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S4の完成度の高さにホレボレ!


AUDI A4 & S4
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AUDI A4 & S4
フェイスリフトしたアウディA4&S4の出来ばえは?


S4の完成度の高さにホレボレ!


アウディの中核モデル、A4シリーズがフェイスリフトを受けた。
上端の角が落とされた新しいシングルフレーム・グリルに加え、中味でも新たに電動パワステやアイドリング・ストップ機構を得た新型はどんな走りを見せてくれるのか。A4&S 4の2台をテストした。
文=村上 政(本誌) 写真=望月浩彦


 新型A4シリーズの主力モデルである2リッター直4ターボ搭載の2.0TFSIクワトロと、3リッターV6スーパーチャージャー搭載の最上級モデル、S4の2台を借り出して、箱根までいつもの道をひとっ走りしてきた。
 そして結論から言ってしまえば、S4のカンペキとも思える完成度の高さに惚れ惚れし、それに比べてチグハグな印象のA4のセッティングの煮詰め不足に少々ガッカリした。
 掛け値なしに言って、今もっとも熟成したスポーツ・セダンはアウディS4だと思う。そのどこまでも滑らかな走りっぷりは、強豪ひしめくこのクラスにあっても、一頭地抜きん出ている。低速時からしっかりとトルクがついてくるエンジンの滑らかさはもちろん、かつてのような妙な硬さがなくなった足まわりや、これまでの油圧から電動パワー・アシスト式に切り替わってもしっとり感を失わないステアリング・フィールなど、どこをとっても走りの気持ちよさに満ち満ちている。
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 この日も、高速道路では速度を上げるほどに路面に吸いつく独特の感触を堪能できたし、峠道では前後40対60でトルク配分する新世代クワトロ・システムとリア・アクスルに装着されたスポーツ・ディファレンシャルが威力を発揮して、グイグイ曲がりドーンと加速する、軽快さと重厚さがほどよくバランスしたアウディならではの走りを満喫することができた。これまでにも輪をかけて熟成が進んだ印象で、いよいよ脂が乗り切り、旬の時期に入った感がある。
Sライン・パッケージの功罪

 一方、それに対してA4の印象があまりよくなかった原因のひとつは、試乗車がオプションのSライン・パッケージを装着していたことにある。S4とまったく同じ18インチのタイヤ&ホイールで武装した走り重視の仕様で、クワトロ社製のスポーツ・サスペンションが奢られていた。しかし、この試乗車にはS4に標準装備のスイッチひとつで車両特性を選べるドライブ・セレクトがオプション装着されておらず、従って、ダンパーが可変機能を持たない一発決めのままだった。その結果、なんとS4の方がずっと乗り心地がいいという逆転現象が起きていたのだ。S4がスポーツ・セダンとして申し分のない、硬めだがしなやかに良く動く足を持っているのに対し、このA4のそれは明らかに硬すぎた。
 いや、それだけではない。新たに採用された電動パワステの味付けも、この2台ではずいぶん違っていた。S4のステアリングは低速時から適度な重みを持ち、それが速度を上げるにつれて徐々に重みを増していく極めて自然な設定である。ところがA4では、低速時に驚くほど軽く、それがひとたび高速道路を走り始めると正反対に驚くほど重くなるのだから、そのあまりの落差に不自然さを感じてしまったのだ。
 チグハグというのはそういう点のことで、スポーティにしたいのか、それともファミリー・カー路線で行きたいのか、あまりに間口を拡げ過ぎた結果、やりたいことの芯がブレてしまっているように見受けられる。
 その点S4は、どんな人たちがこの手のクルマを欲しがっているか、ハッキリとそのユーザー像を見据えて開発しているから、押さえるべきツボを押さえた完成度の高いセッティングができているのだと思う。
 問題があるとすれば、A4の2.0TFSIクワトロより276万
セダンと同時にアバントもファイスリフトを受けた。写真は2.0TFSIクワトロで車両本体価格は541万円となる。
円も価格が高いことだが、そのかわり必要な装備はほとんどすべて標準でついてくる。A4に48万円もするSライン・パッケージや42万円もするドライブ・セレクトをつけるくらいだったら、いっそ思い切って……と思うのだけれど、いかがでしょうか。

AUDI A4 & S4
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写真の赤いボディがS4、紺がA4。識別点はS4はグリルの桟がクロームになり、ドア・ミラーのカバーがアルミになることなど。いずれも新型ではヘッド・ライトとテール・ライトの内部のデザインが変更され、内装の質感もさらに向上した。
   
 A4 2.0 TFSIクワトロ S4
駆動方式エンジン・フロント縦置き4WD
全長×全幅×全高4720×1825×1440mm4730×1825×1420mm
ホイールベース2810mm
車両重量1680kg1780kg
エンジン形式アルミ製直噴直4DOHCターボアルミ製直噴V6DOHCスーパーチャージャー
排気量1984cc2994cc
ボア×ストローク82.5×92.8mm84.5×89.0mm
最高出力211ps/4300-6000rpm333ps/5500-6500rpm
最大トルク35.7kgm/1500-4200rpm44.9kgm/2900-5300rpm
トランスミッション7段ツインクラッチ式自動MT
サスペンション(前)マルチリンク/コイル
サスペンション(後)マルチリンク/コイル
ブレーキ(前)通気冷却式ディスク/(後)ディスク(前後)通気冷却式ディスク
タイヤ245/45R17245/40R18
車両本体価格523万円799万円



(2012年6月号掲載)
 
 
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