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カブリオレであることを忘れてしまいそうな911。


Porsche 911 Carrera Cabriolet
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Porsche 911 Carrera Cabriolet/ポルシェ・911カブリオレ


ブルブルよさらば!


ルーフ・ラインがクーペみたいになった
新型カブリオレは、乗るとさらに良かった。
文=齋藤浩之(本誌) 写真=望月浩彦


 ポルシェ911カレラSクーペは、あらゆる部分で進化を遂げ、その結果、1台のクルマとしての総体に稀有なほどの全き統一感が漲っていた。911がフルモデルチェンジの直後から、これほどの完成度を見せたことはなかったのではないかと思う。ホイールベースとフロント・トレッドの拡張によって、全面的なアルミ構造採用のおかげで重量増なしに剛性向上を実現したボディを、いかにも楽々と支えている感じがする。市街地などを走るさいに感じる爽やかな軽さは、911の新境地というべき新たな魅力といっていいだろう。
 であるのだから、そのオープン・モデルに大きな期待を寄せずにはいられない。果たして、試乗かなった新型911カブリオレは、期待に違わぬクルマだった。
 なによりいいのは、スカットル・シェイクがものの見事に消えていることだ。路面の荒れや不整に遭遇しても、フロント・セクションがブルブル、ワナワナと震えることがない。だから、ステアリング・ホイールに添えた両の手に無粋な振動が伝わってくることもない。モノコック・ボディのオープン・カーでは半ば不可避的なものと思われていたシェイクが出ないのだ。これだけで、どれほど印象が好転することか。これは屋根を被っているときはもちろん、屋根を下ろしてもそうなのだからすごい。新型アルミ・モノコック・ボディの威力を思い知らされる感じだ。これなら、それが理由でオープン・カーが好きになれなかったひとも、抵抗なく入っていけるはずだ。
 しかも、新型911カブリオレは、ルーフ内に隠されたマグネシウム製のパネルが、幌屋根をまるでメタル・ルーフのように美しく模っているから、高速道路で速度を上げても、コウモリ傘のように骨ばったこれまでの幌屋根に比べると、風切り騒音が見違えるように小さくなっている。側面から入ってくる音はクーペ並みとまではいかないけれど、それでも、カブリオレに乗っていることを忘れそうになるぐらいには低い。クルマを降りて外から眺めたときに、ルーフ・ラインがクーペのように滑らかになったこともウリのひとつになっているが、それがオマケと思えるぐらいに、この新型カブリオレは実用性能が上がっているのである。
Porsche 911 Carrera Cabriolet
オープンのままでも無粋なシェイクに興をそがれることなくワインディング・ロードを楽しめるようになった。自動可変バルブの備わる標準エグゾーストは、かなり勇ましいサウンドを響かせる。
 借りた個体は、3.4リッター・エンジンを積んだ“カレラ”のPDK仕様だったのだけれど、カブリオレにはこれで十分と思った。クーペのカレラSと比べれば、速さの差は歴然と感じられるものの、少し柔らかめでまったりとした乗り味のカブリオレには、よく似合っていると思った。標準エグゾーストのままでも音は勇ましいから、迫力不足なんてこともない。これはいいです。

Porsche 911 Carrera Cabriolet
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Porsche 911 Carrera Cabriolet
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PDKモデルに標準装備のステアリング・スイッチは表から押してアップ、裏から押してダウンのスライド式で、左右に同じものが備わる。イージー・ドライブ向けには便利。

後席スペースがあくまで+2のそれなのはいつものとおり。屋根の開け閉めはスイッチ操作ひとつの手間要らず。3.4リッター・カレラのPDK仕様で車両本体価格は1361万円也。

Porsche 911 Carrera Cabriolet
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Porsche 911 Carrera Cabriolet/ポルシェ・911カブリオレ



(2012年8月号掲載)
 
 
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