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パワーアップ、軽量化に加えてハンドリングを磨いた
最新のフェラーリ・カリフォルニア、日本上陸。


Ferrari California Handling Speciale
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Ferrari California Handling Speciale


おっとり感が懐かしい。


今春のジュネーブ・ショウでパワーアップした新型が
登場したFRのV8フェラーリ、カリフォルニア。
その新型のハンドリング・スペシャル版に試乗した。
文=村上 政(本誌) 写真=小河原認


 2008年にデビューしたカリフォルニアは、フェラーリにとって、新たな顧客獲得に大いに貢献するモデルとなったようだ。なにしろ、マラネロの発表では、カリフォルニアを購入したオーナーのうち、70%以上が初めてフェラーリを所有した人だというのだ。使われ方もこれまでとは違っており、とにかく使用頻度が高いのが特徴なのだとか。年間走行距離はフェラーリ平均比でプラス30%。さらにオーナーの20%は、毎日使用しているという。そして、もうひとつ面白いのは、1台を複数の人で使っているケースが多いことで、なんと65%が同業者あるいは家族と共に使用しているのだそうな。
 なんだかポルシェのデータでも繙いているような錯覚にとらわれるが、ある意味、カリフォルニアの実用性の高さが、新しいフェラーリ・オーナー像をポルシェ・オーナー像に近づけたのだろう。実際、ポルシェから乗り換えた人も多いに違いない。
 とはいえ、デビューから4年が経ち、フェラーリもこのあたりで軌道修正して、もう少し従来のフェラーリらしいスポーツ志向を強めようと考えたのかも知れない。今春のジュネーブ・ショウで、30psのパワーアップと30kgの軽量化を同時に実現したマイナーチェンジ版を発表した。
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 今回、試乗したのは、それをベースにハンドリングについて特別なチューニングを施したモデルで、その名も“ハンドリング・スペチアーレ”。ノーマル・モデルより90万円高いプライス・タグが付いている。
 その中身について見る前に、パワーアップと軽量化について触れておくと、パワーアップは主にエンジンのポンピングロスの低減などによる効率の向上とECUのソフトウェアの変更、排気系の見直しによって得られたものだという。一方、軽量化は、最先端のアルミニウム製造技法と組み立て技術の採用によるものだ。


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ハンドリング・スペチアーレのノーマル・モデルとの外観上の識別点はほとんどない。唯一、フロント・グリルとサイドのエア・アウトレットの色をHSは無償でチタン・シルバーに変更できる。試乗車はその色が選択されていたが、余程のフェラーリ通でも識別は困難だろう。そのほか、試乗車にはデイトナ・スタイルのシートをはじめとして約500万円分のオプションが装着されていた。


変更点はステアリングと脚

 さて、そこで本題だが、ハンドリング・スペチアーレのノーマルとの違いは3点。まず、ステアリング・レシオをノーマルより約10%減らして、よりクイックにしたこと。次に、フロントに約15%、リアに約11%硬めのスプリングを採用し、脚を締め上げたこと。そして最後に、磁性流体ダンパーを採用し、入力に対するレスポンスを50%短縮したことだ。
 その違いは、試乗車に乗ってみると明らかだった。これまでのカリフォルニアは、誤解を恐れずに言えば、ややおっとりした、いい意味でユルくおおらかな乗り味が魅力だった。他のミドシップ・フェラーリや12気筒モデルに比べると、明らかに動きがゆったりとしており、それが2プラス2の大きめな開口部を持ったFRオープン・カーというスタイルによくマッチしていたのだ。
 それに比べると、ハンドリング・スペチアーレは明らかに硬い脚を持っている。路面の細かな荒れに対して敏感に反応して常に振動を伝えてくるし、ステアリングの操作に対するボディの動きも、ややオーバーなくらい機敏になっている。とりわけスポーツ・モードを選んだ時には、前後の荷重移動の動きが急になり、山道ではリアの荷重が抜けそうになる場面も出てくる。そういう時は、ルーフを格納して、リアの荷重を増やしてやった方がずっと走りやすいのに気づいて、ちょっと驚いた。今月乗ったもう1台のメルセデスSLもそうだったが、バリオ・ルーフのオープン・カーというのは、ルーフを上げた状態と下げた状態では乗り味がずいぶん違っているのだ。山道を走るなら、開けていた方がずっと気持ちいいし、運転もしやすくなる。
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 それに対して、高速道路を飛ばす時には、風仕舞いの問題を抜きにしても、ルーフを上げていた方が走り易いように思えたのは錯覚だろうか。
 いずれにせよ、ハンドリング・スペチアーレは、明らかにこれまでのカリフォルニアの性格を軌道修正するものだ。よりスポーティなハンドリングを好む、本来のフェラーリ・ユーザーにとっては、歓迎すべき進化だろう。しかし、新たに加わった70%のオーナーにとってはどうか。少なくともカリフォルニアにV8ミドシップ・フェラーリとは別の魅力を見いだしていた私には、かつてのおっとり感がやや懐かしくもあったことを、正直に告白しておこう。

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 フェラーリ・カリフォルニア・ハンドリング・スペチアーレ
駆動方式エンジン・フロント縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高4575×1910×1325mm
ホイールベース2670mm
車両重量1830kg
エンジン形式直噴90度V8DOHC32バルブ
総排気量4297cc
ボア×ストローク94.0×77.4mm
最高出力490ps/7750rpm
最大トルク51.5kgm/5000rpm
トランスミッションデュアル・クラッチ式7段自動MT
サスペンション形式(前)ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション形式(後)マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後)通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後)245/35ZR20/285/35ZR20
車両本体価格2480万円
  



(2012年8月号掲載)
 
 
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