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いよいよ発売開始されたマツダ・ロードスターに箱根で試乗!


マツダ ロードスター
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MAZDA ROADSTER



2代目より初代に近い3代目。


7年ぶりにフルモデルチェンジして、3代目に生まれ変わったロードスター。
前号の筑波サーキット試乗に続き、今度は箱根で3つのグレードのすべてに試乗した。
文=村上 政(本誌) 写真=柏田芳敬



3つのグレードの違い

 6月のハワイ試乗、7月の筑波サーキット試乗に続き、今月はいよいよ国内販売開始となった新型マツダ・ロードスターに、箱根の一般公道で試乗することができた。
 ハワイではほとんどワインディングを走ることができなかったし、サーキットでの試乗では、乗り心地や音・振動面での快適性については分かりにくい。今回、走り慣れた箱根の峠道で試乗することで、ようやく新型ロードスターの走りの性格がかなりハッキリとわかってきた。
 しかも、これまでは3つあるグレードのうち、走り重視の「RS」のみの試乗だったが、今回はすべてのグレードが揃っていたので、新型ロードスターの全容を初めて体験することができたのである。
 まずはその3つのグレードの違いについて、簡単に解説しておこう。ベースグレードとなるのは「ロードスター」で、トランスミッションは5速MTと6速ATから選べる。5速MTのギアボックスは、旧型からのキャリーオーバーでマツダ内製。6速ATは今回新たに導入されたアイシンAW製だ。タイヤとホイールのサイズは16インチ。
 それが走り重視の「RS」になると17インチに大型化される。トランスミッションは6速MTのみで、ギアボックスは新開発のマツダ内製のもの。旧型ではアイシンAI製を使っていたが、今回、さらなるシフト・フィールの追求の結果、自ら新たに開発することになったのだという。これには相
マツダ ロードスター
(上)ベースグレードとRSの内装色はブラックでシートは布製。
(下)VSの内装色はサドル(馬の鞍)タンでシートは本革製となる。
当なコストがかかっているはずで、いかにロードスターがこだわりを持って丁寧に作られているかを物語るエピソードといえよう。RSはさらに、ビルシュタイン製ダンパーやトルクセンシング式LSD、フロント・サス・タワー・バーなどで武装している。
 そして、最後にゴージャス仕様の「VS」。タイヤとホイールのサイズはベースグレードと同じ16インチだが、ソフトトップがビニール製からクロス製にグレード・アップし、シートも本革となる。トランスミッションは6速MTと6速AT。
 エンジンはいずれもアルミ・シリンダー・ブロックを持つ2リッター直4MZRエンジンで、吸気側にシーケンシャル・バルブタイミング機構を備えているのが特徴だ。MT用とAT用では若干チューニングを変えてあり、MT用は最高出力が170ps/6700rpmで、AT用は166ps/6700rpm。最大トルクは共通の19.3kgm/5000rpmとなっている。
RSの意外な一面

