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新型ポルシェ・ボクスターS、ついに日本上陸!


ボクスターS 01
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乗ったら、欲しくなるぞ!


先月号のホット100で、みごとホット1に輝いた新型ポルシェ・ボクスター。
まずはその上級モデルのボクスターSが上陸。さっそく試乗してみた。
文=村上 政(本誌) 写真=佐藤正勝


 南仏、サン・トロペで開かれた国際試乗会から4カ月。早くも、新型ボクスターSが日本上陸を果たし、広報車の準備ができたと聞いては、居ても立ってもいられない。締切り直前、急遽、PDKモデルを1日だけ借り出して、雨雲の下で試乗した。
 まずは前日、自分の持っている先代987前期型ボクスターに乗って、その感触をカラダにしみ込ませる。で、翌日、新しい981型ボクスターSに乗ってみると、南仏でも感じた通り、驚くほど乗り味が変化したのを改めて確認することができた。
ボクスターS 02
 ひとことで言うと、新型はとにかく軽快である。新しいアルミ・ボディを得て、ボディが相対的に軽くなっているのはもちろんだが、それだけでなく、電動になったパワー・ステアリングがもたらす操舵フィールや、操舵に対するボディの動き、あるいはペダルの感触、さらにはエンジンの吹け上がり感や吸排気音といったドライバーの五感に伝わるすべてが、先代、とりわけその前期型よりずっと軽快感を増しているのだ。
 それに比べると、かつては飛び切り軽快なモデルだと感じていた987前期型ボクスターが、ずいぶんと重厚な乗り味のスポーツカーに思えてくる。とてつもなく硬いフロアを持ち、それが道をドシン、バタンと押さえつけながら走る感覚は、先代911とも共通するものだ。
ボクスターS 03
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 対する新型はといえば、よく動くサスペンションがしっかりと路面の荒れを吸収しながら、スルスルと滑らかに走る。そしてこの滑らかな走りも、こちらは新型911と共通するものだが、ボクスターの方がより軽快感が際立っているのである。
 あるいは音はどうだろう。私のボクスターはかなり原始的な感じで、スーッ、ハー、フォーンとすぐ後ろに置かれたフラット6が呼吸する音や、補器類が回るチューンという音が常にコクピットに飛び込んでくる。
 対する新型では、すべての音が計算され演出し尽くされている感じがする。低速時はとにかく静かだ。フラット6の呼吸する音もほとんど聞こえない。それがひとたびアクセレレーターを踏み込んで回転数を上げると、クォーンという素晴らしい排気音を、あたり一面に響かせるのだ。

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内装で特徴的なのは、パナメーラゆずりの前に行くに連れてせり上がったセンター・コンソール。3連メーターは右側が液晶パネルになった。全高が13mm低められ、ルーフ後端が伸びたことで、閉じた姿もよりスタイリッシュになった。



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理想のスポーツカーの姿

 雨を逃れて房総半島まで行き、雨雲がやって来る前の一瞬の隙をついて撮影する。ルーフを開けた姿は本当にカッコいい。とりわけ、真横から見た姿に惚れ惚れしてしまう。ホイールベースが伸びて、オーバーハングが減り、タイヤがより4隅に近づいたことが、こんなにプロフィールに変化をもたらすとは思わなかった。これはほとんど理想のスポーツカーの姿そのものではないか。
 ドライバーがクルマの中央に低く座っているのが写真からも伝わってくるが、このバランスの良さ、重心
の低さを、運転していて常に実感することができる。とにかく、コーナリングが気持ちいいのだ。先代も素晴らしいハンドリングの持ち主だったが、新型はそれをハッキリと上回る、軽快かつ安定感に富んだコーナリングを披露してくれる。
 写真を見ているとブレーキ・ディスクがかなり小さすぎてアンバランスな感じを受けるが、これは試乗車がオプションの20インチ・タイヤを装着していたためで、19インチのままの方がバランスはよさそうだ。そのほか、自分が買うことになったらどんな仕様がいいか、まだ日本に上陸していない素のボクスターとどちらにしようかなんてことも含めて、いつの間にか夢想し始めている自分を発見して苦笑してしまった。
 とにかく、一度乗ったら、絶対に欲しくなる。新型ボクスター・シリーズはそういう種類のクルマだ。だから、買い替えの予定がない人は近づかない方がいい。いや、近づいてはいけない。それほど、デキがいいのだ。ため息がでちゃうくらいに。
 だから、アラ探しもしたくなる。 踏まないで走っていると、なんだか燃費志向が強すぎて、スポーツカーに乗っている感じがしないほどユルい印象がある。先代までのボクスターが持っていた、パワーとトルクがギュッと詰まった感じが希薄なのだ。 とりわけ、このPDKモデルでは、うっかりするとどんどんギアを上げられてしまい、ますますユルい印象が強くなる。そこが唯一の欠点か。

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誰が見てもボクスターとわかる面影を残しながら、内外装ともにデザインを一新した981型ボクスター。ホイールベースが60mm伸びて、フロントのオーバーハングが27mm削られたことにより、これまで以上にプロフィールがスタイリッシュになった。リア・スポイラーはテール・ライトと一体化してデザインされている。



  
 ポルシェ・ボクスターS
駆動方式エンジン・ミド縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高4374×1801×1281mm
ホイールベース2475mm
車両重量1360kg(6MT)/1390kg(7PDK)
エンジン形式アルミ製直噴水平対向6気筒DOHC
総排気量3436cc
ボア×ストローク97.0×77.5mm
最高出力315ps/6700rpm
最大トルク36.7kgm/4500-5800rpm
トランスミッション6段MT/7段PDK
サスペンション形式(前)マクファーソン式ストラット/コイル
サスペンション形式(後)マクファーソン式ストラット/コイル
ブレーキ(前後)通気冷却式ディスク
タイヤ(前)235/40ZR19 (後)265/40ZR19
車両本体価格727万円(6MT)/774万円(7PDK)



(2012年9月号掲載)
 
 
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予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



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