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ゴルフVIにライバルはいるのか!?


ゴルフVIにライバルはいるのか!?
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VOLKSWAGEN GOLF TSI Comfortline/フォルクスワーゲン・ゴルフTSIコンフォートライン 275.0万円
PEUGEOT 308 Premium/プジョー308プレミアム 299.0万円
MERCEDES-BENZ A170 Elegance/メルセデス・ベンツA170エレガンス 305.0万円
LANCIA DELTA 1.6 Multijet/ランチア・デルタ1.6マルチジェット 428.0万円
HONDA INSIGHT LS/ホンダ・インサイトLS 221.0万円



本誌スズキ編集長によるイッキ乗り比較テスト


実用車の鏡にして、世界の実用車のベンチマークに、6代目ゴルフはなりえているのか?
ここでは、ゴルフと同クラスとおぼしき各国のクルマを箱根に集め、
本誌スズキ編集長が疾風怒涛、風林火山的イッキ乗りを行った。
自動車評論的に、あるいは文化的に、最新ゴルフはどう位置付けられる?
by鈴木正文&ENGINEテスト・グループ 写真=郡大二郎





はじめに

 ベーシックスとは、「基本」である。基本はあまり変わってはいけない。基本とは、虚飾を取り除いた本質であり、それなくしては成り立たない土台のようなものだからだ。
 自動車の基本というと、一般的には「走る」「曲がる」「止まる」がちゃんとしていることが求められる。けっして遊びのクルマではない。スポーツカーとかオシャレなクーペとか豪華なグランドツーリズモとかに求められる基本とは基本のあり方が違う。自動車のベーシックスはおのずと生活のベーシックスにかかわるものであり、遊びの道具としてチャラチャラしているとか金持ちぶりをひけらかすとか、ある種の過剰さとか、オシャレであるかとか楽しいかとか、そういうことで判定を下してはいけない。
 もちろん現代人の「ベーシックス」をどこにとるのか、というのはむずかしい問題である。少なくともここに集まった日、独、仏、伊のクルマは、その社会の底辺という意味のベーシックスではない。ミドル・クラスが大半を占める社会のベーシックスだから、ミドル・クラスといっていい。ミドル・クラスは世界的な金融危機の中で、上層と下層に分離し、ほとんどは下層へと転落しつつあるのかもしれないけれど、そうはいっても20〜30年前とは「ベーシックス」のスタンダードも若干変ってきていて、生活のなかにおけるちょっとした遊びの感覚とかオシャレの感覚はいまや不可欠と考えるのが妥当だろう。現代のベーシック・カーを考える上での前提としたい。




プジョー308

プジョー308
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PEUGEOT 308 Premium/プジョー308プレミアム
PEUGEOT 308 Premium/
プジョー308プレミアム

●全長×全幅×全高:4290×1820×1515mm
●ホイールベース:2610mm
●トレッド(F/R):1520/1500mm
●車輛重量:1360(860:500)kg
●エンジン形式:水冷直列4気筒DOHC+ターボ
●総排気量:1598cc
●圧縮比:10.5:1
●最高出力:140ps/5800rpm
●最大トルク:24.5kgm/1400〜3500rpm
●変速機:4段オートマチック
●最高速度:202km/h
●0-100km/h加速:10.2秒
●タイヤ:205/55R16(コンチネンタル・コンチプレミアムコンタクト2)
●燃料消費率(10・15モード):10.8km/リッター


フランス式ゴルフ。オシャレ仕立て。

 フランスの実用車は合理主義的で、無駄なことにお金をつかわない。パリのメトロだって、改札を乗り越えて入っていく(ミドル・クラスはそういうことはしないけれど)。ともかく合理的国民性だから、エンジンの大きさも控えめで、過剰な動力性能を求めない。308もまさにそうで、BMWと共同開発した1.6リッター・ターボ、BMWがミニに使っているエンジンを大きなボディに搭載している。
 実際に乗ってみると、このエンジンは最大トルクの24.5kgmをごく低回転域から発生してまったく不足をおぼえない。どころか、高速道路で追い越しをしようとすると、あっという間に非合法領域に入るぐらい余裕の動力性能をもっている。
 ギアボックスは普通のトルコンATで、4段でしかない。ところが日本的な交通条件ではハンディというよりむしろ好ましいドライバビリティをつくり出している。山道では、ちょっときびしいんじゃないか、と単にスペックから思うかもしれないけれど、実際は分厚いトルクがあるので、ほとんどギアを選ばない。2速、3速で、上り坂でもぐいぐい加速していく。1360kgと装備も豪華だし、車体も大きいのに!
 乗り心地は、不当に硬くもなければ、すごく柔らかくて、というものでもない。中庸を得ている。
 先代307からトールボーイ風となった5ドア・ボディは実用的で使いやすい。フランスの少子化ならぬ増子化傾向に対しての答を出している。フランスの典型的なミドル・クラスの実用車だと思います。


