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オペル・ベクトラGTS2.2とトヨタ・アベンシス・セダンLi


オペル・ベクトラGTS2.2
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日欧輸入セダン対決。柔よく剛を制す!


欧州Dセグメント市場の03年上半期ベストセラーは、12.4万台を売ったベクトラ・シリーズ。
オペル=GMヨーロッパのこの牙城を切り崩すべく現地で開発されたトヨタ・アベンシスが日本にも上陸。
日米自動車界の巨人、トヨタとGMの「欧州代表」の走りの印象はいかに?
文=数藤 健(本誌) 写真=望月浩彦



トヨタ、輸入車市場で4位に?

 新型アベンシスは、トヨタが欧州Dセグメントに2003年3月に投入した戦略車種。内外装のデザインはフランスの同社スタジオが手がけ、操縦性、安全性も欧州基準で仕立てたと謳う。生産はイギリスの工場が一括して担当。まさに、「トヨタがつくったヨーロッパ車」である。
 日本への輸入開始は03年10月。1カ月で約4500台を受注した。このまま順調に国内月販目標の2000台をこなしていけば、トヨタは04年の純輸入車市場で、ドイツ御三家(VW、メルセデス、BMW)に続く第4位になる勢いだ。
 同じ輸入トヨタでもアメリカ製のヴォルツ(GMとの共同開発車)、キャバリエ(GM製)はサッパリ売れなかったわけだから、相当な人気。で、めでたく「クルマの当たり年。」特集に登場と相成った。
 この有望株セダンと今回相まみえるのはオペル・ベクトラ。欧州Dセグメントにおける、アベンシスの最大、最強のライバルである。
 比較テストは、2リッター直4ユニットを積み215/45扁平タイヤを履くアベンシスLi(275万円)に合わせ、ベクトラはスポーティなGTS2.2(348万円)で行った。
 最初に乗り込んだのはベクトラ。3.2リッターV6搭載のGTSとワゴンを10月にテストしたばかりなので、ベクトラ・シリーズのデキの良さは知っていた。嬉しいことにGTS2.2は上級グレードとはまた別の美点を持つ、素晴らしいクルマだった。
 GTS2.2は何よりハンドリング、旋回性能が素晴らしい。
 前輪に荷重をかけ、ステアリングを切り込む。どんな車両速度、転舵速度でも素早く、素直に、ドライバーのイメージどおりにノーズは向きを変え始める。ロールもよくチェックされているし、旋回を終え、直進状態に戻るときのクルマの動きもじつに自然だ。つまりカーブを曲がるのが楽しい。街中の交差点を30km/hで回るとき、箱根のワインディングロードを駆け抜けるとき、いずれもとても気持ちがいいのだ。
 太く感触のいいグリップのステアリング・ホイールは掌に、ホールド性のいい布張りシートは尻に、クルマと路面の関係がいまどうなっているのか、をきちんと伝えてくる。だから、路面が濡れていても荒れていても安心してハイスピード・ドライビングを楽しめる。着座位置が低めなので、スポーツカーを運転しているかのような気分にさえなる。
 エンジンのパワーは必要十分。3.2リッター版に比べると確かに非力だが、その分ノーズが軽く、回頭性、ハンドリングが向上している。
 エンジンは低回転域から十分なトルクを発生する。一方で5500rpm以上回してもノイズが高まるだけでパワーはさほど盛り上がらないから、高回転まで引っ張っても無意味だ。


OPEL VECTRA GTS 2.2
OPEL VECTRA GTS 2.2
3代目ベクトラは2002年登場。GTSはベクトラ兄弟の中でもスポーツ・セダンという位置づけ。
トランスミッションは5段AT。アルミ調パネルとスポーツステアリング/シートを標準装備。2.2リッター直4DOHCユニットは147ps/5600rpm、20.kgm/4000rpmを発生。価格は348万円。
ベクトラGTS2.2のボディサイズは全長×全幅×全高=4610×1800×1465mm
ベクトラGTS2.2のボディサイズは全長×全幅×全高=4610×1800×1465mm。ホイールベース=2700mm。車重=1460kg。アベンシス・セダンはベクトラGTSより20mm長く、40mm幅狭く、15mm高い。ホイールベースは奇しくもまったく同寸。車重はアベンシスのほうが80kg軽い。トランク容量はベクトラが500リッター、アベンシスが520リッター(VDA法による)。
クオリティ・コントロール

