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ガヤルドLP550-2スパイダーは痛快だった!


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LAMBORGHINI GALLARDO LP550-2 SPYDER


♪ゴー・オール・ザ・ウェ〜イ♪


ランボルギーニ・ガヤルド・スパイダーにリアの2輪だけを駆動するモデルが出た。
あまりに楽しくて、800 kmも走ってしまった!
文=齋藤浩之(本誌) 写真=望月浩彦


 早朝に都内で始めた撮影を終えて時計を見ると、まだ8時半だった。
 印象記を書くのに必要なぐらいは走っておかないと、と思って、幌を下げたまま首都高速のゲートを潜る。 ときは連休中ということで、あちらこちらでいつもとは様子の違う渋滞が起きているはず。できればそこへ突入するのは避けたいな、という思い以外は抱いていなかった。
 羽田方面へ向かってアクアラインへ合流し、少し間を置いてから流れに追いつくべく2速でスロットルを深く開けると、トンネルのなかいっぱいに激しいV10サウンドが轟いた。 ブァァァーン!!  加速力は半端なものじゃない。アドレナリンが吹き出して鼓動が高まる。流れを邪魔しないように何度も低いギアへ落としてヴァァァーン!!  に包まれた。オープンの威力ここに極まれりの思いがした。窓を閉め切ったクーペでやるのとでは、鼓膜を揺るがす音圧が決定的に違う。渦巻く音の洪水のなかに身を震わせながら浸っているような感覚だ。ドアの窓とリアからの巻き込みを防ぐディフレクターの役目を果たすガラスを上げてあるから、風圧に翻弄されることはないけれど、もうこのサウンドに気圧されないように身構えるだけで精一杯だ。
 ギアを上げて獰猛なV10をなだめると、今度はピレリPゼロのトレッドがコンクリートを叩きつける高周波のノイズが容赦なく襲ってくる。 排気音でそれをマスキングできるぐらいにほどほどのギアを選んで走るのが賢明だと、やがて気づいた。
 ガヤルドLP550-2スパイダーは猛獣なのだ。心してかからねば。

この緊張感は、喜びに直結する

 木更津へ抜け、そこから北上して幕張へ、鼻先を都心へ向けて帰路につこうかなと思った矢先、電光掲示板は向かう先が渋滞していることを告げていた。急がば回れ。いったん四つ木方面へ折れて、そこから6号向島線で都心へ返そうと考えたら、そこも奥で渋滞している。ならばと東北道へ向かい、途中で中央環状線を使って5号池袋線で飯田橋へ、という手に出ようと思ったら……。 気づけば、東北道を走り始めていた。 渋滞に嵌るぐらいなら、いっそ地の果てまで、と思わすものがガヤルド・スパイダーには、ある。
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 ほんの小1時間のドライブだろうと踏んでいたから、オープンのままである。でも、停まって幌を上げたいとは、不思議に思わなかった。
 幌を閉めていれば、6速で319km/hに届くと豪語するクルマである。オープン状態といえども、トップ・ギアで流れに乗っている分には、走っていないも同然の負荷しかかかっていない。せいぜい40psほどの仕事をしているにすぎないだろう。けれど、風と戯れていれば、退屈などしない。そして、時おり2速と3速を使って深々と息をさせてやれば、扇情的な声を上げながら、それこそ息を飲むような猛烈なダッシュを見せ、鮮やかに覚めさせてくれる。
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 左、新潟。その標識を目にして、ガヤルドと僕は日本海を目指した。 追い越し車線が消えて片側1車線の走行車線しかなくなる区間がメインになると、交通量は少ないとはいえ、休日モードでノンビリと走るクルマにつかえて、すぐに団子のように列ができる。追い越し車線が現れるたびにダッシュをかける一群と間合いを計りながら、こちらも2速、3速を使ってスパートする。しかし、そこがいつも真っ直ぐなストレートは限らない。延々と山間を抜ける路線だから、前輪にはかすかにスリップ・アングルがついていることの方が多い。そんなときに無遠慮にガバッとV10の咽を開ければ、すかさずにノーズがピクッと外へ動こうとする。 これは後輪駆動のガヤルドなのだ。
 4WD前提で始まって熟成を続けたガヤルドに、突如加わった異端の限定モデル、ヴァレンティーノ・バルボーニ。それをシリーズ・モデル化したLP550−2は、どしっと安定した磐石感が支配的な4WDのガヤルドと違って、軽くソリッドな一枚岩がそれこそ触れなば切らんの鋭さで反応する、ミドシップ・スーパースポーツの鑑みたいなクルマだ。
 そのオープン・バージョンであるこのLP550−2スパイダーは、クーペ・モデルほどでないにしても、駆動力のオン・オフ、前後荷重の在りように合わせて、正直に鼻先の動きが変わる。無造作なスロットル・コントロールには警告を発してくる。 猛獣を扱うように優しく、しかし、毅然とした決意をもって前後荷重を御しながら導いてやる必要がある。 丁寧なオフスロットルでイン、じわじわと開けながらアウト。このクルマにとって、カーブはすべからくコーナーとなる。それが、楽しい! 心地よい緊張感は、走らせている間じゅう、ずっと消えることがない。
 前方の雪山を目にしてPAへ入り、幌を上げた。長い隧道を抜け、ひたすら南を目指す。無事、帰京。
 9時間強で800kmの旅だった。




細かく穴が穿たれた革を使った手触りのいいステアリング・ホイールと、ストライピング以外を一色でまとめた内装はオプション。幌を格納すると黒ずくめとなるこの凄みの効いたカラー・コンビネーションは、切れ味鋭いLP550-2スパイダーによく似合っている。ゴージャスな仕立てのシートは長距離を一気に走るような場合でも、疲労の少ない優れものだ。大きなリア・リッドは幌格納部のカバーの役を担う関係上、その下に構造部がV10エンジンを覆うように跨いでいるので、クーペとは違って、獰猛な心臓を拝むことはできない。しかし、ひとたび幌を仕舞い込めば、その雄叫びによって、猛烈に存在を主張してくるのだから、見えなくてもべつにどうということはない。“-2”の意味するものは、じつに大きい。




  
 ランボルギーニ・ガヤルド LP550-2スパイダー
駆動方式ミドシップ縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高4345×1900×1185mm
ホイールベース2535mm
トレッド 前/後1632/1597mm
車両重量1680kg(車検証値)(前43%:後57%)
エンジン形式自然吸気直噴V型10気筒DOHC 40バルブ
総排気量5204cc
最高出力550ps/8000rpm
最大トルク55.0kgm/6500rpm
変速機シングル・クラッチ6段自動MT
サスペンション形式 前ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション形式 後ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ 前後通気冷却式ディスク
タイヤ235/35ZR19 87Y/295/30ZR19 100Y
車両本体価格2443.56万円(テスト車はop込み25668.615万円)



(2012年7月号掲載)
 
 
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予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



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