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レクサス・ブランドのハイパワー・ハイブリッド、GS450hデビュー!


LEXUS GS450h/レクサス GS450h
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LEXUS GS450h/レクサス GS450h
全長×全幅×全高=4830×1820×1425mm。ホイールベース2850mm。1890kgの車両重量は1700kgのGS430より200kg近く重い。10・15モード燃費は14.2km/リッターと、2リッター車なみ。通常発進時や低速・低負荷走行時にはモーターのみでの電気自動車状態になる。バッテリーで駆動する電動インバーター・エアコンにより、エンジン停止時でも空調が維持される。変速装置はエンジンからの動力を機械動力伝達系と電気動力伝達系に分割する動力分割機構とモーター、ジェネレーターなどによって構成され、システムの出力はプリウスの約3倍という。






ドライバーは先端技術?


レクサス・ブランド車のキイ・テクノロジーになることが予想されるハイブリッド・モデルが
ついにGSシリーズに追加された。どんなクルマなのか?
文=鈴木正文 写真=柏田芳敬





同乗者との会話

 同乗したジャーナリストが横浜横須賀道路を運転中、かれと交わした会話が忘れられない。
 「あ、舵が入ってくるんだ」
 かれがいった。乗っていたのは本革シートやハイテク安全装備が標準となる“バージョンL”仕様車。ファブリック・シート車の680万円より90万円高い770万円の最上級グレードで、これには“プリクラッシュセーフティシステム(ミリ波レーダー方式)”なるものがついている。このシステムはいろいろな装置と統合されているのだが、このときかれは“レーダー・クルーズ・コントロール”と“DABC”(ドライバー・アシスト・ブレーキング・コントロール)をオンにしていた。レーダー・クルーズ・コントロールは、ミリ波レーダーが先行車との車間距離をはかって、設定車速内で車速に比例した車間距離を保ちながら追従走行する装置で、近づきすぎたときは自動的にブレーキングし、離れすぎたときには自動増速もする精巧なもの。これが有効であることは実験ずみだった。「ちゃんとやってる」と、かれはいい、「すごいね」と僕は苦笑まじりに応えた。
 DABCはクルーズ・コントロールを作動させていないときでも、先行車と近づきすぎたり先行車との速度差ゆえに減速が必要だったりしたときに、ミリ波レーダーの情報に基づいて、ドライバーがアクセルを踏んでいないときにかぎり、自動的にブレーキをかける装置。これも実験ずみで、「ちゃんとやってる」「すごいね」といいあった。
 さらに、LKA(レーン・キーピング・アシスト=車線維持支援)と呼ばれる装置もオンになっていた。高速道路や自動車専用道路の白線(黄線)をカメラで認識して、車線逸脱を予想したときに、ピピピと警告音を鳴らすと同時に小さな操舵力を車線中央に戻す方向で連続的に与える装置で、その実験をするために、かれはステアリングを手のなかで遊ばせて、道路の自然な傾斜のままにレーンから逸脱しようとするGS450hを放置していた。すると、レーン内走行を促すように、車線内に復帰する方向に、システムがステアリングに介入したので、「舵が入ってくる」といったのである。
 「へええ」と僕はいい、「システムがこんなにいろいろ助けてくれるなら、運転に集中してなくてもいいやってなりかねないな」とコメントした。
 プリクラッシュのシステムにはドライバーの顔の向きをステアリング・コラムに搭載したカメラで検知し、正面を向いていないと警告音を鳴らし、必要とあれば自動ブレーキをかける機能もある。
 「そういうのを全部使ってドライバーはぼおっとしているのがいちばんいいのかもしれない」と、かれはつぶやいた。僕はうなずいた。
スーパーな加速

 力強いトルクとレスポンスのいいパワーが魅力の3.5リッターV6に高回転・高出力モーターを組み合わせたGS450hの加速は、うわさ通りにするどく立ち上がり、スーパーなめらかな、加速度的に伸びていく加速を実現した。これはたしかに4.5リッター車にも相当する動力性能を持っているといえた。
 「ぼおっとするのに飽きたら、アクセルを踏んづけて猛然加速に転じる。その2つを繰り返すのが、このクルマの差別化価値をフルに味わえるベストな方法ってわけか」と僕はいったが、そんなふうに乗ったのでは、あまりにもバカっぽすぎないかともおもった。「地球環境に貢献する車に乗る誇り」「スポーツセダンが備えるクオリティ感」「クルマを操る愉しさ」という、トヨタの開発リーダーのうたい文句をそこに重ねた。
V6は296psと37.5kgm、モーターは200psと28kgm
V6は296psと37.5kgm、モーターは200psと28kgm。
 1台のふつうの自動車としてみると、先行発売された4.3リッターV8のGS430、3.5リッターV6のGS350とおなじ弱点がGS450hにはある。つまり、速度域を問わずコツコツとした突き上げがあること、荷重がフロントに入ったり抜けたりするたびに大きめのピッチングが出ること、フロアの微振動がほぼ常時続くこと、といった点で、そのためにスムーズな乗り味が実現していない。いっぽう、加速の立ち上がりの鋭さとトルクの豊かさゆえに、スロットル操作に対する反応が俊敏で、430や350よりクルマを掌中にしている自在感と、ピンとした凝縮感のある動的クオリティがある。踏力に応じて減速度を調節しやすいブレーキともあいまって、スポーティ感はこっちが上だ。
 とはいえ、ナビの道路コーナー情報に基づいてダンパーの減衰力をあらかじめ最適制御したり、一度通った路面の段差情報を地図に記録し、次回からおなじ場所では先行的に減衰力制御する“NAVI・AI‐AVS”より、もっといいダンパーのほうが必要だとおもう。


LEXUS GS450h/レクサス GS450h
(左)整然とまとまったコクピットまわり。破綻はないがアピール力もない。(中)回転計はなくパワーの出力状態と充填状態を示すメーターがつく。(右)“バージョンL”の本革シート。サイズは小さめ。

ナビのディスプレイ部に出したエネルギーモニター
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センター・コンソールのディスプレイに表示された燃費グラフ
ナビのディスプレイ部に出したエネルギーモニター。
センター・コンソールのディスプレイに表示された燃費グラフ。

LEXUS GS450h/レクサス GS450h
(左)コーナリング中のGS450h。スロットルへの反応は俊敏だ。(中)強く寝かされた長いルーフ・ラインはGSの特徴。(右)ハイブリッド専用の18インチ・アロイ・ホイール。



(2006年6月号掲載)
 
 
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予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



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