 ベクトラで山岳路を楽しんだ後、アベンシスに乗り換える。着座位置は高く、視界は良好。ちなみに全高はアベンシスのほうが15mm高い。
 アベンシスの美点はインテリアにある。スイッチ類やバックレスト調整ノブの操作感、ドア・トリムの精緻なステッチ、純正オーディオの音質など、細部まで手抜かりはない。 センターコンソール(木目調)やインパネ(金属調)のプラスチック・パネルの仕上げも上等だ。トヨタのクオリティ・コントロールのレベルはやはり一頭地を抜く。
 走り出して、ボディの剛性感に驚いた。日々乗っている長期テスト車のプリウスやプレミオより一段上のしっかり感がある。欧州基準で設計された“別格のトヨタ車”であることは、10m走ればわかる。
 カタログでタイヤのサイズを見てある程度予想はしていたが、乗り心地は固い。耐摩耗性の高そうなファブリックがパンっ、と張られたシートの座り心地もやはり固め。結果、身体に伝わってくる突き上げ感は強い。この印象は後席でも同様だった。
 コーナーに侵入し、ステアリングを切ったときのクルマの動きはベクトラ同様素直で自然だ。ステアリング・インフォメーションはしっかりあるし、何しろボディが強いから、速度が乗っていても安心感がある。
 しかし足回りのしなやかさ、コーナリング時の気持ち良さはベクトラのほうが上。GTSはサスペンションの“張り”と“いなし”のバランスがとてもよく、荒れた路面でも狙ったラインを忠実にトレースする。
 アベンシスは、荒れ気味の路面の旋回中、足回りのつっぱり感が常につきまとう。直進状態でも、連続したうねりや凹凸がある路面では身体が上下に揺すられる。別の機会に短時間乗ったXi(220万円、タイヤは205/55R16)のほうが、クルマとしてのバランスはいい印象だ。ちなみに、全グレード共通の2リッター直噴ユニットは淡々と仕事をこなタイプ。こちらも5500rpm以上回す意味はあまりない。
 実力メーカーが激戦区に投入した量販実用車だけあり、2台に大きな死角はない。が、クルマの性格はかなり違う。端的に言えば柔(ヤワでなく、しなやか)と剛。
 従来のトヨタ車とは一線を画す剛性感あるボディ、質感の高いインテリアを持つアベンシスは、バーゲンともいえるその価格を考えるとかなり魅力的なセダンである。しかし、17インチ・タイヤを履くLiはやや足回りを固めすぎの感あり。一人で乗るならともかく、私は子供や両親、友人を乗せる機会も多々ある。
 よって私はしなやかなベクトラGTSを選ぶ。乗り心地と運動性能の調和が取れているし、何より路面に吸い付くような、スポーティかつシュアなハンドリングが素晴らしい。
 一見地味だが、走るとクルマのバランスの良さに感銘を受けること請け合い。実用性にも優れたハンドリング・セダン、ベクトラGTSはキャラクターの立った、貴重な存在だ。


TOYOTA AVENSIS SEDAN Li
TOYOTA AVENSIS SEDAN Li
同じ5ドアHBもあるが、日本に輸入されるのは4段AT仕様のセダンとワゴンのみ。
2リッター直4DOHC直噴ユニットは155ps/6000rpm、19.6kgm/4000rpmを発生する。価格は275万円。



トヨタ・アベンシス・セダンLi
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(2004年2月号掲載)
 
 
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