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M3、C63AMG、RS4の向こうを張るスーパーISやいかに。


LEXUS IS F/レクサスIS F
LEXUS IS F
レクサスIS- F



日産GT-Rに話題を独占させてなるものかと同じタイミングで登場したレクサスIS F。そのIS Fが見据えるのはBMW M3やメルセデスC63AMG、あるいはアウディRS4である。ドイツ3強に正面切って勝負を挑むIS Fはどんなクルマなのだろうか?
文=齋藤浩之(本誌) 写真=小野一秋


 日本車の国内市場向け乗用車からその最高出力を280psとする自主規制のタガが外されて4年、その恩恵に与るクルマがいよいよ現れてきた。最たる1台は、ポルシェ・ターボをターゲットとして480psを豪語するにいたった日産GT-Rだろう。そしてここにもう1台、ほぼ同じタイミングと価格で名乗りを上げたレクサスのIS Fがある。しかし、IS Fが照準を定めている相手はポルシェではなく、BMWのM3、メルセデス・ベンツのC63AMG、そして、アウディRS4といったつわものが顔を並べる、Dセグメント・カーをベースとするコンパクトなスーパースポーツ群だ。  それら仮想敵のあらましを見ると、M3は3999ccV8で420ps/8300rpm、6段MT、価格が1003万円。RS4は4163ccV8で420ps/7800rpm、6段MT、価格は999万円。C63AMGは6208ccV8で457ps/6800rpm、7段AT、価格1020万円。そこへIS Fを並べて見る。4968ccで423ps/6600rpm、8段AT、価格766万円。
 つまり、IS Fは、M3やRS4に狙いを定めてそこにパワー・スペックで完全に横並びの状況を作りながら、大排気量+自動変速機という手法のところではメルセデス的なそれに倣ったクルマだということがわかってくる。レクサスには折りよくLS600h用に開発した5リッターV8があるから、それをベースに事を運べば莫大な新規投資を要することもない、という筋道も見えてくる。レスサス・ブランドを日本でも立ち上げて早急にプレスティッジを確立したいトヨタにしてみれば、IS Fのようなモデルがぜひとも必要だというのもわかる。
 しかし、物を言うのは何よりも出来上がったクルマの内容だろう。はたしてどんな性格のクルマなのか?
レクサスIS F
エンジンはLS600用の5リッターV8をベースにヘッドを専用品に置き換えるなどした高出力型。423ps/6600rpmを発揮する。遮音カバーはそっけない。変速機は8段AT。当然ながらマニュアル・モードもある。
標準設定の本皮革シートは白と黒から選べる
標準設定の本皮革シートは白と黒から選べる。黒は表皮裏側が青く染められていて、無数に穿たれた通気穴からその青が覗く趣向が凝らされている。後席はセミバケット風の2名用。専用のロードホイールは鍛造の19インチ。ブレーキはフロント6ポット、リア2ポットのモノブロック・アルミ固定キャリパーをもつ。



お尻の重さが足りていない?

 おでこを張り出し、ひときわ低く構えたIS Fの周りには、たしかに特別なクルマ感が漂っている。乗り込むとしかし、ふつうのISと眼前の眺めはそう変わらない。センターコンソールに渋い銀色に輝く専用仕立ての化粧パネルがあしらわれていたりはするが、最大の違いを見せるシートは座ってしまうと目に入らないので、少々、特別感に欠ける。もうちょっと大胆にマテリアルを変更するなどしてもよかったのではないかと思う。
 エンジンは、この手のクルマとしては粛々と目覚め、アイドリングに入る。発進は呆気ない。なぜなら、それはLS用のそれをベースとするトルクコンバーター付きATだからだ。Dレインジに任せておとなしく走らせる限りにおいては、上品なサルーンそのものだ。ただし、バネレートを大幅に引き上げたサスペンションと19インチ・タイヤの組み合わせは、バネ下の重さを感じさせないということではいい結果を出しているが、うねりのおおいところではグイグイと揺すられる。良路との差はままある。IS Fの何たるかを知るためにはATや安定化支援装置のモードを切り替え、ときにはマニュアル・シフトも交えながら右足を深く踏み込んでやる必要がある。
 そして、そうすると、IS Fは3500rpmを超えた辺りで突如、吼え始め、ただならぬ加速力を解き放ちながら本性を現してくる。とくにマニュアル・モード時には2速からトルコンにロックアップが介入するからダイレクト感もMTのそれに遜色なくなり、キレもよくなる。速いということでいったらそれこそ文句なく速いし、飛ばしているかぎり破綻もなさそうだ。
 しかし、である。街なかを普通に走るような状況で交差点を曲がるさいやロータリーを回るようなときに思わぬテールスライドが出たりする。よくよく観察すると、ダイナミックに軸荷重変化のある場合には不足しない後軸荷重が、パワーオンによるによる荷重増を見込めない時には、どうやら不足しているらしい。太いリア・タイヤに十分な接地面圧が確保できていない感じがある。普段は従順に、という仕立てだからこそ、容易にはリアが逃げないように何らかの対策を打つ必要があるように思う。
 先達に本当に伍するまでになるには、いま少し時間がかかりそうだ。
LEXUS IS F/レクサスIS F
  
 レクサス IS F
駆動方式フロント縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高4660×1815×1415mm
ホイールベース2730mm
トレッド 前/後1560/1515mm
車輌重量1690kg
エンジン形式自然吸気水冷V型8気筒DOHC32バルブ
総排気量4968cc
最高出力423ps/6600rpm
最大トルク51.5kgm/5200rpm
変速機8段オートマティック・トランスミッション
サスペンション形式 前ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション形式 後マルチリンク/コイル
ブレーキ 前/後通気冷却式ディスク/通気冷却式ディスク
タイヤ 前/後225/40R19Y/255/35R19Y
車両本体価格766.0万円(日本でのデリバリー開始は来春予定)



2008年4月号掲載



 
 
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