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ボルボの最新ハッチバック、新型V40にイタリアで乗る。


VOLVO V40
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VOLVO V40


モテちゃう予感!


今年3月のジュネーブ・ショーでデビューした新型ボルボV40が、いよいよヨーロッパで発売される。
イタリア、ヴェローナの高級ホテルで開かれた試乗会から本誌記者が報告する。


文=荒井寿彦(本誌) 写真=ボルボ・カーズ・ジャパン



貴族の館


 イタリア北部の古都、ヴェローナ郊外にあるホテル「ビブロス・アート・ホテル」に、日本人ジャーナリスト一行を乗せたバスが到着したとき、私は建物の美しさに思わずため息をもらした。
 客室50のこのホテルは典型的なバロック建築で、壮麗という言葉がピッタリだ。噴水があり、広大な庭園には色とりどりの花が咲き乱れ、いかにもヨーロッパの古い館といった印象だ。ところが、ホテル内に一歩足を踏み入れると、様相は一変。前衛的な絵画や彫刻がいたるところにあり、とてもモダンなデザイナーズ・ホテルという感じだ。
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シートの掛け心地はソフトで包み込まれる感じ。スタイリッシュなデザインながら後席の居心地も良好。足元、頭まわりも余裕があり、シートの掛け心地も前席と遜色ない。
フロントでもらったパンフレットによると、館内の装飾は、スウォッチのアート・ディレクターを務めたこともあるイタリア・デザイン界の巨匠、アレッサンドロ・メンディーニによるもので、過去と現代、上品さとアヴァンギャルドの幸福な結婚とあった。
 ボルボの最新ハッチバック、V40の試乗会は、かようにとてもエクスクルーシブな雰囲気でスタートした。
 V40といえば、初代は1995年に登場した小型ステーションワゴン。2004年のフルモデルチェンジで車名をV50に変え、現在も販売されている。まったく新しい5ドア・ハッチバック・モデルに昔の名前を付けるからややこしいけれど、中国資本傘下となった新生ボルボの明日を担う重要なモデルだ。
 開発テーマはスタイリング、走行性能、安全面においてクラスをリードするというもの。新型V40が属するクラスをボルボでは、プレミアム・ハッチバック・クラスと考えている。
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上品な北欧デザインのなかに、メーターやステアリング・ホイールなどスポーティなエッセンスを盛り込んだ室内。LEDでシフト・ポジションが光るシフトレバーもオシャレ。この写真でもAピラーの傾斜がすごいのがわかる。
ライバルはメルセデス・ベンツAクラス、BMW1シリーズ、アウディA3だ。
 2011年に登場したS60やV60と同じように、エッジーなスタイリングや運転の楽しさといった動的な分野で勝負に出ている。これまでのボルボは知的で大人しい草食系だった。国際試乗会を陽光眩しいイタリアで開き、上品ながらアヴァンギャルドな面も持ったホテルを基地に選んだのは、新しい情熱的なボルボを強調したかったからかも知れない。

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(写真左)荷室容量は335リッター。床板を持ち上げ、立てると仕切り板になる仕組み。後席は60:40の分割可倒式となる。(写真中央)パフォーマンス・モードを選ぶとメーターの照明が赤くなる。エコは緑、エレガンスはこはく色。(写真右)フレームレスのルーム・ミラー。細かいところがオシャレだ。


ベースはC30

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歩行者用エアバッグは20km/h〜50km/hで、バンパーに備えられた7つのセンサーが人間の足に当たったと判断したときのみ展開する。
 ホテルの駐車場に並んだ新型V40は、貴族の邸宅や咲き乱れる花々を背景にしても、存在感で負けていなかった。華やかなボルボというのが第一印象。そばにいたギリシャ人ジャーナリストに「どう?」と訊いたら、親指を立てた。
 ベースはV50と同じいわゆるフォードがフォーカス用に開発したC1プラットフォームだが、大幅に進化していて、もはやオール・ニューなのだとボルボは言う。
 ロウ・アンド・ワイド。スポーティなシルエットだ。真横から見ると、Aピラーが極端に後傾しているのがわかる。ルーフへなだらかに繋がるラインが美しい。ショルダー・ラインはリアに向かって緩やかに上昇、低い屋根との間に挟まれたサイド・ウィンドウは小さく、クーペのような印象を与えている。
 ノーズが先端に向かって絞り込まれた精悍な顔つきは、S60/V60と似ているが、専門のデザイナーが手掛けたというヘッドライトは黒ベースで目元がより凛々しい。
 おしりもセクシー。リア・ウィンドウは大きく前傾し、バンパーとの間を凹面デザインすることで躍動感を出したという。
 エンジン・ラインナップは8種類。ガソリンは2・5リッター直5ターボ(254ps)、出力の異なる2リッター直5ターボ2種(213ps、180ps)と、同じく1.6リッター直4ターボ2種(180ps、150ps)の計5種類。ディーゼルは2リッター直5ターボが2種(177ps、150ps)と1.6リッター直4ターボ(115ps)の計3種類だ。2リッター以上のモデルはすべて4WD、1.6LモデルはFFとなる。
 日本仕様は1.6リッター直4ターボの180ps版で、S60/V60のDRIVeと同じ。組み合わされる変速機も同じ。デュアルクラッチ式の6段だ。



