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メルセデス・ベンツが放ったコンパクトSUV、GLKにドイツ・デュッセルドルフで乗る。


ちょっと前のメルセデスの味
 GLKのエンジンは、ディーゼルが2.2リッター直4と3.2リッターV6の2種類、ガソリンが3リッターV6と3.5リッターV6の2種類。すべて7段ATの7Gトロニックと組み合わされ、最新の4マチック・フルタイム4WDシステムを介して4輪を駆動する。
 まずはガソリン3.5リッターV6のGLK350から試乗した。エクステリア・スポーツ・パッケージ装着車で、車高を20mm下げたスポーツ・サスペンションに19インチ・タイヤ、クローム・ルーバーが3本のラジエター・グリル、ボディ同色のバンパーとサイド・スカート、アルミ・ルーフレールなどが奢られた、見映え重視のオンロード仕様だ。
 走り出して驚いたのは、こんなナリをしていても、メルセデスならではの圧倒的なスムーズネスが健在であること。それに加えて、ちょっと前のメルセデスが持っていた落ち着きや重厚な味わいが色濃く残っていることだった。
MERCEDES-BENZ GLK
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4マチックの基本
トルク配分は前後45対55。トランスファーから前軸へ向かうシャフトがあるため、右ハンドルの設定はない。
 たとえば発進の時、アクセレレーターを踏み込んでいっても一瞬前に進まず、アレッと戸惑ってしまう独特の間がある。あるいは、径がやや大きめで、握りも昨今のスポーツ・モデルみたいに太くないステアリングを切っていく時の、とろけるように柔らかい感触。16対1のギア比は速すぎず遅すぎず、しかも初期のゲインが大きくないので、常にゆったりとリラックスして乗っていられる。
 GLKのシャシーは基本的に新型Cクラスからの転用だが、4マチックになっているためか、乗り味はずいぶん違う印象だ。Cクラス自慢のアジリティより、どっしりとした重厚感が強くなっている。
 乗り心地は、19インチを履いているとは思えないほど良好だ。足は良く締まっているのに、ガサガサした感じはないし、突き上げも皆無。
GLK350に搭載される3.5リッターV6ユニット
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GLK350に搭載される3.5リッターV6ユニット。
Cクラスゆずりの機械式アダプティブ・ダンパーは、本当によくできていると思った。高速安定性も抜群で、時速200kmで走ってもビクともしない。しかも、Aピラーがこれだけ立っているのに、風切り音は驚くほど小さいのだ。
 中高速域でのコーナリング性能も素晴らしかった。スタビリティが高く、ちゃんと足がついてくる。ユラユラすることなどまったくない。
 特別新しい技術が投入されているとは思えないのに、とにかく良くできたクルマだなあ、と思わせるところが、メルセデス流と言うべきか。



オフロードも本格派

 その後、オフロードも体験した。同じGLK350でも、オフロード・スタイリング・パッケージ装着車はノーマルと同じ17インチ・タイヤを履き、ラジエター・グリルはクローム・ルーバー2本になる。ルーフレールはマット・ブラック仕上げ。
 さらに試乗車には、オフロード・エンジニアリング・パッケージも装着されていた。これには、ブレーキを一切踏まずに予め決めた一定の速度で急坂を降りることが可能なダウンヒル・スピード・レギュレーション(DSR)や、アクセル特性やトランスミッションのシフト・ポイント、さらには自動安定装置(ESP)の設定をオフロード向きに変更する“G”スイッチが含まれている。
 下の写真でもご覧のように、さすがエンジニアが胸を張るだけあって、GLKのオフロード性能はそこいらのナンチャッテSUVとは一線を画した本格的なものだった。実際にGLKでオフロードをガンガン走ろうという人がそういるとは思えないが、こういうのは、やろうと思えばできる、という事実が重要なのだ。
メルセデス・ベンツ GLK
オフロード・エンジニアリング・パッケージには、ダウンヒル・スピード・レギュレーション(DSR)やオフロード走行プログラムを起動させるGボタンがつく。
オフロード・スタイリング・パッケージには2本クローム・ルーバーのラジエター・グリル
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オフロード・スタイリング・パッケージには2本クローム・ルーバーのラジエター・グリル。
 さらに新しいディーゼルを搭載したモデルにも試乗した。170ps/40.8kgmの2.2リッター直4ターボを搭載する220CDIブルーエフィシェンシー。GLKクラスのベースを担うモデルだが、これが存外素晴らしい走りを持っているのに感心した。
 V6モデルとは、少し乗り味が違い、こちらは動き出しからしてすこぶる軽快。強大なトルクを低回転域から出しているから、コンパクトとはいえそれなりに重いボディが、とにかくスッと前に出る。鼻先も軽い印象で、よく曲がるから、アップダウンのあるワインディングを走るのが楽しかった。ただし、このディーゼルに日本導入の予定はない。
アプローチアングルは23度、デパーチャーアングルは25度
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アプローチアングルは23度、デパーチャーアングルは25度。


 再び別のGLK350に乗り換えてホテルへの帰路につく。今度はオプションの20インチを履いていたが、それでも足が硬すぎる感じはない。
 一日走って、それでもまったく疲れを感じないのは、乗り心地がいいのと、スタビリティが高いからリラックスして運転できること、それにサイズがほどほどで取り回しがいいことも寄与しているだろう。全長はCクラス・ステーションワゴンより72mm短い4528mm。見かけよりコンパクトで視点が高いから、ゴミゴミした都会でも運転しやすいに違いない。見た目は武骨でも、乗る人にはすこぶる優しいクルマなのだ。
クラシックな角張ったデザインが逆に新鮮だ
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クラシックな角張ったデザインが逆に新鮮だ。
  
 メルセデス・ベンツGLK350
駆動方式フロント縦置きエンジン4WD
全長×全幅×全高4528×1840×1689mm
ホイールベース2755mm
車両重量1830kg
エンジン形式水冷V型6気筒DOHC
排気量3498cc
ボア×ストローク92.9×86mm
最高出力272ps/6000rpm
最大トルク35.7kgm/2400-5000rpm
トランスミッション7段AT
サスペンション形式(前)マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション形式(後)マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後)通気冷却式ディスク
タイヤ(前)235/60ZR17 (後)255/55ZR17
車両本体価格675万円



(2008年10月号掲載)


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