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リッターカー未満の本格スポーツカー・スマート・ロードスターとロードスター・クーペに乗る。


SMART roadster & SMART roadster-coupe
上段がSMART roadster/スマート・ロードスター、下段がSMART roadster-coupe/スマート・ロードスター・クーペのコーナリング・フォーム。
ごらんのようにわずかながら、クーペの方がロールが深い。サスペンションはフロントがマクファーソン・ストラット、リアがド・ディオン式。



こころ打たれ、胸躍る。僕は絶賛する!


特異な2人乗りのクーペで知られる単一車種ブランド、スマートが新しい車種を出した。
それもリア・エンジン、リア・ドライブのスポーツカーである。
ロードスターと脱着できるルーフつきのクーペから成る、本格スポーツカーの実力は?
文=鈴木正文(本誌) 写真=小林俊樹(アーガス)



約2万ユーロ

 こころ待ちにしていたクルマだった。現代的なテクノロジーのもとによみがえった1950年代、60年代の、イギリスの小型オープン2座スポーツカーの世界――。それがこのスマート・ロードスター、同ロードスター・クーペが与えるものにちがいない、と思っていたからだ。
 事実、その通りだった。日本に入ってくるのは秋口になりそうだが、スポーツカー好きなら、フェラーリやポルシェを持っていても、もちろん持っていなければなおさら、このドイツ製の純スポーツカーに大注目すべきだ。価格はヨーロッパでもっとも高いものが約2万ユーロ。いまの為替相場で260万円ぐらいだから、排気量わずか698ccのクルマとしては安くはない。しかし、手が届かない価格ではないし、僕はどうしても欲しい、と思った。
フル・オープン状態のロードスター
フル・オープン状態のロードスター。電動キャンバス・トップは約10秒で降りきる。
SMART roadster & SMART roadster-coupe
(写真上)フロントのトランク・ルーム。ロードスターもクーペも、両サイドのルーフ・コラムを外すと、このように格納する。
(写真中)ロードスターのトランク・ルーム。これはオープン時なのでほとんど何も入らない。
(写真下)ルーフ・コラムなしのフロント・トランク・ルーム。大きなボストン・バッグと普通の書類カバンなら飲み込める。


 スマート・ロードスター&ロードスター・クーペが、そのスタイリングだけ発表されたのは昨年秋のパリ・サロン。現場に行けず写真で見ただけだったが、写真だけでもノックアウトされた。電動キャンバス・トップを持つロードスター、そしてプラスチックの2分割デタッチャブル・トップとガラスのリア・ハッチを持つロードスター・クーペ、カッコウとしてどちらがいいか、悩むところである。実用性はむろん、クーペの方が高い。しかし、ロードスターはより徹底的にオープンになる。
 ポルトガルの海沿いのリゾート地、ファーロで行われた試乗会で、まず赤いロードスターに乗ると、さっそくオープンにした。オープンになり切るまでの所要時間はわずか10秒。オープン化後に残った両サイドのルーフ・コラムはフロント・トランクにある専用収納スペースに入れる。その状態で、フロント・トランクには、機内持ち込み可では最大級のバッグと普通のショルダー・バッグが1個ずつなんとか入った。数字で言うと、トランク容量はフロントが59リッター(クーペも同じ)、リアがオープン時に45リッター、クローズド時に86リッター(クーペは189リッター)。ただし、デタッチャブル・トップを格納すると104リッター。2人なら1、2泊の小旅行までといったところで、ゴルフ道具は持っていけない。ひとりなら助手席も使えるから話は別だが。


スプライトやミジェット

 698ccとスマート・シティ・クーペより約100cc大きい3気筒ターボSOHCエンジンは、最高出力81.6ps/5250rpm、最大トルク11.2kgm/2250〜4500rpm。絶対的には非力かもしれないが、車重が軽い。ロードスターは790kg、クーペは815kgである。ちなみにシティ・クーペは720kgで45ps。また、50年代末から60年代はじめのオースチン・ヒーリー・スプライトやMGミジェットなどは、948cc、42.5〜46.5psに650〜710kg前後、60年代なかばの後期にミニ・クーパーSと同じ1275ccエンジンを(デチューンして)積むようになっても65psだったから、馬力荷重的に言えば決して非力とは言えない。1.6リッターを積んだMGAの後期型(マークII)は、86psで880kg。ロードスターもクーペも0-100km/hをともに10.9秒で走りきるので、MGAマークIIより2秒も速い。最高速は空気抵抗の大きいロードスターが175km/h、クーペが180km/hとされるが、MGAマークIIは160km/h強でしかなかった。
 なお、ロードスターにかぎって、同じ698ccながら61.2ps/5250rpmと9.7kgm/2000〜4000rpmのマイルド・モデルが後に追加される。車重は強力版と同じ790kg。
 シティ・クーペと同様、トリディオン・セイフティ・セルが剥き出しになっていて、これがデザイン的にいいアクセントになっている。セルの色はブラックが標準、グレイがオプション。プラスチック製のボディ・パネルは黒、赤、黄色が標準で、オプションでシャンペン、紺、緑がかったグレイも用意される。
 3気筒ターボと組み合わされるのは、“ソフタッチ”と呼ばれるシティ・クーペと同じ6速セミ・オートマチック。リア・アクスル上にマウントされるリア・エンジン、リア・ドライブで、前後重量配分は44対56。ホイールベ ースは2360mmと長く、トレッドも前1357mm、後ろ1392mmと十分。オーバーハングは前後ともほとんどなく、プロポーションはいい。全長3427mm、全幅1615mm、全高1192mm。たびたび引き合いに出すMGAマークIIは3960×1470×1270mmと、ずっと細長いし、背が高い。スプライトにしても3490×1350mm×1260mmと、やっぱり細長い。スマート・ロードスター&ロードスター・クーペは、よりうずくまるように安定感の高い、その意味でやはり現代的な スタンスのスポーツカーである。


ほとんどミドシップにマウントされる698ccの.3気筒ターボ
ほとんどミドシップにマウントされる698ccの.3気筒ターボ。


ホイールは5J、6J、7Jの3種類あり、15&16インチ
ホイールは5J、6J、7Jの3種類あり、15&16インチ。タイヤは185/45、205/55、205/45。




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