ENGINE online/エンジン オンライン

3代目デルタはクラスレスのラグジュアリー・カーとして誕生。
日本上陸は2009年夏以降。


LANCIA DELTA/ランチア デルタ
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ほかのクルマたちとは違う。


新型デルタがついにイタリアで発売された。こんどは右ハンドル仕様も用意される。
というわけで、何年もの間お呼びのかからなかった日本のメディアも試乗の機会を得た。
市場の特殊性を本気で考えて開発中という日本仕様の完成は来年とのことだけれど、
欧州試乗向けの新型に乗って、それが待つに値するクルマだということが分かった。
文=齋藤浩之(本誌) 写真=フィアット・グループ・オートモビルズ・ジャパン


 「ほかのクルマとは違う」というのが新型デルタのキャッチフレーズだ。
 Cセグメントとひとつ上のDセグメントの、プレミアム・モデルを含むすべてのクルマをライバルとして想定しつつ、それらのどれとも違う立ち位置をとることに成功したと、ランチアは力強く宣言している。
 その謳い文句の8割がたは真に受けていいと、試乗して僕は思った。
 すでにイタリア市場では6月21日から販売が始まり、お膝元のトリノでは街のいたるところに登場を告知するビルボードが掲げられている。ザ・パワー・トゥ・ビィ・ディファレントのキャッチが誇らしげだ。リチャード・ギアがハリウッドから乗り出してチベットへとワープするテレビCMもかなりイケているし、リブラなきあとを任されることになった新型デルタは、スマッシュヒットを飛ばしそうな予感がする。じじつ、発売3週間で20万人がディーラーに足を運び、7000人がテスト・ドライブの申し込みをしたというから、出足も絶好調である。

内装は黒とベージュの2トーンにポルトロナ・フラウの革張り
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内装は黒とベージュの2トーンにポルトロナ・フラウの革張り。
 イタリア以外の欧州各国でもバカンス明けの9月から順次販売が立ち上がることになっていて、輸出にもいままで以上に力を入れると鼻息も荒い。ランチア・ブランド全体のプロモーション戦略を見直して以降、イプシロンとムザの輸出実績は急激な右肩上がりのカーブを描いており、デルタが加わった2008年の目標は8割増を目指すと豪語するほどだ。
 2009年半ばには右ハンドル仕様デルタの生産が始まり、90年代はじめに撤退して以来、長い間ランチア不在が続いていた英国や日本(さらにはオーストラリア)への正規輸出が始まるのも大きなニューズである。イプシロンやムザにも次期モデルでは右ハンドル仕様が設けられ、ラインナップに加わるという。
LANCIA DELTA/ランチア デルタ
 日本にやってくる右ハンドルのデルタは、開発が最終段階に入っている1.8リッター直噴ガソリン・ターボの200ps仕様にアイシン製6段オートマティック(トルコン付き)を組み合わせたパワー・ユニットが搭載されるという。期待大だ。


LANCIA DELTA
プラティーノ・トリムでは17インチの軽合金ホイールやガラス・サンルーフも標準装備となる。新型デルタは長いホイールベースを活かした広い後席がウリ。60:40分割で前後スライドと背もたれのリクライニングが可能だ。荷室容量は380〜465リッターと十分以上。
素晴らしい乗り心地と静粛性

 今回、トリノで試乗することができたのはもちろん左ハンドルで、エンジンは150psの1.4リッターターボ過給ガソリン、変速機は6段MT。だから、来るべき日本仕様を占うには少々難しいのだけれど、大筋で新型デルタがどのようなクルマかを把握するのには不足なかった。
 ひとことでいうと、きわめて快適なクルマである。広大な後席居住スペースを備えたクラスレスな高級車を目指すコンセプトに説得力がある。
 試乗した個体はオプションの18インチ・タイヤを履いていたにもかかわらず、硬いエッジが立つことは一切なく、2.7mにも達する長いホイールベースを活かしたフラットで柔らかい乗り心地を実現している。
ピラーを艶消しガンメタリックとした2トーン・カラーも12色用意される。
ピラーを艶消しガンメタリックとした2トーン・カラーも12色用意される。
 装着タイヤはサイズを問わず、乗り心地を重視した高級なそれが全面的に採用されていて、それがハーシュネスを遮断するのに一役買っているに違いないが、標準装着されている電子制御ダンパーの効果も大きいはずだ。モード切り替えなどを一切もたず、完全な黒子として使うやり方も素晴らしい。
 入念な遮音設計が効いて、静粛性もきわめて高い水準に達している。ロード・ノイズや風切り音もよく押さえ込まれている。試乗した日は外気温が30℃を超える暑さだったから、オートエアコンがほとんど最強モードで作動しつづけていたが、その送風用シロッコ・ファンの音がいちばん大きかった。試しにと出してみた最高速度付近でも空調の音が最大の音源だったのだから、この静粛性の高さは本物だ。
 1.4Lユニットを1基のターボで過給して150psを搾り出すことから、ある程度のターボラグはやむなしかと予期したけれども、6段MTを適切に扱う限りにおいては、扱いにくさをほとんど覚えなかったから、個人的には、この150psか、あるいは過給の仕様違いで用意されている120psのガソリンで十分と思った。しかし、ATとの組み合わせは設定されないので、日本へは輸入されそうもないのが残念。
 とにもかくにも新設計1.8ターボの完成が待ち遠しいデルタである。


LANCIA DELTA/ランチア デルタ
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試乗車は、アルジェント、オロ、プラティーノと3種類用意されるトリムのうち、最上級仕様となるプラティーノだった。



(2008年9月号掲載)
 
 
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バックナンバーページの定価表記について
「ENGINE 2014年3月号」以前の定価表記は、発売時の定価になっております。
予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



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