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大きくなったカングーを先代と比べながら考えた。


RENAULT KANGOO/ルノー・カングー
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RENAULT KANGOO



育つのにはワケがある。


新しいカングーがついに日本へやってきた。エンジンはこれまでどおり1.6リッターでMTとAT。
オートエアコンやカーテン・エアバッグが標準装着されて装備内容は約25万円分の追加。にもかかわらず、価格は6.8万円しか上がっていない。市況を考えての大サービスらしい。
そんな新型は日本で乗ったらどう感じるのか。編集部の先代カングーと乗り比べてみた。
果たして、新型が大きく育ったのには、それ相応の理由があることがわかったのだった。
文=齋藤浩之(本誌) 写真=小野一秋



「まぁ、すっかり大きくなっちゃって」と思わず口にしたら、「えへ。そうかしら?」と、カングーが言ったような気がした。目頭にポチッと添えられたスモール・ライトとニッコリ緩んだかのような口元。愛嬌のある顔立ちだ。
 でも、こういう表情がなかったら、思わず腰が引けていたと思う。真正面で向き合うと、そのボリューム感たるや、とてもカングーのそれとは思えないほどに、堂々としている。ボディの全幅は15.5cmも拡がって183cmに達する。お世辞にもコンパクトとはいえない。
 全高は2cmだけ伸びた183cmなので、新型の縦横比は1対1の真四角になった。ひょろっと背が高かった先代とはそこがなにより違う。
 でも、車庫事情さえなんとかなれば、うまく付き合えそうな感じがする。憎めない顔つきのなせるわざか。

ほんとに立派になった室内

 これまで以上に大きな角度まで開くフロント・ドアを開けると、セニックと見まがうばかりに立派な作りのダッシュボードが目に飛び込んでくる。実際のところ、新しいカングーはグラン・セニックがベースになっていて、だからホイールベースも2.7mと、それに等しい。先代カングーより10cm長いことになる。乗り込むと、鉄板むき出しの処理はもはやどこにも見つからない。
RENAULT KANGOO/ルノー・カングー
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 エンジンをかけると、基本設計を同じくする1.6リッター・エンジンは懐かしい音を届けてくるが、音量がずっと小さくなっている。ステアリング・ホイールは真正面に来る。もはや微妙に身体を捻るようなドライビング・ポジションは要求されない。オフセットなし。助手席との距離もたっぷりある。右ハンドル化のネガもどこにも見あたらない。
 一度降りて後席に移る。フラップ式から水平配置のレバー式になったドア・ハンドルはちょっと使いにくいが、レスキューが緊急時にワイヤーをかけてひっぱり開けることのできる形状はこれしかないわけで、時の流れだから、これは文句をいってもしようがない。何を取るかだ。
 乗り込むと、前席と同じようにヒップポイントが高い。座面に大きな後傾角がつけられたおかげで、これはこれで座った感じがいい。座面の前後長の短さもさして気にならない。小学生高学年ぐらいの体格でもふくらはぎの後ろがシート前端に圧迫されずにきちんと奥深く座れるように、という配慮によるものだとルノーは説明するが、大人も無理なく腰掛けられる上手い設計だと思う。
 シートを畳むとどうかな? と思ってやってみると、あら簡単。ワン・アクションで荷室と平らにつながった。日本車なみの親切設計である。反対側に回って助手席も畳むと、ダッシュボードぎりぎりのところまで荷物スペースとして使えることがわかる。シート・アレンジの自由度の高さで、新型は先代よりも確実に上手だ。しかも、フルトリムされているから、荷物に傷がつく心配もない。
 乗用車仕様のカングーは欧州市場でもすっかり人気者になって、もはやカングー生産台数のほとんど半数を占めるまでになっているのだそうで、新型は乗用ユースをより重視して開発されたという。それが十分に納得のゆく使い勝手の良さだ。


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