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スバル版ハチロク、BRZにツインリンクもてぎで乗る。


SUBARU BRZ/スバルBRZ
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SUBARU BRZ/スバルBRZ

違いは足まわりの味つけ。


2月3日に発表され、3月28日から発売されることになったスバルBRZ。
その生産プロトタイプにツインリンクもてぎで乗る機会を得た。
文=村上 政(本誌) 写真=小野一秋


 2月2日にトヨタが86を、翌3日にスバルがBRZを正式発表し、いよいよ春の発売に向けて準備が整ってきた。価格は、86がベース・グレードのRCの199万円から最上級のGTリミテッドの305万円まで、BRZがベース・グレードのRAの205万8000円から最上級のSの287万1750円までと、装備の違いによって多少の差はあるものの、ほぼ同じ価格帯になっている。
 それもそのはず、実際のところ、この2台は基本的にまったく同じクルマと言っていい。外観上の違いは、トヨタとスバルのマークを除くと、わずかにフロント・バンパーとヘッド・ライト内部の形状、それにフロント・フェンダーに飾られるガーニッシュのデザインのみ。そのほかは、ホイールやリア・ウィング、エグゾースト・パイプに至るまでまったく同一で、かつての86がトレノとレヴィンという二つのボディ形状を持っていたほどの違いもない。
 では、ブランドの好き嫌いは別にして、何を基準にどちらがいいかを選べばいいのか。漏れ聞こえてきた情報では、足まわりのセッティングが違うということだったが、どのような違いがあり、それによって乗り味はどう異なるのか。それを確かめに、BRZの初の試乗会が開かれたツインリンクもてぎに行ってきた。



ツインリンクもてぎのバンクを走るBRZ
ツインリンクもてぎのバンクを走るBRZ。驚きの安定性。
フロント硬め、リア柔らかめ

 今回用意されていたのは、3種類あるBRZのグレードのうち、中間にあたるRと最上級のSの2車種。Rは16インチ、Sは17インチのタイヤを履き、いずれもアイシンAI製の6段MTとアイシンAW製の6段ATが用意されるが、ギア比はMTの最終減速比だけが異なり、17インチのSの方がややローギアードにしてあるのに加え、トルセンLSDも標準装備される。
 試乗会は、まずはサーキットの外周路を走って、一般道での乗り味を確かめた後、本コースとオーバルの一部をつないだ特設コースで限界付近での性能を試す方式で行われた。
最上級のSに標準装備される17インチのタイヤ&アルミホイール
最上級のSに標準装備される17インチのタイヤ&アルミホイール。ミシュランのプライマシーHPを履いていた。
 まず外周路で乗ったのは、MT仕様のSだった。走り出しの感じは、86とまったく変わらない。低い着座位置や地上から460mmのところにあるという重心の低さからくるクルマの動きのどっしりと安定した感覚も同じなら、路面の感触を鮮明に伝えるステアリングの操舵感や短いストロークでカチッとはいるギアのシフト・フィールも同じだ。回すとややがさつな音をたてる水平対向エンジンや、演出されたスポーティな低音を響かせる排気音も変わらない。
 しかし、明らかに違っていたのは足の硬さだった。BRZのサスペンションは、記憶にある86の印象と比べて、ずっと固められている。17インチだと路面の荒れに応じてかなりの突き上げがあるほどで、まるでインプレッサWRXに乗っているみたいだ。
スバルの水平対向の技術とトヨタの直噴+ポート噴射の技術を合わせて新開発された
スバルの水平対向の技術とトヨタの直噴+ポート噴射の技術を合わせて新開発された軽量コンパクトなエンジン。
後でエンジニアに聞いた話では、開発の最終段階までどちらもまったく同じセッティングのサスペンションを用意していたという。ところが、最後の最後で、それぞれのブランドが味付けを変えることになった。分かりやすく言うと、スバルはフロントが硬めでリアが柔らかめ、トヨタは逆にフロントが柔らかめでリアが硬めの設定になっているという。とはいえ、それは数字で表すとほとんど誤差くらいの範囲でしかないのだそうだ。しかし、前後のバランスが異なっているために、違いを大きく感じるということらしい。どちらがいいかは並べて比較してみないとわからないし、乗る環境によっても印象がかなり違いそうだ。
中央に大型の回転計が鎮座するメーター・パネル
中央に大型の回転計が鎮座するメーター・パネルのデザインも86と同じ。86の白い文字盤がこちらは黒となる。
 サーキットでは、RのAT仕様に乗った。足のセッティングはSと同じだというが、そもそもの路面が円滑な点を差し引いても、16インチの乗り心地はずいぶん良くなる。これなら一般道でも固すぎないかも知れない。サーキットでのパフォーマンスの面でも、少なくとも気持ちよく走っているくらいのレベルでは16インチで不足を感じることはなかった。
 それにしても、86でも感じたことだが、低重心で人間も重心に近いところにいて、しかも前後重量配分が53対47というバランスの良さを誇るこのクルマのコーナリングの気持ち良さは特筆モノだ。この気持良さの前では、多少の足の硬さの違いなど、取るに足らない話と言うべきだろう。

座面の地上高40cmという低い位置に置かれたシート
86と基本的に同じデザインのインパネまわり
座面の地上高40cmという低い位置に置かれたシート。これも86とまったく同じモノだが、色使いが違っている。


86と基本的に同じデザインのインパネまわり。ただし、パネルなどの素材と色使いが違っており、印象はかなり違う。


リアのデザインは86と寸分変わらない
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リアのデザインは86と寸分変わらない。グレードはS、R、RAの3種類があり、RAはエアコンも付かないベース車両で6MTのみの設定。RAとRのタイヤは16インチ、最上級のSは17インチで、トルセンLSDも標準装備する。

  
 スバルBRZ S
駆動方式エンジン・フロント縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高4240×1775×1300mm(ルーフ高は1285mm)
ホイールベース2570mm
車両重量1230kg(6MT)/1250kg(6AT)
エンジン形式水平対向4気筒 直噴+ポート噴射 DOHC
排気量1998cc
ボア×ストローク86×86mm
最高出力200ps/7000rpm
最大トルク20.9kgm/6400-6600rpm
トランスミッション6段MT/6段AT
サスペンション(前)マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション(後)ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ(前後とも)通気冷却式ディスク
タイヤ(前後とも)215/45R17
車両本体価格279万3000円(6MT)/287万1750円(6AT)





(2012年4月号掲載)
 
 
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