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ロールズ・ロイス200EXお披露目会@シンガポール・リポート


ROLLS-ROYCE 200EX
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ROLLS-ROYCE 200EX


ターゲットは、ベントレー!


今年のジュネーブに「200EX」名で出品された、通称“ベイビー・ロールズ”は、
前宣伝を兼ねて現在ワールド・ツアー中。3月下旬にシンガポールで開かれたお披露目会から報告する。
文=今尾直樹(本誌)
写真=ロールズ・ロイス・モーター・カーズ



ロールズ版アルナージ!?

 200EXの実物は、権威主義よりも、エンスージアズムを感じさせた。長大なボンネットに、スラントしたパルテノン・グリル。20インチ・タイヤ。現行ベントレー・アルナージを全幅と全高で若干上回る小山のようなボディ・サイズなのに、こいつはドライバーズ・カーだ! そう直感させる。
 今年秋のフランクフルト・ショウで正式デビューする200EXの生産型、コード・ネーム「RR4シリーズ」は、アルナージの双子車であったところのRRシルヴァー・セラフの再来、アラビアのロレンスも愛用したというシルヴァー・ゴーストの21世紀版という見方もできるけれど、いやいや、そうではない。
 3月下旬のニューヨーク・ショウでRR4の中身が少しだけ追加発表されている。それによれば、エンジンはRR専用に開発された新型6.6リッターV12ツイン・ターボで、最高出力507ps以上を発揮。新開発の8段オートマチックと組み合わされるのは燃費、すなわちCO2低減のためだろう。加速データ等は未公表ながら、関係者によれば、車重2.5トンで、0-100km/h加速を5秒ほどでこなすという。現行アルナージは最高出力507psで、0-100km/h加速5.5秒。つまり、200EX=RR4とはRR版ベントレー・アルナージなのだ! 
 価格は25万〜28万ドルと予想される。「RR4シリーズ」というからには、コンバーティブルなりクーペなりの派生モデルがその後登場する可能性を示唆している。


20年後も“最新”
 ロールズ・ロイスを見事に現代化した200EXのデザインについて、チーフ・エクステリア・デザイナーのマーク・マイケル・マーケフカは次のように語っている。
「RR4のデザイン・テーマは、“レス・フォーマル”“モア・ダイナミック”“モア・コンテンポラリー”でした。最も難しかったのは、伝統的なRRにモダニティ(現代性)をどれぐらい加えていくのか、ということです。コンテンポラリー(現代的)はファッションではない。RR独自の、時代を超越した現代性が求められているのです。これまでつくられたRRのほとんどがいまでも現役で、かっこいいと思われている。ですからメイン・ストリームのファッションは追わない。20年後も“最新”だと感じるようなユニークなクルマをつくりたかったのです」
デザイナーのマーケフスカさん。68年独マンハイム生まれ
デザイナーのマーケフスカさん。68年独マンハイム生まれ。
 デザインの開発がスタートしたのは3年前。着想を練ったのはロンドンのデザイン・スタジオでだった。RRのヘリティッジを考えたとき、ロンドンの現代性、コスモポリタン、アートの展示会などの雰囲気が必要だった。ロンドンは実際に使われているRRを見るのにいい町だった。
 実際の開発はミュンヘンで進められた。タイムレス・モダニティを求めて、クレイモデルとコンピューター3Dモデルとを行ったり来たりしながらデザインを具現化していった。
 サイズと“ベイビー・ロールズ”という愛称についての関係を訊ねると、マーケフカは笑ってこう答えた。「“ベイビー・ロールズ”はメディアが使った言葉で、RRの言葉ではない。この言葉がメディアに出た時にはデザインは決まっていました。私は好きな言葉ではありません。実際はビッグ・カーですから。たしかに赤ちゃんだけど、たぶんベリー・ベリー・ビッグ・ベイビーです」


中央が200EX
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中央が200EX。全長5399×全幅1948×全高1550mm、ホイールベース3295mm。隣のファンタムより435mm短く、42mm細く、80mm低い。ホイールベースは275mm短い。「ファンタムがタキシードだとすれば、RR4はレス・フォーマルなスーツ。躍動的でエキサイティングなRR4はRRを新しい領域に導く」とトム・パーヴスCEO。Sクラスや7シリーズ、フェラーリ等、RRに乗ったことのない顧客が関心を寄せているという。


なぜロールズは必要なのか

 昨年ロールズ・ロイス・モーター・カーズのCEOに就任したトム・パーヴスの話も興味深い。パーヴスは1967年にロールズ・ロイス社の自動車部門にエンジニア見習いとして入社、英国BMWにヘッド・ハンティングされるまで19年間、RR一筋を貫く。BMW移籍後、99年から米国BMWのCEOに就任。08年にCEOとしてRRに戻ったのは運命というべきか。
 1998年にBMW傘下で白紙から再スタートしたRRモーター・カーズは、03年にファンタムを発表、以後5年連続売り上げ増を達成する。08年には前年比20%増の1212台を販売。イギリス南部のグッドウッド工場は不況にもかかわらず、現状を維持し、さらにRR4用の第2ラインを建設、生産能力を2倍にしつつある。RRは次の段階へ踏み出したわけだ。では、RRのエクスクルーシヴネスを保つには年産何台ぐらいが適当と考えるか?
「年産3千台から、最大で4千台です。これぐらいが持続可能で利益が出せます。フェラーリは6千〜7千台、アストンは9千台、ベントレーは1万台です。エクスクルーシヴィティが数だとすれば、われわれのほうがエクスクルーシヴです。最もエクスクルーシヴなのはブリストルだ、という説もあります(笑)」
 いまの時代、なぜRRのようなクルマが必要なのでしょう?
「オープンに話しましょう。ベストのものを持ちたい、ベストを達成したい、というのは人間の欲求です。別にRRじゃなくてもいいんです。ただ、われわれにはベストな、ピナクル(頂点)なクルマをつくりたいという欲求がある。そこにRRの必要性が出てくる。ただし、社会に適合していなければならない。20年前だったら別ですが、いまの世の中、CO2の削減も無視できない。われわれはクラス・ベストといっているけれど、本当にそうなのか? つねに自らに問いかけていくことが重要だと思います」
 では、将来のRRはどうなる?
「もし、RRのディーゼルをつくるとすると、トルクの性格はクルマにピッタリ合う。でも、アメリカも中東も中国も、ディーゼルのマーケットではない。そうなると洗練されたガソリン・エンジンが論理的だと考えます。大型車のハイブリッドはむずかしい。将来は電気でしょう」


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(2009年6月号掲載)
 
 
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