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限定250台の後輪駆動ランボ、ガヤルドLP550試乗記


LAMBORGHINI GALLARDO LP 550-2/ランボルギーニ ガヤルドLP550-2
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LAMBORGHINI GALLARDO LP 550-2/ランボルギーニ ガヤルドLP550-2



LAMBORGHINI GALLARDO LP 550-2



バルボーニの仕事


ランボルギーニにひとりのテスト・ドライバーがいる。男の名はヴァレンティノ・バルボーニ。
その名前はいま、もっとも刺激的な2WDのランボの名前にもなったのである。
文=鈴木正文(本誌) 写真=望月浩彦






勤続40年の男

 ヴァレンティノ・バルボーニは1967年にランボルギーニに入社した。ランボの本拠、サンタガタの近郊に生まれ育ち、ランボの工場を横目にしながら自転車通学していたかれはある日、ミウラを工場敷地に入れるために手押している労働者たちを見て、手伝ったことがある。あこがれのクルマだったからだ。そんなわけで、学校を卒業するとすぐ、フェルッチョにかけあった。そして、組み立て工の職を得たのだ。
 当時、ランボは景気がよかった。1968年にはミウラを中心に353台がライン・オフし、翌年にはジュネーヴでショウ・デビューを飾ったマルチェロ・ガンディーニ・デザインのうつくしい4座グラン・トゥリズモ、エスパーダが大ヒットする。いい時代だったのだ。
 若きヴァレンティノはやがて、ライン・オフしたクルマを試運転する仕事をまかされるようになる。そして、天性のドライビング・センスを見出され、テスト部門に異動する。2007年に退職するまで、カウンタック、ディアブロ、ムルシエラゴといった偉大なスーパーカー開発の第一線に立ってきたかれは、いまランボのクラシック部門のコンサルタントとして活躍している。
 この夏に発表されたかれの名を冠したクルマ、ガヤルドLP550-2ヴァレンティノ・バルボーニは、250台限定の特別なモデルであり、ランボ首脳陣からの、かれの長年の貢献に報いるサプライズとしての贈物でもある。そして同時に、「すべて4WD」を旗印にしてきたアウディ傘下に入ってからのランボの、あたらしいポリシーの先駆けでもあるに違いない。センターとフロントのディファレンシャルをとれば、間違いなくより軽いランボがつくれるはずであり、それはコストの圧縮やクルマの「エコ」化のうえで、なんらかの可能性を開くかもしれない、とかんがえたのではないだろうか。

2WD化のために

 とはいえ、ガヤルドはもともと4WDマシンとして開発されており、それを2WD化する仕事は、たんにパワートレインの余分な部分を取り去ればいい、というほど単純なものではなかった。バネとダンパー、スタビライザー、タイヤとホイール、空力はもちろん、トランスミッションとアクスルの取り付けにいたるまで洗い直され、オプションとなるeギアのプログラムは書き換えられ、電子制御式スピン防止装置であるESPのチューンも、ピレリPゼロのコンパウンドともども変更を受けた。
LAMBORGHINI GALLARDO LP 550-2/ランボルギーニ ガヤルドLP550-2
 見た目もチューンアップされた。外装ではボディ中央を南北に貫くホワイトとゴールドによる太いレーシング・ストライプが入った。ブラック・レザーによる内装でも、左右シートの中央とセンター・コンソールが、外装に呼応して白くペイントされた。さらに、リア・ミドにマウントされたV10のカバーがガラスになったこともあたらしい。
 その下におさまる5.2リッターV10が4WDのガヤルド(LP560-4)の560psから550ps/8000rpmにデチューンされたのは、2WD化によって約100kg軽くなっても、4WDガヤルドを動力性能で凌駕しないようにするためだ。ランボとしては、ガヤルドのフラッグシップは4WDであるべき、とかんがえているからだ。ただし、価格は6MT仕様が2640万2250円、eギアつきは2745万2250円で、4WDガヤルドのクーペよりおよそ200万円がた高い。
 さて、いくら2WD化されたとはいえ、4WDのガヤルドとさほど違うまい、と乗る前にはタカをくくっていた。しかし、都心の一般道を数km走って首都高速道路に乗り、前が空いたときを見計らってスロットル・ペダルをいささか深く踏み抜いたときには、突如襲ってきた快感に頭がクラクラした。4WDガヤルドがミドル級のボクサーだとすれば、ヴァレンティノ・バルボーニはフライ級のチャンピオン・ボクサーだとおもった。それぐらいフットワークが軽快で、エンジンの吹け上がりもふくめて鋭いクルマだった。



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