トルキーな1.6直4ターボ


 試乗車は日本向けとなる1.6リッター直4ターボと、2リッター直5ターボ・ディーゼル(177ps)が用意されていた。まず、ガソリンに乗った。ドアを開けるとボルボに共通のフローティング・センター・スタック(板状のセンター・スタック)が目に飛び込んできた。とはいえ、いつものスカンジナビアン・ラグジュアリーとはちょっと雰囲気が違う。まず、シフトレバーが新しい。透明のアクリル・カバーの下でNのポジションが光っている。メーター・ナセル中央には速度と回転を表示する大きな円形メーターがひとつ。ルーム・ミラーはふちなしで、昔のスポーツカーのようだ。こうしたディテールが落ち着いた雰囲気に、スポーティなエッセンスを加えている。一方、シートの掛け心地はいつものボルボで、ソフトで快適だ。
 走り出してすぐに、やっぱりこのエンジンはトルキーでいいなあと思った。1.6リッター直4ターボは1600〜5000rpmの回転域にわたって最大トルク240Nmを発生する。デュアルクラッチ式変速機のマナーもいいので、クルマの第一印象がいい。高速道路に入ってからの加速も良かった。エンジンは6500rpmのレブリミットまでストレスなく吹け上がり、ターボ・ラグがほとんどないので扱いやすい。しかも、100km/h巡航は2100rpm。静かである。
 一方、乗り心地は硬い。カントリー・ロードに入り、路面がちょっと荒れると、突き上げがビシビシ来た。テスト車は10mmロー・ダウンして、足を固めたスポーツ・シャシー仕様で、タイヤも245/40ZR18というオプションを履いていたからだ。その恩恵を感じたのは、ぶどう畑を縫うようなツイスティな坂道に入ってからだ。コーナリングにおける鼻の動きが軽快で気持ちいい。操舵とのシンクロ感がいい。これなら箱根の長尾峠を走ってもきっと爽快だ。ただし、この場合は変速機をマニュアル・モードにするべきだろう。
 ディーゼル仕様は標準シャシーだったので、乗り心地をチェックした。 ハッキリ言ってこちらのほうが快適です。日本仕様のタイヤは標準の16インチになるというから、もっと良くなるはずだ。
 安全面における最大の注目はペデストリアン・エアバッグ(=歩行者エアバッグ)だ。万が一、歩行者をはねてしまったとき、ボンネットが瞬時に持ち上がると同時に、硬いAピラーとウィンド・スクリーン下部をUの字型にエアバッグが覆い、はねられた歩行者の頭部損傷をやわらげるというものだ。
 イケメンで、強くて、しっかりと守ってくれるやつがモテないはずがない。ライバルにとって頭の痛い存在になるかもしれない。新型V40の日本導入は2013年春。楽しみだ。

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インバース面が印象的なリア・スタイル。リバースにシフトすると、リア・バンパーのレーダーが左右から来るクルマを感知、70mで警告音を発する安全システムを備えている。駐車場からバックで交通量の多い通りに出るときに便利だった。

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筆者は真横が一番好き。Aピラーからルーフ後端までの流れるようなライン、リアの張り出しがとても躍動的な印象を与える。






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2020年、新しいボルボに乗った人の交通事故死者数をゼロに

「安全」が社是のボルボ本社には衝突実験を行うクラッシュ・ラボラトリーがある。そこでボルボの安全に対するプレゼンテーションが行われた。ボルボは安全性向上のために、?現実の事故を調査分析。?それに対する新しい安全システムを開発。?システムを搭載したクルマの事故を再び調査する。というループを回し続けている。事故調査は1970年からスタートし、いまも年50〜100件の現場に駆け付ける。すでに約5万件のクラッシュ・データ・ベースを持っているという。
追突防止装置「シティ・セイフティ」がXC60に初搭載されたのが2008年。以来、搭載モデルを増やし続け、昨年は2007年と比べてボルボの追突事故が22%減少したという。結果、このシステムを搭載したボルボ車の保険料金はスウェーデンや米国で10〜25%安くなっている。警察や国交省などもボルボに協力、官民一体となった事故防止の体制がとられている。日本は何をやってるのか。

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安定した姿勢でコーナーを駆け抜ける新型V40。 素直で反応の早いステアリング・フィールが印象的だ。0-100km/h加速は8.5秒、最高速225km/h。カタログ燃費は16.2km/L。CO2排出量は144g/km。


  
 VOLVO V40
駆動方式フロント横置き前輪駆動
全長×全幅×全高4369×1802×1445mm
ホイールベース2647mm
車両重量1450kg
エンジン形式直列4気筒DOHCターボ
排気量1596cc
最高出力180ps/5700rpm
最大トルク240Nm/1600〜5000rpm
ギアボックスデュアルクラッチ式6段自動MT
サスペンション(前)マクファーソン・ストラット
サスペンション(後)マルチリンク
ブレーキ(前後)ベンチレーテッド・ディスク/ディスク
タイヤ(前後)245/40ZR18
車両価格未定



(2012年10月号掲載)
 
 
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バックナンバーページの定価表記について
「ENGINE 2014年3月号」以前の定価表記は、発売時の定価になっております。
予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



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