ENGINE online/エンジン オンライン

本誌編集長、鈴木正文の「新・自動車評論」
第16回 アバルト 695 トリブート・フェラーリ


ABARTH 695“TRIBUTO FERRARI”
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ABARTH 695“TRIBUTO FERRARI”
ステアリングを完全に戻し、ターボに乗って全開。内輪は十分に接地している。

箱根でのコーナリングはこうだ!
箱根でのコーナリングはこうだ!
箱根でのコーナリングはこうだ!
(上段左から)2速全開、ほぼレヴ・リミットからスロットルちょい戻しでターン・イン。→ステアリングをわずかに切り増して、スロットルは一定に。リアが追随する。→バンプ・ストップ・ラバーに当たって、ロールはここで制御されている。→クリッピング・ポイント。最大横Gを脱し、ステアリングを戻しはじめる。→徐々にスロットルを開けている。安定した弱アンダーステア。(→トップの写真へ)



「粋」なヤツだぜ!


世界限定1696台の特別なアバルト、トリブート・フェラーリの日本仕様をテスト。
569.5万円でも日本割当分150台は売約ずみ。その実力は?
文=鈴木正文(本誌) 写真=望月浩彦



イキがいい!

 箱根をめざして、まずは首都高速道路2号線に目黒入口から入った。オート・モード付きの5段2ペダルMTをパドルで2速にシフト・ダウンして深々とスロットルを踏み込む。0-100km/h加速6.9秒を謳う動力性能の小手調べだ。この値は1.6リッター直噴ターボ、184psを積むミニ・クーパーSの7秒とほぼ同等だ。こちらは1.4リッター・ターボ、180ps。エンジン・レヴが3000rpmに達する前からモリモリと力がわき出てくる。路面の不整を拾ったのか、ステアリングがわずかにとられるが、かまわず全開をつづけると、トルク・トランスファー・コントロール(TTC)が作動したらしく、スタビリティを取り戻した。ダッシュは途切れなかった。これはどうして速いゾ、と思う。
 フェラーリとおなじイェーガー製を誇示するメーターは、外周が速度を、内周がレヴを示すのだけれど、2速のリミットにあっという間に到達した。慌てて目を落とすと、外周は100km/h+を、内周は6500rpm+を指している。8000まで刻まれた回転計は6000から目盛りが赤に転じるというのに、その境を超えてもピッコロ・アバルトのターボ・ユニットは回転をかせぎ、小さなニードルにレッド・ゾーンを侵犯させた。なんと楽観的なレヴ・リミットか。アバルトとフェラーリの共作というだけのことはある。イキがいい。メイド・イン・イタリーのホット・ハッチの面目だ。
 第2の小手調べは、ハンドリングだ。2号線には、首都高のなかでもとくに気持ちよく走れるワインディング・セクションがある。僕たちが中速コーナーと呼ぶ100km/h前後で回れる曲率のカーヴが連続するのだ。アバルト500トリブート・フェラーリに乗った僕は、3速と4速をパドルで使いわけながら、ステアリングにたしかに伝わってくる接地感に自信を得ていた。だから、5つ6つあったガラ空きのコーナーを、すべて余裕のノー・ブレーキで駆け抜けることができた。
サソリのマークが刻印された値の張りそうなフュエル・キャップ
(上)サソリのマークが刻印された値の張りそうなフュエル・キャップ(中)ディフューザー形状のアンダー・フロア後端両サイドにステンレス製のマフラー・カッターが覗く(下)フェラーリ・スタイルの17インチ・ホイールとブレンボのブレーキ・キャリパーだ

 もちろん、限界ギリギリまで追い込んだわけではない。マックス・パワーを出す5500rpmぐらいまでにレヴは抑えたうえでだ。それでも、スポーツ・モードではノーマル・モード比2kgm増しの25.4kgmの最大トルクを得られる3000rpmに近づくあたりからの分厚いトルク感は、軽自動車に毛の生えたほどの全長しかない小さな体躯に不似合いなほどたくましい。加速は思いのままだし、しかも、3000rpmで背圧を切り替える「レコルト・モンツァ」なるデュアル・エキゾーストは、中〜高回転域で乾いた排気音を奏でる。ミュージカルなエキゾースト・サウンドでも名をなしたアバルトに想いを馳せずにいられない。イキがいいだけではない。オトもいい。

YAEGERのロゴも誇らしげな速度と回転の2重メーター
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ABARTH 695“TRIBUTO FERRARI”
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YAEGERのロゴも誇らしげな速度と回転の2重メーター
シフト・パドルはフェラーリ流にステアリング・コラムに固定されないで、ステアリングとともに回る方式。操作しやすいリーチにある


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