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BMWからもついに6シリーズがベースの4ドア・クーペ登場。


BMW 640i GRAN COUPE
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BMW 640i GRAN COUPE


座れば6、走れば5?


輸入車の日本上陸は、欧州での発売からほとんど
遅れなくなった。BMW6シリーズ・グラン・クーペも
彼の地を走り始めるのとほぼ同時に、日本へ上陸した。
文=齋藤浩之(本誌) 写真=小河原認


 このクルマの走る姿が視界に入ると、ハッとする瞬間がある。5シリーズ・サルーンとも6シリーズ・クーペとも違う、6シリーズ・グラン・クーペにしかない美を感じる瞬間が、確かにあるのだ。顔の表情が消えかけて、お尻が見え始めるまでの間のどこかで、その瞬間が訪れる。
 停まっている姿を真横から見たときとも違う。走り去る動きのなかにしか感じない何かがある。
 かつて、先達は「すべてのクルマはクーペであることに憧れる」というような意味の言葉を残しているけれど、このグラン・クーペほどその表現を想起させるものはない。
 4ドアでありながら、しかしそれはフォーマルなサルーンではなく、さりとて純粋な2ドア・クーペでもない。しかし、その双方のイメージをそのスタイルのなかに宿している。
 佇むスタイルを眺めただけでは見えてこないダイナミックな美を感じさせるということでは、現行BMWのなかでいちばんではないかと思う。たんに4ドア・クーペといって済ませることをためらわせるクルマだ。


グラン・クーペのボディ寸法は5010×1895×1390mm
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グラン・クーペのボディ寸法は5010×1895×1390mm。ホイールベースは2970mm。640iの車両重量は仕様によって1860〜1920kgとなる。標準仕様の車両本体価格は986万円。
乗り込むとまさにクーペ

 ウィンドウ・サッシュのないドアを開けてドライバーズ・シートに着くと、目の前に広がる世界は6シリーズのそれそのままだ。ドライバーを取り囲むように構築されたダッシュボードは、かつて盛んに“ドライバー・オリエンテッド”と謳ったBMWを思い出させる。「主役は貴方だ」と語りかけてくるような、そこは場所である。ルーフはクーペのように低く、インティメイトな雰囲気が濃厚に漂う。たしかにこれは6だ。
 振り返って後席を見ると、セミ・セパレートとでもいえばいいのか、ヘッドレスト一体型のバケット調シートが構えている。前席を離れてそこへ移るべくリアのドアを開けようとしたら、ドア・ガラスの向こうに、誇らしげなGran Coupeというレタリングが刻まれていた。
6シリーズを名乗るだけあって
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 後席は、ショーファーつきでここに乗るクルマのものとして少しタイトだが、フル4座のそれといってなんら差し支えのないスペースが用意されている。よほど背が高いひとでなければ、不満を覚えることはないだろう。サルーンと呼んでもいい。

6シリーズを名乗るだけあって、5シリーズよりもずっとパーソナルな雰囲気が漂うグラン・クーペの室内。革張りのダッシュボードは21万円のオプション。これは標準仕様の内装で、トリム・アクセントにアメリカン・オーク・ウッドがあしらわれた例。Mスポーツでは前席が左右サポートの張り出しが大きいスポーツ・タイプのものに変わる。後席は法規上は3人掛け。

グラン・クーペの室内


走らせると5シリーズ?

 8気筒ツインターボを積む650iグラン・クーペは生産が遅れて立ち上がるとのことで、上陸したのは直噴バルブトロニックの3リッター直6にツインスクロール・シングルターボで過給を施す640iである。トリムは2種類、この標準型と、Mスポーツがある。Mスポーツは前後のバンパーやサイドシルの形状が変わって、わかりやすくスポーティなお馴染みの意匠になるが、このグラン・クーペに限っては、標準型の方が、いっそうそれらしい装いに見える。バンパーの中を走るクローム・アクセントが効いている。
 いざ走らせ始めて抱いたのは、これは6ではなく、5ではないか? という印象だった。6シリーズ・クーペより11cm 強も長い2.97m のホイールベースは、事実上、5シリーズのそれに等しい。優雅なボディの全長は5シリーズよりも10cm 以上長く、5m と1cm ある。その動き方が5のように感じられるのは道理だろう。
 しかし、山道に分け入って、ワインディング・ロードを走り始めると、5よりもスポーティな素性が見えてくる。全高が7cm ほども低いグラン・クーペは、いくぶんとはいえ確実に身軽に感じられる。動きがタイトなのだ。この印象は、借り出したクルマとは別のMスポーツ仕様に乗って、いよいよ強くなった。
 その個体にはオプションの“アダプティブ・ドライブ”が備わっていて、電子制御減衰力可変ダンパーの“ダイナミック・ダンピング・コントロール”に加えて、アクティブ・スタビライザーの“ダイナミック・ドライブ”が装備されていた。
640iグラン・クーペに搭載されるエンジン
640iグラン・クーペに搭載されるエンジンは、3リッター直列6気筒。可変リフト&タイミングの吸気バルブを備える“バルブトロニック”ヘッドを備え、ツインスクロール型の大型シングルターボで過給する。この基本構成は535iなどに積まれるものと同じだが、チューンの度合いが高いことから640i(4リッター相当の意)を名乗る。320ps/5800rpmと45.9kgm/1300-4500rpmを発揮する。変速機は8段AT。


 前後アクスルのアクティブ・ステアリングを統合制御するシステムとこれの連携は、それは麗しいとさえ感じるほどで、1.9t になんなんとする5m のボディが、まさにスポーティ・カーのようにコーナーの連続を美しく抜けていく。8段ATをマニュアル変速で御してやれば、心地よいリズムを刻みながら舞い躍る。
 これぞ、駆けぬける歓びである。

BMW 640i GRAN COUPE
BMW 640i GRAN COUPE
  
 BMW 640i グラン・クーペ
駆動方式フロント縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高5010×1895×1390mm
ホイールベース2970mm
トレッド(前/後)1600/1665mm
車両重量(乾燥)1880kg(車検証値)(前50.5%:後49.5%)
エンジン形式ターボ過給直噴直列6気筒DOHC 24バルブ
総排気量2979cc
最高出力320ps/5800rpm
最大トルク45.9kgm/1300-4500rpm
変速機8段AT
サスペンション形式(前)ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション形式(後)マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後)通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後)245/40R19 94Y/275/35R19 96Y(RFT)
車両本体価格986万円(テスト車はop込み1108.2万円)
  



(2012年8月号掲載)
 
 
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バックナンバーページの定価表記について
「ENGINE 2014年3月号」以前の定価表記は、発売時の定価になっております。
予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



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