力付加物の類を一切もたないクリーンでシンプルなサーフェスが重視されている。



(2011年12月号掲載)
 
 
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