先代307に較べ、フツウのサルーンっぽい。
しっとりしたシートは、オシャレな仕立て。
先代307に較べ、フツウのサルーンっぽい。
07年発表のフランス式ゴルフ。「プレミアム」は日本仕様の308の最廉価グレードながら、運転席まわりにはクロームを効果的にあしらい、高級感が漂う。ミニバン的なパッケージングの先代307に較べると、フツウのサルーンぽくなっている。


しっとりしたシートは、オシャレな仕立て。
乗り心地はフランス車的にしっとりしたタイプではないが、シートのかけ心地はしっとりしている。シートには生地のパターンが3種類も使われている。どれもメタリックな張りと光沢を持っていて、オシャレな仕立て。経年劣化にも強そうに見える。


ルノー16以来の典型的フランスの実用車。
過剰な動力性能を生むBMWとの共同開発ユニット
ルノー16以来の典型的フランスの実用車。
リア・ゲートの開口部は意外と小さい。ボディは、カチンコチンの堅牢感はないものの、ガタつきがあるとか、品質感の悪さを感じさせるヘンな音が出るとか、ということはない。ルノー16以来の5ドア・ハッチバック・ボディは実用的で使いやすい。


過剰な動力性能を生むBMWとの共同開発ユニット。
BMWと共同開発の1.6リッター直噴ターボは140ps/5800rpmと24.5kgm/1400-3500rpmを発生し、大柄なボディを十分な余裕で走らせる。やや過剰ともいえる動力性能にせよ、フランスではともかく、日本では308はワケありに見える。




ホンダ・インサイト

ホンダ・インサイト
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HONDA INSIGHT LS/ホンダ・インサイトLS
HONDA INSIGHT LS/
ホンダ・インサイトLS

●全長×全幅×全高:4390×1695×1425mm
●ホイールベース:2550mm
●トレッド(F/R):1475/1460mm
●車輛重量:1200(720/480)kg
●エンジン形式:水冷直列4気筒SOHC
●総排気量:1339cc
●圧縮比:10.8:1
●最高出力:88ps/5800rpm
●最大トルク:12.3kgm/4500rpm
●モーター形式:薄型DCブラシレス・モーター
●最高出力:14ps/1500rpm
●最大トルク:8.0kgm/1000rpm
●変速機:CVT
●タイヤ:185/55R16(BSTURANZAER370)
●燃料消費率(10・15モード):28.0km/リッター


これぞ、ハイブリッド・スポーツカー!

 ホンダ・インサイトは今回の集団のなかでは1サイズ下といえる。ボディのサイズはひとまわり小さいし、エンジン排気量もハイブリッドとはいえ、1.3リッター直4+電気モーターのシステム出力は98ps。エンジン出力は88ps、モーターが14psで、ようするにプジョー308から乗り換えると「遅い!」と感じる。トランスミッションはCVTで、山道の上りではタコメーターの針が許容回転数の6000rpmに張り付いたままジワジワと車速を上げる。その意味でも独特な感覚のクルマになっている。
 全開で走っているとバッテリーをたちまち使い果たし、1.3リッターのガソリン・エンジンのみで走ることになるけれど、特筆すべきはスポーティさである。プジョー308を標準とすると、308も操縦性は素直で軽快なクルマだけれど、インサイトはスポーツカーと呼びたくなるくらいに機敏で、ちょっとした操舵にも即座に向きを変える。適度にロールしつつ、ちょっと楽しい。
 308プレミアムと較べると、シートのファブリックの厚さがちょっと薄い。昔のフランス車ぐらいの薄さだ。ドアなんかも昔のフランス車なみに薄い。ボディ本体の骨格的なしっかり感は十分にあるけれど、内装デザインでイトーヨーカ堂なんかをそこはかとなく感じさせる。品質感的に、予算内の許せるものであつらえた感じが、いろいろなところでする。そういう意味では、こういうものでいいんだ、と非常に割り切った、ベーシック・カーというよりもう少し個性的なクルマになっている。


ホンダのグリーン・マシン01。プリウスの牙城に迫れるか?
空力とスタイル重視で後席はミニマムに。
ホンダのグリーン・マシン01。プリウスの牙城に迫れるか?
本年2月に発売となったホンダのハイブリッド専用車。「グリーン・マシン01」として低価格を武器にプリウスの牙城に迫る。LSはスポーティ仕様で、CVTが7段のステップ付きに、タイヤが185/55R16になる。さて、ゴルフの牙城に迫れるか?


空力とスタイル重視で後席はミニマムに。
現代のFFファミリー・カーとしては異例に背が低いのは、空力とスタイル重視ゆえ。後席は膝まわりも頭上空間もミニマム。腿をシート座面につけて座ることもできない(足の短いひとは問題ない)。なんとなくファミリー・マンションを思わせる。


前後重量60:40でスポーティなフィール。
1.3リッターSOHCは回りたがらず。
前後重量60:40でスポーティなフィール。
荷室の床下にバッテリーとパワー・コントロール・ユニットを配置。日本人お得意の小型化により、一応使える荷室容量を確保している。リアが重くなった分、前後重量は60:40と、FFなのにフロントが重すぎない。スポーティなフィールの秘密。


