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本誌編集長、鈴木正文の「新・自動車評論」
第7回 ジャガーXJ(プレミアム・ラグジュアリー)


JAGUAR XJ(5.0 N.A. PREMIUM LUXURY)/ジャガーXJ(プレミアム・ラグジュアリー)
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JAGUAR XJ (5.0 N.A. PREMIUM LUXURY)/ジャガーXJ(プレミアム・ラグジュアリー)

豹のように軽やかに舞う!
ニューXJは前後重量バランスにすぐれている。
この「プレミアム・ラグジュアリー」モデルは、1850kgだが、前後重量配分は51対49と理想的なので足さばきは軽快だ。
全長×全幅×全高=5135×1900×1455mm。ホイールベース=3030mm。



ザ・スーパー・スポーツ・セダン


ジャガーのフラッグシップ・サルーン、XJの待望の新型が、
ついに日本上陸を果たした。先陣を切った自然吸気5リッターの
中間グレード機種「プレミアム・ラグジュアリー」をテストした。
文=鈴木正文(本誌) 写真=柏田芳敬


昔といま

 昔はいまに還らぬ、という。
 新型ジャガーXJは、クルマ好きならだれもが親しみ、いまでもありありと眼に浮かべることができるあの昔の姿とかけ離れたスタイルで登場した。昔をいまに還すことを、デザイナーはハナから放棄していた。
 エクステリア・デザインは、ある自動車が魅力的かそうでないかの判断の、最初の、そして結局は最終的な、よりどころになる。裏書きする統計データをもっているわけではないが、長年クルマ好きをやってきた実感がそういわせる。
 昨年夏に新型XJの写真が公開されたとき、僕はこのスタイルに、判断を留保した。長身痩躯のイギリス紳士にたとえたくなる1968年以来のXJスタイルを、なにひとつ想起させないデザインだったからだ。
 長身痩躯の紳士の趣じたいは、前任車であった2003年発表のXJの段階で、すでに失せていた。丸目4灯のヘッドライトやグリルの形状、6つの採光窓のあるグリーンハウスのグラフィック処理等々が、伝統的なXJデザインをそれぞれ個別に踏襲していたけれど、脂肪ぶとりしたように緊張感のない胴体とより高いルーフのせいで、印象は変わり果てていた。痩せたソクラテスが肉づきのいい金満家になったかのように、あるいは、眼光するどいホームズが、お人よしのワトソンになったかのように。果たして先代XJは、多くの忠実なカスタマーを失った。先代XJは、XJジャガーの半分以上を引き受けるアメリカの、より広々した居住性を求める声に応えたが、外形的な美を、あるいは卓越を、求めてやまぬ意志に欠けていた。
JAGUAR XJ (5.0 N.A. PREMIUM LUXURY)
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JAGUAR XJ (5.0 N.A. PREMIUM LUXURY)
ジャガーXJ (プレミアム・ラグジュアリー)
 新型はどうか?
 ペンを走らせたのは、おなじイアン・カラムである。すくなくともかれは、おなじものの繰り返しに耐えられなかった。そして、ジャガー・スタイリングの偉大な生みの親、サー・ウィリアム・ライオンズの真似ではないカタチをつくった。僕はそれでよかった、とおもう。ジャガーがあたらしくなったのだから。
 古いことは、かならずしも欠点ではない。だから、新型XJを初期のXJにもっと寄せていき、その古さをもって新しさとする、という方策もあり得ただろう。BMWのミニやフィアットのチンクエチェントはそれをやった。ジャガーはやらなかった。そこに僕は、これまでにない何かを出そうとするジャガーとイアン・カラムの高ぶる精神を見る。そして、それに共感する。



JAGUAR XJ (5.0 N.A. PREMIUM LUXURY)
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ジャガーXJ (プレミアム・ラグジュアリー)


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