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ロールズ・ロイス・ファンタム・ドロップヘッド・クーペに乗る!


ROLLS-ROYCE Phantom Drophead Coupe/ロールズ・ロイス・ファンタム・ドロップヘッド・クーペ
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ROLLS-ROYCE Phantom Drophead Coupe



贅沢な退屈。


今年のデトロイトで発表されたファンタム2ドア・オープンの国際試乗会が5月下旬、イタリアはトスカーナにあるオシャレなホテルをベースに開かれた。世界の富裕層870万人に向けた、5200万円超のコンヴァーティブルがコレだ。
文=今尾直樹(本誌) 写真=Rolls-Royce Motor Cars



小型ロールズ

 世界最高の自動車ブランドの新作国際試乗会の基地に選ばれしは、L'Andanaという部屋数22の小さなリゾート・ホテル。もちろん私は知らなかったが、運営はフランス料理の6つ星シェフ、アラン・デュカス率いるデュカス・グループによる。16世紀に建てられたイタリア貴族のサマー・ハウスを改築したL'Andanaは、ぶどう畑の広がる丘陵地帯にひっそりと佇んでいた。
 そこに東洋人の一団が、ローマ空港からUKナンバーの黒塗りのファンタム3台で次々と運ばれてくる。なんだか国際謀略小説の始まりのようでもある。RRというブランドそれ自体が物語的な想像力をかきたてるのである。
車両説明中のイアン・ロバートソンCEO
車両説明中のイアン・ロバートソンCEO。
 試乗会のプログラムは翌朝、イアン・ロバートソンCEO御自らによる説明で始まった。CEOがクルマの新型車解説までするのだから、RRはなんともエンスージアスティックなメーカーである。
 CEOの話をかいつまんで記しておくと、2003年にデビューしたファンタムは翌年から年産800台規模で推移。04年には今回のdhcの試作車たる100EXを発表し、05年にはファンタムのロング・ホイールベース版たるEWBを追加、06年にはクーペの試作車、101EXを発表、07年dhc発売開始、という具合に毎年なんらかの話題を提供しつつ、2年ごとにニュー・モデルを送り出していることになる。
 次へのステップボードは、09年の小型ロールズ・ロイス。小型といっても、ベースはファンタムで、サイズ的にはファンタムと7シリーズ、Sクラスの中間、価格はファンタムの60〜75%になる。ということは3000万円級で、2000万円級のベントレーとは直接競合しない。
 「ベントレーとわれわれとではマーケットでのプレイスは非常に異なっている。これは健康的なことだ。会社が同じときには同じクルマに異なるバッジをつけていたのだから」とCEO。第2ファミリーの登場でグッドウッドでの生産台数は現在の2倍、つまり年産2000台になる。グッドウッドではすでに工場の拡張が始まっており、2シフト制を敷くべく新たに700人を雇用するなど、着々と準備が進められている。

Jクラス・ヨット

 ファンタムdhcは、04年に発表された試作車の100EXをほぼ忠実に量産化したもので、名前の通り、ファンタムのドロップヘッド・クーペながら、ボディ構造の40%とボディ外板のすべては新しい。サルーンより「レス・フォーマル、モア・ダイナミック」たるべく、プロポーションは全面的に見直され、ホイールベースは250mm、全長は225mm、全高は74mmカットされた。
 とはいえ、メチャクチャでかいことは間違いない。全長5609mm、全幅1987mmで、ホイールベースは3320mmもある。たとえば、わがニッポンの最新鋭戦艦レクサスLS600hLは、全長5150mm、全幅1875mm、ホイールベース3090mmである。これだって、国内では大きすぎるという論議があったらしい。ロールズ・ロイスはすなわち別格なのである。ある種の戦艦外交を21世紀のこんにち、路上で行っているわけで、そのアナクロニズムがステキだ。
 ブラッシュされたボンネットは耐久性を鑑みてアルミではなく、ステンレス・スティール製となる。これは今年誕生100周年を迎えたシルヴァー・ゴーストにインスパイアされたアイディアだという。リアに目を転じると、ホンモノのチーク材を使ったデッキがデザイン上のハイライト。このウッドの準備からフィニッシュまで1カ月もかかるというから、現代の自動車ではないみたい。
 内装は30年代のJクラス・ヨットのエレガンスをお手本にしたというから、優雅なお話である。ウッドと真鍮とファブリックの世界。RRのグッドウッド工場は造船を地場産業とするサザンプトン近郊にある。船づくりの経験者を見込んでこの地を選んだかいがあったというものだ。
ROLLS-ROYCE Phantom Drophead Coupe/ロールズ・ロイス・ファンタム・ドロップヘッド・クーペ
(上)腰掛けにもなるピクニック・トランク。150kgの重量に耐える。アウトドアで便利。
(下)前席はシートベルト内蔵。転倒時には、フロント・ガラスの外枠が要となるほか、後席ヘッドレスト内にも飛び出し式の防護システムを備える。Aピラーの支柱がフロアに向かってまっすぐ下に伸びているのがボディ剛性に効いているという。
 2枚になったドアは、リア・ヒンジの前開きが採用された。これにより後席への乗り降りをやさしくすると同時に、Aピラーの一体成型を可能にして、ボディ全体の剛性を高めているという。アルミ押し出し材の補強も加えられ、手作業による溶接の長さもファンタムより20m増えて140mになっている。いかに軽量なまま、剛性を増やすか、に知恵が絞られ、職人のワザが使われている。車重増はサルーン比70kgで、車重は2620kg。絶対的にはウルトラ・ヘビー級ながら、サイズのわりには軽いというべきだろう。
 パワートレインについてはファンタムと同じ。エンジンは6.75リッターV12直噴DOHCで、最高出力460ps/5350rpm、最大トルク73.4kgm/3500rpm。わずか1000rpmでエンジン出力の75%を生み出す圧倒的フレキシビリティがジマンだ。実際、12気筒ということもあって、きわめて滑らかな、まったくもってストレス・フリーの加速感をもたらす。ギアボックスはZFの6段オートマチックで、ギア比も同じ。

幌のスイッチはセンター・コンソール内に隠されている
後席は大人ふたりが乗れる
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幌のスイッチはセンター・コンソール内に隠されている。
後席は大人ふたりが乗れる。


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