 最初に試乗したのはRS。すでにハワイや筑波でも試乗したグレードだが、走り出しから圧倒的な軽快感を運転する者にもたらしてくれるのはすでに経験した通りだった。とりわけ、2000回転前後からアクセレレーターを踏み込んでいく時の加速感が実に気持ちいい。このあたりはかなり徹底的なチューニングが施されているようで、エンジニアの話でも、2000〜3500回転あたりでの加速感を良くするために、フライホイールの軽量化をはじめ様々な工夫が凝らされているという。
 その一方で、大幅に剛性感が向上したボディは、ステアリング・ホイールやペダル類の剛性アップと相まって、旧型とはひと味違った高級感をかもし出しており、車格が上がったようにさえ感じられる。
 しかし、今回、箱根のワインディングで乗って意外だったのは、荒れた路面での突き上げが思ったより強く、乗り心地が必ずしもいいとは言えないことだった。サスペンションのストローク量は大きめなのに、急な入力に対する当たりはきつく、結構ショックが大きいのだ。
 また、これは筑波サーキットでも感じたことだが、ステアリングを切り込んだ時の初期の応答性が、旧型と比べると格段にシャープな設定になっていて、一瞬ドキッとすることがあった。あまりにノーズが内にクイッ、クイッと切れ込んでいくので、オーバーステア状態になるのではないかと感じられるのだ。切り始めの初期ロールが大きく、その分、ロール限界に行ってしまうのが早い。その先のねばりがなくて、急にブレークしそうな予感がする。
マツダ ロードスター
(上)エンジンはすべて2リッター直4で、MT仕様は170ps、ATは166ps。
(下)RSのペダルはアルミ製となる。ヒール&トウがしやすいデザイン。
 こうしたハンドリング特性は、2代目ロードスターよりも、明らかにに初代に近いものだ。2代目が幅広く誰にでも扱いやすいハンドリング特性を持っていたのに対し、初代はやや乗り手を選ぶところがあった。3代目はスタイリングのみならず、走りの面でも、2代目より初代を意識していることがよくわかった。

マツダ ロードスター
VSにはタン・カラーのクロス製ソフト・トップが奢られる。
ベストは16インチの5MT

 次に6速ATのVSに乗り換える。16インチのタイヤとホイールに、ノーマルのサスペンションを持つこちらの方が、RSより乗り心地がいい。ATのシフト・ショックもほとんど感じられないし、エンジンとのマッチングもいいようで、MT仕様よりパワーを抑えているとは思えない。
 ただし、Dレインジのシフト・プログラムには問題があり、コーナー手前でアクセレレーターを戻すと、勝手にシフト・アップする時があった。これでは、せっかくのロードスターの走る楽しみを減じてしまう。 マニュアル・モードに切り換え、ステアリングにつけられたシフト・スイッチを使って、積極的にギアを選んで走るべきだろう。その場合、7000回転のリミッターに当たっても自動シフト・アップはしない。
 最後に乗ったのは、5速MTのベースグレード。実は、今回一番気に入ったのが、これだった。乗り心地がいいし、足が柔らかい分、コーナリング時の初期の応答性がRSほどシャープではないので、より自然な感じがあるのだ。 コーナリング姿勢に入ってからのねばりも、こちらの方があるような気がした。 また、5速MTの方がシフトが忙しくないのがいい。6速MTのギア比はかなり低めでクロースした設定なので、忙しいのだ。さらに言えば、よく使う回転域の違いのせいか、あるいは個体差なのか、今回乗った3台の中で圧倒的にエンジンの高回転域での吹け上がりがスムーズだった。
 次号では新型ロードスターの徹底比較テストを敢行予定。乞うご期待。

マツダ ロードスター
ベースグレードのMTは5速。右の写真のRSとの違いに注目。   旧型より格段に洗練されたコクピットのデザイン。写真はRS。

マツダ ロードスター
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全長×全幅×全高=3995×1720×1245mm。ホイールベース=2330mm。車重は写真のRSが1100kg。ほかはATが1100kg、MTが1090kgとなる。



本文中でも触れたように、新型ロードスターのグレードはベースグレードの「ロードスター」、走り重視の「RS」、ゴージャス仕様の「VS」の3種類。外観上の識別点は、VSがタン・カラーのクロス製ソフト・トップを持つこと(ほかはブラックのビニール製)と、RSが10本スポークの17インチ・アルミホイールを持つこと(ほかは5本スポークの16インチ)。内装はVSのみサドル・タン・カラーの革製シートとなるが、RSにもクロス製トップとセットでオプション装着が可能だ。車両本体価格はロードスターが220万円(5MT)と230万円(6AT)。RSが250万円。VSが250万円(6MT)と260万円(6AT)。



(2005年11月号掲載)
 
 
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バックナンバーページの定価表記について
「ENGINE 2014年3月号」以前の定価表記は、発売時の定価になっております。
予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



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