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「批評的対話」によるザ・比較テスト第24回
トヨタ 86 GT(MT:279万円) & スバル BRZ S(AT:287.170万円) & ポルシェ・ケイマン(MT:604万円)


TOYATA 86 GT & SUBARU BRZ S & PORSCHE CAYMAN
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TOYOTA 86 GT

TOYOTA 86 GT
●スープラ以来のトヨタFRスポーツ。
●水平対向4気筒2リッターは200psを発生。
●アイシンAI製の6段MTを搭載。
SUBARU BRZ S

SUBARU BRZ S
●スバル史上初の市販FRスポーツ。
●エンジンは86と共通の専用ユニット。
●アイシンAW製の6段ATを採用。
PORSCHE CAYMAN

PORSCHE CAYMAN
●純2座のミドシップ・スポーツ。
●水平対向6気筒2.9リッターは265ps。
●ゲトラグ製6段MTを搭載。


ポルシェの半額で手に入るニッポンの底力スポーツ、発進!


トヨタ86(はちろく)とその姉妹車、スバルBRZの実力は、はたして、
どれほどのものなのか? 開発時にベンチマークだったという
ポルシェ・ケイマンを引き連れて、ロング・ラン・テストを行った。
話す人=村上 政+齋藤浩之(ともに本誌) 写真=小野一秋


ニッポン自動車界の快挙

村上 ついに、トヨタ86に乗れる日がやってきたことを素直に喜びたい。正直に言うと、2009年の東京モーターショウで最初のプロトタイプを見せられた時には、本当にこれが実現するのかどうか、半信半疑だった。あの時は豊田章男社長が大演説して、これからのトヨタは若者を惹きつける味のあるクルマをつくる、とブチ上げた。それでも、あのミニバンとエコ・カー一辺倒のトヨタが再びスポーツカーをつくるなんて、にわかには信じられなかった。それだけに、たった2年半でこうして市販型が路上に躍り出たのは驚きだし、近年のニッポンの自動車界にあって快挙と言うべき事件だと思う。
齋藤 あのモーターショウで、86の音頭取りだったトヨタの多田チーフエンジニアに突撃取材して、「進退かけてますから」という言葉を聞いた時に、これは実現するな、と感じた。その後、市販型に近いプロトタイプが出てきて、最初に聞いたときとはちょっと話が違ってないかいと思ったりもしたけれど、とにかく発売に漕ぎ着けたのだから、すごいことだと思う。トヨタが出したという意味は大きいよ。あの時期の閉塞的な日本の乗用車事情を打破すると宣言して、世界一の座を目前にしていた盟主トヨタが実行したわけだから。
村上 最初に聞いた時とは違っていたというのは、どういう点なの?
齋藤 ポルシェ・ボクスターの時と同じだったんだよ。最初のヤツはまずスタイリングありきで作られて
TOYATA 86 GT & SUBARU BRZ S & PORSCHE CAYMAN
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86、BRZは重心が低いことに加えて、トレッドも広く、脚が締められているのと相まって、コーナリング時の姿勢変化はきわめて小さい。この2台と較べると、速さでは上のケイマンもずいぶんと身のこなしが穏やかに感じるほどだ。
いた。製造上の問題とか、法規制への適合性の確保だとか、そういう諸々の検討なしに作られたものだった。だから、カッコはほんとうに良かった。次のやつはもう市販化を前提にして構築されていた。だから、表層的なデザインだけでなく、機械的なレイアウトからくるプロポーションの違いも明らかだったでしょ。
村上 でも、実際に市販型になったものを見てみると、スポーツカーとして、なかなか均整のとれたプロファイルを持っている。とりわけ、素晴らしいと思ったのは、思い切り低められた着座位置で、運転席に座りながら地面でタバコの火を消せるようにしようというのが、目標だったらしい。460mm の重心高も、ポルシェ・カレラGTにこそ及ばないものの、ケイマンより低いというのだから、かなり頑張った。スポーツカーのスタイリングを持ちながら、短時間なら大人2人が座れる後席と、その後席の背もたれを倒せばタイヤが4本入る荷室を確保しているのも、よくできていると思う。
齋藤 どのような人に買ってもらって、どのように使ってもらいたいのかが、わかるものにちゃんとなっている。ただし、エンジン・ルームを覗くと、あと5、6cmは後方にエンジンを積めたんじゃないの、とは思うけどね。というのも、前後重量配分がノーズ・ヘヴィ気味だから。前席に2名乗車した状態でも53対47。空車だと56対44。自然吸気2リッターのトルクを考えれば、さほど心配要らないのかなとは思うけれど、乗る前にはちょっと心配になった。
村上 コンセプトを立てたのはトヨタ、開発は主にスバルで行われた。水平対向エンジンはもちろんスバルの十八番だけれど、直噴とポート噴射を組み合わせて高出力を実現するヘッド周りの技術はトヨタが提供している。ロング・ストローク設計のスバルの新世代ユニットをベースにストロークを縮めて86×86mmのスクエアまで戻した専用エンジン。脚回りも含めたシャシーも専用に起こした。どうせやるならフロント・ミドシップまでもっていけたら大快挙だったとは思うけれど、300万円以下で売るスポーツカーにそこまで求めるのは酷というものでしょう。
齋藤 200万円ほどで売るモデルもあるわけだからね。で、生産はトヨタ86と姉妹車のスバルBRZの全数を、群馬県にあるスバルの太田工場が担う。トヨタとスバルの持てるものを結集して、という主張に偽りは少しもないよ。

TOYATA 86 GT
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TOYATA 86 GT
TOYATA 86 GT
TOYATA 86 GT
TOYOTA 86 GT
水平対向4気筒エンジンは低く積まれているが、エンジン単体の前後中心はフロント・アクスルより前に位置する。自然吸気型なので、吸気系の取り回しはシンプル。ヘッド・ライト・ユニットにはLEDのポジション・ライトがずらりと並ぶ。方向指示器は別体で、バンパーのフォグ・ライトの上に埋め込まれている。

SUBARU BRZ S
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SUBARU BRZ S
SUBARU BRZ S
SUBARU BRZ S
SUBARU BRZ S
86のGTに相当するBRZのSには17インチのアルミホイールとトルセン式LSDが標準で与えられる。17インチのタイヤはミシュランのパイロット・プライマシーHPという穏やかで円満な性格のものが付いている。ブレーキは16インチ用をそのまま使う。キャリパーは浮動式。ヘッド・ライト・ユニットには方向指示器も一体で組み込まれている。

PORSCHE CAYMAN
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PORSCHE CAYMAN
PORSCHE CAYMAN
PORSCHE CAYMAN
試乗車にはオプションの18インチ・タイヤが装着されていた。強力なブレーキは前後ともにドリルド・タイプの通気冷却式ディスクを持ち、対向4ピストンのアルミ・モノブロック・キャリパーが標準装備される。ミドに搭載される水平対向6気筒エンジンは基本的に上からは見えない。ハッチゲートを開けるとリア・エンドの第2の荷室へアクセスできる。


86とBRZの識別点のひとつがフロント・フェンダーの上部後端にはめ込まれた樹脂製のガーニッシュだ。86はそこに水平対向のピストンに“86”の数字を図案化したエンブレムが付く。BRZはエア・アウトレット風の処理が施され、車名ロゴはリアのトランク・リッド右側に付く。どちらが好きかは意見が分れるところ。




 
 
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