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キャディラックのニューモデル2台に乗る


Cadillac XLR/SRX
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Cadillac XLR/SRX


新しい息吹と華やかな伝統


エッジの効いたデザインが特徴的な新型キャディラックが2台同時にやってきた。
SUVのSRXとラグジュアリー・ロードスターのXLR。その実力は?
文=荒井寿彦(本誌) 写真=柏田芳敬



高津のシンカー

 テレビを見ていたら、野球評論家の張本勲氏が元ヤクルト・スワローズの高津臣吾投手の米大リーグ挑戦についてコメントをしていた。
 「高津のシンカーは通用しないかもしれない。大リーグでは“低めが打てないとキャディラックに乗れない”と言われてますから」
 的外れだと思った。高津のシンカーではなく、キャディラックである。
 張本氏の現役時代は、アメリカ人にとって成功の証だったキャディラックも、購入者の平均年齢はいまや張本氏と同じ63歳。90年代後半から若い顧客層をメルセデス・ベンツ、BMW、ジャガー、レクサスといった欧日の高級車に奪われ苦戦を強いられている。コメントが的外れに感じたのは、大リーグで活躍する若い選手にとって、もはやキャディラックは過去のクルマではないかと思ったからだ。たとえば、ロサンジェルスに住むドジャースの石井一久投手の愛車はBMW X5である。
 GMは顧客の高齢化の理由を、北米市場を重視したクルマ作りに傾注しすぎたと分析し、キャディラックをグローバルなプレミアム・ブランドに変革させることを計画した。
 世界の高級車市場で戦えるラインナップを新たに構築し、世界に打って出なければ、北米市場での若返りもないと考えたのである。なかでも成長著しいプレミアムSUV市場に投入されるのが、今回上陸したキャディラック初の中型SUV、SRXだ。
 同時にやってきたラグジュアリー・オープンのXLRには、数を売るというより、新生キャディラックのブランド・イメージを牽引する任務が課せられている。
低く身構えたSUV

 SRXから試乗した。直線基調のシャープなボディ・ラインは未来的でなかなかカッコイイ。ライバルのBMW X5と比べると300mmも長く、30mm低いので、SUVでありながら低く身構えた印象を受けた。
 フロントに縦置きされた4.6リッターV8はセビルに搭載されているものの改良型。可変バルブタイミング機構が新たに採用されたほか、約80%のパーツを新設計したという。結果、旧型モデルより性能が20ps、2.1kgm向上、324psと42.9kgmを発生する。トランスミッションは5AT。フルタイム4WDである。
 試乗車は7人乗りの3列シート・モデルで価格は765万円。
 結論から言うとSRXはとても魅力的なSUVだった。走り出して最初に感心したのはボディが非常にしっかりしていること。乗り心地もフラットで快適。SRXにはリアル・タイムでダンパーの減衰力調整を行う“マグネティック・ライド・コントロール”が搭載されている。磁気粘性流体を封入したモノチューブ・ダンパーが、ホイールの位置を検知するセンサーからの情報により、減衰力を1秒間に最大100回調整するというもの。これがとてもいい働きをしている。
 4.6リッターV8は、低回転域から力強く、2100kgという車重を感じさせない。吹け上がりもスムーズで6500rpmのリミットまで一気に回り、胸の空く加速が味わえる。
Cadillac SRX
(写真上)SRXのインパネ回りはセダンのCTSを踏襲。レザーシートは標準装備、左ハンドルのみの設定。
(写真下)3列シート・モデルに標準装備されるリアDVDエンターテインメント・システム。2列シート・モデルでは電動スライディング・ルーフとのセット・オプションでプラス40万円。
 山道でも爽快だった。下半身がどっしり安定していて
背の高いSUVなのにロールが小さい。前後重量配分がほぼ50:50なのと、ドイツのニュルブルクリンクで煮詰めたという足回りにより、軽快にコーナーを駆け抜けていく。
 路面からの情報をきちんと伝えてくれるステアリング・フィールにも好感をもった。しっかりと踏み応えのあるブレーキは信頼感があって頼もしく、制動力にも優れている。
 SRXの特徴を一言で言うなら、“スポーティな走りのSUV”だ。


Cadillac SRX
(写真左)XLRと共通の4.6リッターノーススターV8は最高出力324ps/6400rpm、最大トルク42.9kgm/4400rpmを発生する。
(写真右)3列目のシートは電動収納式。格納所要時間は17秒。


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