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ミニ・クーパーのオープン、280万円台〜で国内発売!


MINI Cooper Convertible/ミニ・クーパー・コンバーチブル
MINI COOPER CONVERTIBLE/ミニ・クーパー・コンバーチブル


このクルマの鍵、返したくない。
先月、世界の各誌をにぎわした屋根開きミニが早くも日本上陸!
国内発売を待ちわびていたオープン・カー好き編集部員の試乗報告。
文=数藤 健(本誌) 写真=小久保昭彦
 こんなに注目されたのは久しぶりだ。ホット・オレンジのボディカラーにダークブルーのソフトトップをあわせ、17インチ・ホイールで足元をキメたミニ・クーパー・コンバーチブルを発表の翌々日から4日間借り出したときのこと。
 「あれ見てあれ!」と指さされること数知れず。高速道路で延々と横に並ばれること4度(追い越し車線に出たならとっとと抜いて走行車線に戻ること!)。「これいくら?」と聞かれること3度。オープン状態のまま信号で停止すると、四方八方から視線が集まる。
 かつてユーノス・ロードスター、ホンダ・ビートを所有し、現在はBMW Z4をプライベート・カーにしている筆者は、オープンカー乗りに向けられる好奇、共感、羨望、嫉妬、嘲笑(!?)など、さまざまな意図を含んだ視線には慣れっこだ。
 好きで買って乗っているわけで、他人にどう思われようとかまわないのだが、ミニ・コンバーチブルの場合は「共感・羨望」のニュアンスが込められた視線が多かったように思う。みなさん、目が優しく笑っているのだ。さすが年間17万6000台(2003年)も売れる、世界中で愛されるキャラ。自分のモノじゃないのにこころがホットになった。
MINI Cooper Convertible/ミニ・クーパー・コンバーチブル
(写真上段)専用設計部品がふんだんに使われた質感の高い室内。デザインに大きな変更はない。インパネ中央に水温計、油圧計、油温計、燃料計などが付く「コクピット・クロノ・パッケージ」はオプション。(写真中段)Aピラーが立っているため、走行時の開放感は抜群。リアシート後方にはクローム仕上げの強固なロールオーバー・バーを備える。(写真下段)試乗車はボディカラーと合わせたオレンジのファブリック、幌と合わせたブルーの皮革を組み合わせたスポーツシートを装備。後席はサスペンションと幌の開閉機構の張り出しにより、左右の幅が狭い。
電動ソフトトップ開閉の図
電動ソフトトップ開閉の図。最初に約40cmスライドし、Z型に持ち上がり、ロールオーバー・バー後方に収まる。
見事な屋根仕舞い

 コンバーチブル開発の背景、メーカー側の主張については、南仏で開催された国際試乗会に出席したイマオ副編の試乗記(10月号)に詳しい。よって右ハンドル車に日本で乗って走った印象を中心にリポートする。
 日本に導入される屋根開きミニは、クーパー・コンバーチブル(5MT=282万4500円、CVT=292万9500円)と、クーパーS・コンバーチブル(6MT=323万4000円)の2グレード3仕様。今回の試乗車はクーパーのMT版だ。
 コンバーチブルの押さえどころは(1)約15秒で開閉する全自動ソフトトップを標準装備する4座オープン (2)補強された高剛性、安全ボディ (3)多彩なボディ、インテリアカラーと豊富なオプション装備――の3点と見る。ハイライトは何と言っても(1)だから、前号との重複を承知でまずはルーフを開けるときの動作ロジックをご紹介。
 開閉は室内のフロントスクリーン上端、ルームランプ手前に配置されたスイッチで行う。スイッチを押し続けると、幌の先端がまず40cmほどスライドし、いったん止まる(左写真上段)。小型ハッチバックで一時流行った“キャンバストップ”やサンルーフのように途中の任意の位置で止められるし、120km/hまでなら走行中でも操作できるから、ちょっと換気したいときなどに便利だ。
 ここから先は停止状態でないと動作しない。再度スイッチを押し続けると、フロントスクリーン上端左右のラッチが自動的に外れ、幌がZ字型に折りたたまれてリアシート背後の狭いスペースに収まる(左写真中段、左写真下段)。Z4同様、畳んだときにカバーをかける必要がいっさいない、見事な屋根仕舞いである。
 屋根と窓の全閉→全開にかかる時間は実測で20秒弱。筆者は無類のオープン好きだが我慢はキライ。だから暑かったり寒すぎたり埃っぽかったりすると、直ちに幌を上げる。つまり頻繁に開閉を行うので、素早く動作しカバーも不要な電動幌を作ったBMW(とルーフ・メーカーのOASYS社)には心から拍手をおくる。
MINI Cooper Convertible/ミニ・クーパー・コンバーチブル
(写真左上)ダイムラー・クライスラーと共同開発し、ブラジルで生産する1.6リットル直4“ペンタゴン”ユニットは116ps/6000rpm、15.2kgm/4500rpmを発生。(写真右上)5本スポークの17インチ・アルミ+205/45R17ランフラットタイヤはオプション。標準装備は15インチ・アルミ+175/65R15。(写真左下)ソフトトップはブラック(標準)のほか写真のダークブルー、ダークグリーンの3色から選べる。ブルー、グリーンを選んでも追加料金はなし。リア・ウインドウはガラス製。(写真右下)左が電動ソフトトップの開閉スイッチ。右は4枚の窓の全開、全閉スイッチ。


