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オペルが提案する新セグメント・カー、シグナム登場!


OPEL SIGNUM/オペル シグナム
オプションで、ステアリング操作に合わせてヘッドランプが向きを変えるアダプティブ・フォワード・ライティングが用意される。
いきなり後席試乗

 シグナムの最大の付加価値はSクラス並みの後席なので、同乗ジャーナリストに運転をまかせ、最初に後席での試乗を試みた。試乗会にきて、いきなり後席に座ったのはこれが初めてである。
 結論から言うと、すごく良かった。シグナムに乗せてもらうなら、助手席ではなく、断然後席だ。前席をエコノミーとすれば、その広さはさしずめビジネス・クラスで、足元の余裕は足を組めるほどだし、頭上空間も身長170cmの筆者には余裕たっぷりでラクチン。30度リクライニングする大ぶりのレザーシートは掛け心地もソフトで気持ちよく、BMW760Liの後席を思い出した。もちろん、もとがベクトラだから、豪華さは敵わないけれど、その分、カジュアルで堅苦しくない。
 シグナムはおよそ100km/hで、新緑の森を貫くカントリー・ロードを走行しているが、風切り音やロードノイズは小さく静かである。



 しかし、旧東ドイツの田舎道ゆえ、ところどころアスファルトが剥げた路面に遭遇すると、ダ、ダン! と、鋭い突き上げがある。215/50R17のグッドイヤー製エコ・タイヤを履くのはセダンと同じだが、乗り心地は全般的にこちらの方が明らかに固い。試乗後、そのことをエンジニアに訊ねたら、それは先方も承知で、ダンパー・セッティングを最終生産モデルまでに改善するつもりだ、と答えた。
 ただ、路面から高周波の大入力があったときもボディはミシリとも言わず、セダンより開口部が大きいのに、しっかり感があって、たのもしい。しかも、後席には世界で初めてむち打ち軽減のアクティブ・ヘッドレストを備えている。
 全幅はセダンと同じだから、中央席は小さくて、とても大人が長時間座ることはできない。ただし、座面がクルリと回転させられ、それをひっくり返せば、裏面が収納コンソールになっている。背もたれは剥がすように前へ倒すと、アーム・レストになる仕掛け。どれも使い勝手が良く、ザフィーラのノウハウが上手に活かされている。
 すごくいい! と思ったのはオプション設定されている脱着式のクーラー・ボックスで、内蔵された小さなテーブルを羽のように広げると、室内がちょっとオシャレになる。いままでのオペル車では味わえなかった雰囲気だ。日本仕様に導入するかどうかは未定とのことだが、シグナムの提案する新しい感じをわかりやすく表現するためにも、これはぜひ入れるべきだと思う。



OPEL SIGNUM/オペル シグナム
(写真上)215/50R17のエコ・タイヤを履く。
(写真下)3座独立可倒式リアシート。完全にフラットにすれば、荷室容量は1410リッター(VDA)になる。リアシートにアクティブ・ヘッドレストが採用されたのは、世界初。


OPEL SIGNUM/オペル シグナム
リアシート中央でテーブルを羽のように広げているのが、多機能のクーラーボックス「トラベル・アシスタント」。中央の棚はDVDプレイヤー用ホルダー。
OPEL SIGNUM
(写真上)基本的にベクトラ・セダンと変わらない運転席まわり。
(写真下)前席エアバッグ、サイド・エアバッグ、カーテン・エアバッグを標準装備。
0-100km/h加速は7.9秒

 アウトバーンのサービス・エリアで運転を交替した。運転席からリア・エンドまでが長く、Cピラーが太いシグナムだが、リア・ウィンドウが前方にまわり込んでいるので、右後方の視界は悪くない。ドイツ車らしく、マジメにつくられている。
 スポーツ・セダンのような走行性能とプレゼンで説明されたが、なるほどアウトバーンでのシグナムは速かった。車重はセダンと比べて100kg重い1610kgだが、4000rpmで30.6kgmを発生する3.2リッターV6は、トルクカーブがフラットで、右足に対する反応が俊敏なので、5速100km/h、1950rpmからの追い越し加速は、Dレインジでも爽快。最高出力は211ps/6200rpmである。資料によれば、シグナム3.2リッターの0-100km/h加速は7.9秒。決して鈍重なクルマではない。マニュアルモードを備えた5ATはアイシン製で、3速、4速、5速とマニュアルのシフトアップも試したが、こちらの反応も間髪入れない感じである。
 電子制御パワーステアリングに接地感がしっかりあることと、ホイールベースが長く、クルマ自体の直進安定性もいいこともあって、速度無制限区間での200km/h走行でも恐くない。最高速は237km/h。交通量が多かったのと、4000rpm以上はエンジンがボーボーうるさいので、試せてはいない。



 速いは速いのだが、私はむしろ100km/hの回転数が5速で1950rpmしかないことに、驚いた。たまたま、取材ノートにメモしてあった6リッターV12のBMW760Liは、5速、100km/hで2000rpm。こんなに低い回転数なら、後席がすこぶる静かだったのも頷ける。アウトバーンでは120km/hぐらいで流しているときが一番気持ちよくて、それなら後席に戻りたい、というのが正直な感想だった。
 この感覚が従来のワゴンとは違うところで、しかもベクトラ・サイズで、そう思わせるところが新しい。
 明日も乗りたい、後席に、と私は思いました。
 シグナムの日本導入は今年の東京モーターショー。価格はGTSより約10万円高というから、360万円と430万円ぐらいのプライス・タグがつけられるはずである。



OPEL SIGNUM/オペル シグナム
OPEL SIGNUM



(2003年7月号掲載)


 
 
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