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新しい心臓を得て、素晴らしいクルマになった。


PEUGEOT 308/プジョー 308
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PEUGEOT 308



ターボ過給が世界を変えた!


昨秋発表されたプジョーの新しいCセグメント・カー、308が上陸した。
日本仕様は3種類のすべてがターボ過給の1.6リッター・ガソリン・エンジンを積む。
さっそくその1台を借り出したら、これが目を見張るようにデキのいいクルマだった。
文=齋藤浩之 写真=小野一秋



 オペルが撤退し、欧州フォードも撤退し、フィアットもブラーボは上陸せず。VWゴルフのひとり勝ち状態をアウディがA3で援護射撃。シトロエンのC4もピカソを除くと泣かず飛ばず。バラエティに乏しくなった欧州Cセグメント・カー市場で、王者ゴルフに立ち向かう唯一の存在が、プジョーの300番台である。
 その300番台プジョーがハッチバック・ボディに転じたのは306から。日本でもスマッシュ・ヒットを飛ばしたことを、長くクルマ好きをやっているひとならよく記憶していることと思う。その後を継いだ307は、気づいてみれば7年の長きにわたってアンチ・ゴルフ派の受け皿を務めてきたことになる。しかし、健闘した307にもついにお役御免の時が訪れ、この6月初旬、新しい308の販売が日本で開始されることになった。
 日本市場に導入される308は3タイプ。価格の安いほうから、プレミアム、シエロ、そしてGTiとなる。前のふたつは5ドア・ボディにATの組み合わせ、GTiは3ドアとMTのコンビになる。いずれもターボ過給付きの1.6Lエンジンは前2者用が140ps、GTi用が175psを発揮する。
 欧州では小排気量エンジンに過給というスタイルが一般化しつつあって、もちろんこれは二酸化炭素排出量を削減する(燃費改善と同意)ためだが、この20年ほどの間にターボ・ディーゼルの開発で培われてきた技術ノウハウが生きて、かつてのガソリン・ターボ・エンジンを知る者にはにわかには信じがたい躾の行き届いたマナーを見せるものが少なくない。というわけで、308の新エンジンにも大いに期待がもてる。
期待を大きく超えるデキ

 で、実際に乗ってみたら、これが素晴らしく洗練されていて驚いた。予想を大きく超えていたといっていい。変速機が4段型でしかないことが全く苦にならない。というかむしろそれがいいほうに作用している。
 変速段数の少ないATの不利が露見するのは、小排気量エンジンで大柄な(重い)ボディを元気よく走らせようとする場合に多い。その意味では308にも不安がないわけではなかったのだけれど、低圧ターボ過給がもたらす、低中速回転域での台地のような体感曲線を描く分厚いトルクが、3速を万能のギアに変身させているのである。
PEUGEOT 308/プジョー 308
一般的な山道では3速ギアだけで事足りる。高速道路でも3速の息の長い、そして強力な駆動力が、素晴らしい速度の伸びを見せつけるから、それこそ胸のすく思いがする。変速回数の少なさが美点に直結する。AL4変速機がこんなにも好ましく思えたことは、かつてなかった。依然として何かの拍子にコツンと硬い変速ショックが出ることはあるものの、こと変速機としての能力に不満を覚えることがないというのは、画期的だ。



心臓だけでなく脚もまたいい

 308プレミアムは車輌重量が1360kgあるが、その重さを全く意識させないのは、心臓だけでなく、それを支える脚がこれまたよく躾られているからでもある。307以来となるフロント・ストラットとリア・トーションビーム・サスペンションの組み合わせは、307時代にチューニングに迷いを見せたことがウソのように自然体の感触で、ハンドリング特性もニュートラルに近いけれど、適切にわずかな弱アンダー特性が織り込まれていて、どんなときでも安心して走らせることができる。
 205/55R16というサイズのタイヤも適度に引き締まった脚と絶妙のマッチングを見せる。乗り心地だけを取り出して考えれば、もっと偏平率が大きくてもいいようにも思えるけれど、日常的に引き出せる動力性能がこれほど高いと、総合的には適切なサイズというほかない感じだ。
 ステアリングの座りがよく、自立直進性が高いのも、同じ理由から好ましい特性だと思った。307からシャシーの基本構成を変えずに、チューニング領域の開発で煮詰められた感がありありで、それが好結果に結びついたのだと思う。
 居住性の高さは307に勝るとも劣らないから、まさに申し分のないCセグメント・カーである。
 299万円に説得力がある。

PEUGEOT 308/プジョー 308

PEUGEOT 308/プジョー 308
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PEUGEOT 308/プジョー 308

前任機種となる307でもインテリアの質感への気配りは十分に感じ取れた。しかし、新しい308のそれはさらに一段と質感高いものになっている。上位トリムのシエロやGTiでは注文装備で本皮革張りのダッシュボードとすることもできる。過剰に飾り立ててはいないので、とても気分がいい。空調は左右独立調整式。リアシートもひろびろとしており、Cセグメント・カーのなかでも最も居心地のいいクルマのひとつになっている。エンジンはBMWと共同開発した1.6Lユニットにプジョー独自に仕様設定を施したもの。308プレミアムのそれはターボ過給を加えて140psを発揮する。わずか1400rpmで24.5kgmの最大値に達し、そのまま3500rpmまで維持される分厚いトルクが美点。ATが依然として4段型でしかない不利を感じさせないマッチングの良さを見せつける。

  
 プジョー308プレミアム
駆動方式フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高4290×1820×1515mm
ホイールベース2610mm
トレッド 前/後1520/1500mm
車輌重量1360kg
エンジン形式ターボ過給水冷直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量1598cc
最高出力140ps/5800rpm
最大トルク24.5kgm/1400-3500rpm
変速機4段オートマティック・トランスミッション
サスペンション形式 前マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション形式 後トーション・ビーム/コイル
ブレーキ 前/後通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前/後205/55R16
車輌本体価格299.0万円




(2008年7月号掲載)
 
 
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