ドイツの血筋

 オープン化に伴うボディ各部の補強のために、車検証記載の車重は1270kgと従来モデルより約145kg重くなっている。しかし、ギア比の低められたあたらしい5MTとの組み合わせでは、動力性能に大きな不満は感じなかった。  ミニの1.6リットルSOHCユニットは低速トルクに乏しいのが欠点だが、3500rpm以上回してやれば平坦な道ではほぼ望み通りの加速Gが得られる。ゴツッと入るMTの操作感は相変わらず節度があって頼もしい。ステアリングの取り付け剛性も、ボディの剛性感も、このクラスでは文句なしの最上級。スキなしの優等生。さすがドイツの血筋である。
 パワー・トゥ・ウェイト・レシオは10.9kg/psにすぎないから、ワインディングロードを楽しむ際はレッドゾーンの6800rpmまで頻繁に回すことになる。そこまで引っ張ったときの振動・騒音はやや大きめだが不快なレベルではない。
 車重の増加は、乗り心地にむしろ好影響を及ぼしている。従来のミニで感じられた上下の揺すられ感、リアの跳ね感がない。試乗車はオプションの17インチ・アルミとスポーツ・サスペンションを装着していたが、大きめの目地段差を越えるときの突き上げ感、スカットル・シェイクも気にならないレベルだった。
 心底驚いたのは高速道路での風の巻き込みの少なさ。オプションのウインド・ディフレクターを付け、サイド・ウインドウを上げると法定速度以上でもじつに快適。100km/h巡航では風は頭頂部をそより、となでていく感じだ。1.6Lクラスでこれほど平穏にオープンエア・クルーズができるクルマを他に知らない。このクルマの鍵は返したくない、と箱根帰りの東名で思った。
 最後にオプション装備についてふれておく。本当に鍵を返したくなくなった筆者は、返却前夜、買う気でカタログを隅々まで読み込んだ。そして愕然。ほしいものをどんどん付けていくと税込み車両価格はじつに330万円近くになってしまうのだ。
 簡潔にするために税抜きで列記する。メタリック・ペイント5万円、キセノン・ヘッドランプ7万円、スポーツ・サス2.5万円、17インチ・アルミ20万円(タイヤ含む)、コクピット・クロノ・パッケージ2.5万円、スポーツ・シート4万円、ボディ同色インテリア・サーフェス2.5万円、ウインド・ディフレクター4万円……。ダイナミック・スタビリティ・コントロール(横滑り防止装置)は9万円もする。ちなみにDSC以外は試乗車に付いていた装備。
 ミニ・コンバーチブルが価格を超えた価値を持つ魅力的なクルマであることは間違いない。が、欲望のままに満艦飾にすると、1.6リットル車としてはなかなかイイお値段になる。
 さらに付け加えればボディカラーは12色、ソフトトップの色は3色もある。抗いがたい魅力を放つ実車を街角やディーラーで目の当たりにした潜在ユーザーたちは、装備の取捨選択に大いに頭を悩ませることになりそうだ。それもまた楽し、か。


2004年11月号掲載



 
 
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