ENGINE online/エンジン オンライン

ドイツ人もこれなら納得の、VWザ・ビートルがやって来た。


クリックすると拡大
VOLKSWAGEN THE BEETLE


きびきびと走れるけれど、のんびり走りたくなります。


新種のカブトムシが上陸しました。
その第一報をお知らせします。
文=齋藤浩之(本誌) 写真=小河原 認


クリックすると拡大
“デザイン”というトリムには外装色と合わせたダッシュボードの化粧パネルが標準で備わる。
 ついにVWの“ザ・ビートル”が日本にやってきた。横浜でプレス向けの試乗会で触れることができたので、その第一印象を報告したい。
 ザ・ビートルは欧州市場用に、
■1.2TSI(直4:105ps)
■1.4TSI(直4:160ps)
■2.0TSI(直4:200ps)
■1.6TDI(直4:105ps)
■2.0TDI(直4:140ps)
という5種類の4気筒エンジンを設定し、最大の市場となる北米用には、
■2.5(直5:170ps)
■2.0TSI(直4:200ps)
のガソリン仕様のみを設定している。

 日本用に選ばれたのはとりあえず、1.2TSIである。後に高性能版が追加導入される可能性がないわけではないけれど、当面は1.2のみで、というのがVWの公式の見解だ。
 変速機はデュアル・クラッチ自動MTの7段DSGのみ。当然、2ペダル仕様ということになる。
 欧州で販売されるビートルには内外装の細かな仕立ての違いで、“ビートル”、“デザイン”、そして、“スポーツ”と、3種類のトリムが用意されている。日本仕様として選ばれたのは“デザイン”。標準装備の違いで“標準”と“レザー・パッケージ”の2つのモデルから選べる。
 今回上陸したのはレザー・パッケージでの方である。シートは革張りになると同時に形状がスポーツ・タイプになり、ランバー・サポートの調整が効くほか、ヒーターも備わる。 さらに、バイ・キセノン・ヘッドライトやワイパーのレイン・センサー、自動防眩ミラー、左右独立温度調整式の2ゾーン・フルオート・エアコン、DSGのパドル・シフト、多機能スイッチ付きステアリング・ホイールなどが標準装備として加わる。 ロード・ホイールが1インチ大きな17インチになるのも、レザー・パッケージの外観上の特徴だ。オプションで電動パノラマ・スライディング・ルーフを加えることもできる。 車両価格は303万円だが、内容を考えると決して高くない。ただし、ナビはオプションとなる。
 そうした諸々の付かない標準型でもアルミホイールやエアコンはもちろん付いてくるし、ファブリック・シートはゆったりとした形状のコンフォート・タイプとなるから、独自の魅力がある。輸入が開始されるのはしばらく先になるようだけれど、ユルい雰囲気を重視するのなら、それを待つという手もありだと思う。 250万円という価格も魅力大だ。


“レザー・パッケージ”には革張りのスポーツ・シートが付く。
後席は実用になる。頭もつかえない。

今度のは運転しやすい

 1台を借り出して撮影を済ませ、短い時間だけれど、小雨振る横浜の街のなかを走ってみた。
 大きなドアを開けて乗り込むと、落ち着いた造形に、ボディと同色の化粧パネルが華やいだ雰囲気を添えていて、ウキウキした気持ちになる。シートの高さを調整し、ステアリングホイールの角度と伸長を合わせると、快適で正しいポジションがすぐに出る。ゴルフと同じである。
ウインドスクリーンの下縁が一直線に見えるのもゴルフと同じだ。でも、Aピラーが立ったザ・ビートルはそれがゴルフよりも近いところにあるから、外界の把握がさらに容易に感じられる。ノーズが見えないのはゴルフと同じだが、車両感覚のつかみ易いクルマといっていい。
 運転しての感触は、ちょっとルーズなゴルフといえばいいだろうか。 ゴルフとボディの大きさはほとんど同じで、車重もほとんど同じ。パワートレインもこれまた同じだから道理なのだけれど、どことなくまったりとした雰囲気がザ・ビートルにはある。混雑した街中ではDSGをスポーツ・モードにしてやれば、自動ブリッピングを入れながら7段もあるギアを小まめに切り替えてトルクの厚い回転域をキープしてくれるので、キビキビと走ることもできる。
 もっと大きなエンジンが欲しくなるか? と訊かれたら、答えはノーである。不足は感じないし、この1.2TSIはクルマの雰囲気にとてもよく合っている。北米仕様の自然吸気2.5にちょっと興味がないことはないけれど、欧州仕様のなかから選ぶなら、これがベストだと思う。昔のビートルも“1200”という名前を使っていたわけだし。
エクステリア・デザイナーのクリスチャン・レスマナ。若いけれど見識豊かな、ナイスガイでした。

