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510psの中型ジャガー、XFのトップガン、XFRに乗る。


JAGUAR XFR/ジャガー XFR
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JAGUAR XFR/ジャガー XFR


よくフィットした上等な革靴。


新開発の5リッターV8直噴過給エンジンを搭載したXFRが6月から発売になった。
早速借り出して、1日オールラウンドに公道をテストし、
そのできばえについて、編集部のジャガー・ファンふたりで対話した。
話すひと=今尾直樹(答)+ 鈴木正文(問) 写真=望月浩彦


ちょっと安い、という戦略

 中型ジャガー・サルーン、XFシリーズの、メルセデスでいうならAMGのE63、BMWでいうならM5に相当するのが、このXFRという理解でいいよね?
 E63AMGは新型では未上陸だが1500万円級。M5は1410万円。自然吸気の6.3リッターV8のE63は旧型で514ps、5リッターV10のM5は507ps。そしてXFRは5リッターV8スーパーチャージドで510ps、価格は1200万円。つまり、性能比の価格はジャガーが一番安い。ジャガーの伝統健在だ。
 まさに創業者ウィリアム・ライオンズ以来の、ライバルよりちょっと安いというマーケティング戦略が継承されているわけだ。XFには同じ5リッターの自然吸気の直噴V8で975万円の「ポートフォリオ」がある。一緒にテストしたわけだけど、見た目はそんなに変わらない。
 20インチと大径化したホイール(ポートフォリオは19インチが純正)、そしておもに下まわりのスポイラー類が大型化した点ぐらいの違いしかない。インテリアはフロントがフルバケットに近いシートになって、材質が高級化しているが、デザイン的には同じ。そうそう、車重がポートフォリオより100kg増えて1960kgになった。外寸は全高を含めて同じ。一番の違いは、強制過給になったエンジンだ。
 NAと劇的な違いはあった?
 トルクがずっと厚い。過給ユニットだから当然ながら下から上までフラットに大トルクが出る。625Nmのピーク・トルクが、2500rpmからトップ・エンド領域の5500rpmまでゾーン的に発生する。発進したらたちまちマックス・トルクを味わうのでケタ違いのパワフル感がある。たとえば、芦ノ湖スカイラインではずーっとこのゾーンにあるから、よほど注意深くしていないと、すべてのコーナーの出口でDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)の警告を受けることになる。
 そのときトルクステアを感じたり、駆動力不足を覚えたり、なにか違和感を感じたりするのかな?
 トラクション・コントロールの制御はもう少し緻密であってほしい。このXFRだけ電子制御式LSDともいうべきADC(アクティブ・ディファレンシャル・コントロール)がついているから、多少のテール・スライドを許したときでも着実な前進力があるかと予想したのに、あまり前には進まなかった。


ジャガー流スポーツ・フィール

 625Nmのトルクだから、公道での安全を考えるとやむをえないかもしれない。その点M5のほうがずっとスポーティな駆動特性を与えられているといえる。XFRはあくまでXFシリーズの最スポーツということで、MとかAMGとかみたいな特殊なブランドではないんだな。
 乗り心地など、むしろポートフォリオよりよかった。バネやダンパーは一番締めあげられているのに、不当な硬さがまったくなく、しっかり感だけが強調されている。高速道路の金属ジョイントのショックも高い剛性の足回りが受け流すというよりも抑え込んでしまう。重厚かつフラットないい乗り心地だ。
 1200万円の値段にふさわしい高級な乗り心地なわけだ。
 そうなんだけど、こればっかりは乗ってみないとわからない。お客にしてみれば、見た目で引きつけられないと、乗ってみたいなと思わない。その意味では、XFで始まったニュー・ジャガーのモダンで上品かつ控えめなスタイリングは、依然としてアピール力が弱い、という問題があるかな。いちジャガー・ファンとしてそこが気になる。
 同等の性能のライバルより安いとはいえ、1200万円もするクルマに一般が期待する押し出しの強さとか、いやでも他人の目を引く大げさなディテールがないからね。でも、そういう奥ゆかしさはジャガーの大切な資質だと思う。高速道路で巡航しているときはどう?



JAGUAR XFR/ジャガー XFR
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JAGUAR XFR/ジャガー XFR
おとなな感じ

 安楽ここに極まれり、ですね。120km/hぐらいまでのことでいえば、部屋のソファーで寛いでいるようなものだ。ZF製の6段ATにはなにも仕事がない。ただただ豊かなトルクまかせで滑走するかのようだ。スポーツ・モデルっぽさを訴える子供っぽい演出は排気音も含めてない。じつにおとなな感じ。先代のようなスーパーチャージャー音はほとんど聞こえてこない。
 君がふだん乗っている3リッターV6、243ps、300NmのXF3.0との違いをいってくれたまえ。
 日常域では当然のことながら、大トルクゆえスロットル・ペダルを意識的に踏み込む必要がほとんどない。足回りが強化された結果、ステアリングをはじめとした操作系のタッチがずっしりとした心地よい重さを持っている。そのへんが感覚上の大きな差で、高級感というものがいかに強くポジティブな重み感と結びついているか、と思った。3.0でも十分高級だと思っていたけれど、XFRと較べると、ずっと若くて軽やかだ。スニーカーのよさがある。一方、XFRはよくフィットした上等な革靴のように、しっとり、しっかりした肉厚感みなぎる履き心地で、紳士気分が盛り上がってくる。スーツを着たいなぁと思った。
 いいえて妙だ。ドイツ物が最終的にはメカニカルなテクノロジーを感じさせるのに対して、ジャガーは味づくりをしている人間の存在を感じさせる、ということかな。
 ただし、その「人間」のタイプが昔とは違う。もっとグローバルで世界の他の文化も享受している現代の若いイギリス人になっている。それでも、依然としてパブとエールとクリケットをこよなく愛している?


ウッドとアルミ・パネルがダーク系になるのがノーマルとの違い
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ウッドとアルミ・パネルがダーク系になるのがノーマルとの違い。ステアリングとグラブボックスのフタに控えめにRマークが入る。
上質なレザーで覆われたバケット・タイプのフロント・シート
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リアは3人乗りだが、事実上2人乗り
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上質なレザーで覆われたバケット・タイプのフロント・シート。スポーティなカタチのわりに硬すぎず、パッセンジャーを拘束しない。

リアは3人乗りだが、事実上2人乗り。ライトブラウンのカラーは「ロンドンタン」、ほかに黒、赤、白のバリエーションがある。



(2009年9月号掲載)
 
 
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