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コンパクトなSLKにV8を押し込んだモンスター登場。


Mercedes-Benz SLK55 AMG
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Mercedes-Benz SLK55 AMG/メルセデス・ベンツ SLK55 AMG


リッチ・テイストのSLK


第3のSLKは、濃厚な味わいに満ちた、
野獣性を内に秘めた紳士でした。
文=齋藤浩之(本誌) 写真=小河原 認


 こうも感触の異なるクルマに仕立てることができるのか。舌を巻いた。すでに輸入されているSLK 200とSLK 350に続く、第3のモデルとして上陸したSLK 55AMGに乗って、メルセデスの上手さに感心した。
 3台とも基本は同じクルマである。けれど、3台は明らかに違う乗り物だ。まるでスニーカーのように気軽な雰囲気があるSLK 200。本物のスポーツカーといいたい鋭さをもったSLK 350。そして、なんといっていいのか、ひどく濃厚な存在感を終始訴えかけてくるSLK 55AMG。姿を見ずに助手席に乗せられたら、これらが同じ一族のクルマだと喝破するのは、よほどの事情通だけだろうと思う。過給4気筒の軽やかだけれど、ちょっとラフな感触と、ラバリーな弾む乗り心地が特徴の200。AMGスポーツ・パッケージ付きを選ぶと、どこもかしこもビシッとした感触で統一され、パワフルでありながらまるで精密機械のように緻密な回転フィールを見せるV6がタッグを組む350。常にリッチで部厚い感触が支配する55 AMG。ここまで性格が異なると、どれを取るかは、もう好みの問題というしかない。
 SLK 55 AMGのノーズの中には、新開発の自然吸気直噴V8が載っている。φ98.0×90.5mmのボア×ストロークから5461ccの排気量を得、422ps/6800rpmと55.1kgm/4500rpmを叩き出す。数字だけを見れば、高回転型そのものの特性だ。組み合わされる変速機はAMGお得意の7段スピードシフト自動変速機で、変速時間を短縮する技を組み込んだ“プラス”バージョンとなっている。3.5リッターV6の350でも十二分に速いのだから、これが遅かろうはずもない。事実、踏めばかなり速い。
SLK55 AMGには気筒休止システム
SLK55 AMGには気筒休止システムの備えまであって、JC08モード燃費は11.2km/リッターをマークする。前任機種比で70%も小食というのだから恐れ入る。弾けるようなV8ビートは、もちろん健在です。
 けれども、エグゾースト・システムに可変機構を組み込んで、負荷やスロットル開度などに合わせて背圧とサウンドを変えるこのV8は、大人しく走っている限りはリッチだけれども悠然とした、大排気量V8ならではの大らかな印象を与える。それが、右足の踏み方で表情を変えていき、最後にはいかにもAMG的な、怒れるV8の強烈なビートを放つようになる。
 トルクがトルクだから、扱い方によっては接地荷重が足りなくなってトラクションが抜けそうになることもあるけれど、オプションのAMGハンドリング・パッケージに組み込まれている機械式の差動制限ディファレンシャルが、タイヤのグリップを最後の最後まで引きずり出す。そこまでやると、これはもはやスーパー・スポーツカーもかくやのワイルド・マシーンとなる。
 表情が豊かということではシリーズ随一といっていい55 AMGは、過剰を上手く着こなした、リッチマンのためのSLKだと思う。気圧されない度胸のある方に。

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AMGハンドリング・パッケージ(98万円)を選ぶと、ステアリング・ホイールのグリップ部分はアルカンタラ巻きになるほか、カーボン製トリムも加わる。SLK55 AMGの車両本体価格は1090万円。



Mercedes-Benz SLK55 AMG
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Mercedes-Benz SLK55 AMG/メルセデス・ベンツ SLK55 AMG



(2012年8月号掲載)
 
 
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