 乗る前には、1.2TSI(と北米用2.5)専用となる形式違いのリア・サスペンションによる乗り心地はどうなのかしら? とちょっと不安があったけれど、これも大筋問題なし。3本のリンクでごついビーム・アクスルを位置決めする、ほとんどリジッド・サスペンション的なシステムで、バネ下重量はゴルフなどが使うマルチリンクの独立式ほどには軽くならない。そのせいか、きつい段差を左右輪が同時に乗り越えるような時に、荷重の大きなフロントよりもリアの方がショックが少し大きめに出るということ以外、気になるようなところはなかった。スカッフ変化も感知できなかった。
 というわけで、ザ・ビートル、すっきりと腑に落ちて、一安心です。


1.2はリア・スポイラーなしが標準なので、よりビートルらしくて好感がもてる。



  
 VW ザ・ビートル・デザイン・レザー・パッケージ
駆動方式フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高4270×1815×1495mm
ホイールベース2535mm
トレッド前/後 1580/1545mm
車両重量1280g
エンジン形式自然吸気直噴直列4気筒SOHC 8バルブ
総排気量1197cc
最高出力105ps/5000rpm
最大トルク17.8kgm/1500-4100rpm
変速機ツイン・クラッチ7段自動MT
サスペンション形式 前マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション形式 後3リンク式トーションビーム/コイル
ブレーキ 前後通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前/後215/55R17
車両本体価格303万円7



(2012年7月号掲載)
 
 
最新記事一覧
Driving Lesson
エンジン・ドライビング・レッスン
「エンジン・ドライビング・レッスン2017」の受講生募集を開始します。今年の開催は全3回…
ENGINE ROOM
ENGINE 2019年1月号
自動車用品からファッション、時計まで、ENGINE読者必見の新製品、新店舗、イベントなど耳より情報が…
ENGINE ROOM
ENGINE 2019年1月号
いま、ボルボに乗りたいこれだけの理由。
NEWS
ENGINE beat Lupin 2018…
昭和の文士たちに愛された『銀座・ルパン』が開店から90周年を迎えた。内装も戦前のままという店を訪…
NEWS
PEUGEOT508/プジョー508…
2019年第1四半期に導入が予定されている新型508の発表に先立ち、全国の主要ディーラーでプレビュー・…
SPECIAL
ヴァシュロン・コンスタ…
愛車でクラシックカー・イベントに行く時にも、ちょっと気取って仲間のパーティに出掛ける時にも似合…
NEWS
FIAT クロスオーバーSUV …
2014年春のデビューから4年半、フィアットの小型クロスオーバー(SUV)の500Xが初めて大規模なマイナ…
NEWS
MAZDA CX-5 CX-8/マツダ…
CX-5とCX-8がアップデート。そのプロトタイプにテストコースで試乗した。今回の改良の目玉はエンジン…
NEWS
40年間封印されていた幻…
日本では1978年に短縮版のみが公開されていた、米リメイク版の『恐怖の報酬』が完全な形で復活。ど迫…



バックナンバーページの定価表記について
「ENGINE 2014年3月号」以前の定価表記は、発売時の定価になっております。
予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



▼試乗記 最新5件
 純ガソリンのポールスター、いよいよ最後かも?
 もっとも手頃なボルボに乗る。
 マイナーチェンジしたキャデラック・エスカレードに乗る。
 ミニ一族では初の電化モデル、クロスオーバー・クーパーSEに乗る。
 フェイスリフトを受けて進化した新型ルノー・ルーテシアR.S.に箱根で試乗。