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フランス車は実用4座ハード・トップ・カブリオレの先駆者だ。


巻頭特集:優雅なる実用品、4人乗りオープン・カー。その3
巻頭特集:優雅なる実用品、4人乗りオープン・カー。その3

お向かいの奥さんが買いそうに……


何をもって“実用”とするかは、改めて考えてみると、これはなかなかに難しい問いではある。
それは日々の暮らしに使える平たい意味での実用車としての能力のことを当然意味するだろうし、その姿のひとつがオープン・カーである以上、乗るひとを引き立てる性能もまた“実用”性かもしれない。
クーペ・カブリオレの歴史に70年以上を誇るフランス車に尋ねてみるといい、はずです。
文=齋藤浩之(本誌) 写真=阿部昌也

プジョー206CC
プジョー206CC
プジョー206CCにはいわゆる標準車とグリフ、そして今回借り出したRCの3モデルが用意されている。パワートレインは3モデルに共通。自然吸気1.6リッター・エンジンは108ps/5800rpmと15.0kgm/4000rpmを発揮する。変速機は電子制御の4段AT。標準車が195/55R15、グリフが205/45R16を履くのに対して、特別仕様車のRCは205/40ZR17(P7000)を装着する。脚の仕立てはいかにもスポーティなそれになっている。フロントシートもRCはショルダー・サポートが大きく張り出したバケット・タイプ(部分皮革張り)になる。車輌本体価格は299.0万円(税込み)。
せっかくのオープンですから
 外はポカポカと暖かいし、せっかくオープン・カーで出かけるんだからと、新しいシャツを着てみました。
 しかし、ロケを半分済ませていったん編集部へ戻ると、「あら、花柄のシャツ。ピンクで可愛いらしい。…それにしても、サイトーさんには似合わないわねぇ」と、ご意見番のお姉さまは一刀両断。
 あぁ、柄に似合わないことするんじゃなかったなぁと、後悔しました。
 エンジン編集部にあって、ファッションに頓着しないことでは右に出る者なしではあります、たしかに。同じものをぐるぐると着まわしているだけです、ハイ。でも、そんな人間をして、新しいシャツのひとつも着てみようかという気にさせるものが、オープン・カーにはあるわけです。陽気のなかへ連れ出そうとしているのが、フランス製の小粋な4台なのですから、ましてやです。


硬派ということでしょうか?
 とりあえず小さな傷心を抱いたままふたたびロケへと出かけたわけですが、206CCを走らせ始めて、思い直しました。あ、たしかに花柄は似合わないかも、と。
プジョー206CC
これ、花柄というよりはライオンのプリント柄のほうが相応しいかもしれない。
 ところどころに革をあしらって上質な感じを漂わせることに成功しているけれど、色はグレーのモノ・トーン。そして、フロント・シートは、いかついショルダー・サポートを張り出したバケット・タイプ。ステアリング・ホイールが遠いのは、CCになっても変わらないこれは206のネガのひとつだから、肩を支えてくれてちょうどいいやと思ったのもつかの間、交差点を曲がろうとして、ステアリングの手ごたえがズシリと二の腕に伝わってきて驚いた。カジュアルという言葉を当てはめるには、手ごたえが本格的にすぎる。
プジョー206CC
 特別仕様車として昨年秋にラインナップされることになった『RC』だということを事前に知ってはいたけれど、パワートレインはほかの206CCと変わらない1.6リッター・エンジンに4ATのそれだから、『RC』はてっきり表面的なものだけかと思い込んでいた。ところが、どうやらそうではないらしい。
205/40ZR17というウルトラ・ロープロファイル・タイヤにしても、206RCからそのままもってきて大丈夫だろうか?
 ドタバタ劇を演じることになりはしないだろうかと危惧していたのだけれど、どうしてどうして。だらしなくバタつくこともない。サスペンションは相応に締め上げられているようだ。それが証拠に、交差点で大きく舵角がついたまま、低いギアでアクセラレーターを深く踏み込むと、荷重が軽くなったフロント内輪が、簡単に空転する。LSDの助けなどもとよりないにしても、するすると伸びる柔らかい足であれば、こうも簡単にホイール・スピンを招くことはない。シャシーは本気で『RC』のそれになっているとみなすべきかもしれない。
 でも、だからといって、街乗りでつらいかというと、そんなことはない。轍や路面の荒れに対する抵抗力はしっかり備えているから、ちょろちょろすることもない。首都高速に乗ってからも、高架構造の金属ジョイント乗り越えで悲鳴を上げるなどということはない。高速道路を少し速めのペースで巡航すると、バネの硬さが顔を覗かせ、うねりに遭遇すると、時にグイグイと上下に揺すられることにはなるけれど、クルマ全体のソリッドな感触は保たれる。好ましい印象を削ぐにはいたらない。
これなら、17インチ・ホイールがもたらすスタイルを優先して『RC』を選んだとしても、後悔することはないだろう。
プジョー206CC
もちろん、何よりも乗り心地を、というのであれば、ほかのトリムを選んだほうがいいとは思うけれど。


プジョー307CC
日本市場導入当初は標準モデル、プレミアム、それにS16というラインナップを揃えた307CCだが、現在カタログに載っているのは、この307CC 2.0のみだ。インテリアはかつての標準仕様に準じたものといっていいだろうが、シートは前後ともに本皮革張り。これはオープンで乗ることを考えると、ファブリックよりも何かと好都合。エンジンは自然吸気2.0リッターで、140ps/6000rpm、20.4kgm/4000rpmを発揮する。変速機は電子制御の4段AT。206CCの場合と同様、右ハンドル仕様のみの設定となっている。車輌本体価格は393.0万円(税込み)。


 
 
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予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



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