1.3リッターSOHCは回りたがらず。
88ps、主動力の1.3リッター直4と、14psの補助動力のモーターからなるホンダ・ハイブリッド。エンジンはホンダのお家芸だったはずだが、1.3リッターSOHCは回りたがらず、高回転域でうるさい。にもかかわらずスポーツカーのようなハンドリングを持つ。




ランチア・デルタ

ランチア・デルタ
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LANCIA DELTA 1.6 Multijet/ランチア・デルタ1.6マルチジェット
LANCIA DELTA 1.6 Multijet/
ランチア・デルタ1.6マルチジェット

●全長×全幅×全高:4520×1797×1499mm
●ホイールベース:2700mm
●トレッド(F/R):1540/1530mm
●車輛重量:1480(950/530)kg
●エンジン形式:水冷直列4気筒ディーゼル+ターボ
●総排気量:1598cc
●圧縮比:16.5:1
●最高出力:120ps/4000rpm
●最大トルク:31.0kgm/1500rpm
●変速機:5段セミAT(ロボタイズド)
●最高速度:194km/h(欧州仕様6段MT)
●0-100km/h加速:10.7秒(同)
●タイヤ:225/45R17(ミシュラン・プライマシーHP)
●輸入元:ガレージ伊太利屋


お金持ち以外は似合わない。

 ガレージ伊太利屋が輸入するランチア・デルタ。今回はヨーロッパで主流のディーゼル・エンジンをテストした。排気量は1.6リッターで、ターボがつく。最高出力は120psながら、31kgmという大きなトルクをわずか1500rpmで発生する。ギアボックスはロボタイズド・マニュアルの5段。車重は1410kgもある。
 これはじつはゴルフとは格が違うクルマである。ミドル・クラスというより、アッパー・クラスといえる。ボディはふくよかだし、伝統の盾形グリルはランチアであることがどれほどの威力を持つものであるか、知らない人にもわからせようとするがごとき威厳を持つ。おまけにテスト車は素敵なアルカンターラ内装で、ボディも黒のメタリックに多用されるメッキが映えて風格がある。外観も、室内に座っても、運転しても風格を感じさせずにはおかない。
 山道ではディーゼルということもあって機敏ではない。大げさにロールするし、タイヤもすぐに鳴き出す。ステアリング、スロットル、なにもかも入力に対する反応が鷹揚で、ゆっくりしている。あわてず騒がず。それでも飛ばせば、それなりに走ってはくれる。これはやっぱりローマとかの石造りの家に住んでいる何代も続いたお金持ちのおウチのひとの、ふだんのファミリー・カーなのだろう。直接VWゴルフと渡りあおうとか、プジョー308なにするものぞとか、そういうことは眼中にない。いわば土俗的で、そこによさがある。いかにもイタリアくさいオシャレ感とか高級感が漂うクルマなのです。


イタリアの高級ブランドの中型サルーン
お金持ち以外は似合わない高級モダン家具の雰囲気
イタリアの高級ブランドの中型サルーン。
08年発表のイタリアの高級ブランド、ランチアの中型サルーン。ウナギ犬のように細長い、5ドア・ハッチバック・ボディを特徴とする。プレミアム・バージョンだけに運転席まわりもメタリックなパネルで飾られたりして、ひと手間かかっている。


お金持ち以外は似合わない高級モダン家具の雰囲気。
テスト車はアルカンターラ仕様。あしらいとしてレザーのストライプが4本入る。高級なイタリアのモダン家具の雰囲気に包まれ、気持ちのいい空間になっている。そもそも贅沢な生活をしているひと向け。お金持ち以外は、俺には似合わないと思う。


オシャレではないなんて、イタリア車ではありえない!?
インテグラーレ時代とはぜんぜん違う。
オシャレではないなんて、イタリア車ではありえない!?
荷室はさほど広くない上に、ホイール・ハウスのでっぱりが実際の使い勝手をスポイルしている。基本的にオシャレなクルマだから、それも問題にならないのだろう。オシャレでないということはイタリア車ではありえない、という言い方もできる。


インテグラーレ時代とはぜんぜん違う。
コモンレール式の1.6リッター直4ターボ・ディーゼルは120ps/4000rpmと31.0kgm/1500rpmを発生。2ペダルの5段セミAT(ロボタイズド・ギア)との組み合わせで、ゆったり鷹揚に走る。同じデルタでも、インテグラーレ時代とはぜんぜん違う。




メルセデス・ベンツA170

メルセデス・ベンツA170
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MERCEDES-BENZ A170 Elegance/メルセデス・ベンツA170エレガンス
MERCEDES-BENZ A170 Elegance/
メルセデス・ベンツA170エレガンス

●全長×全幅×全高:3885×1765×1595mm
●ホイールベース:2570mm
●トレッド(F/R):1555/1550mm
●車輛重量:1330(780/550)kg
●エンジン形式:水冷直列4気筒SOHC
●総排気量:1698cc
●圧縮比:11.0:1
●最高出力:116ps/5500rpm
●最大トルク:15.8kgm/3500〜4000rpm
●変速機:CVT(無段変速トランスミッション)
●最高速度:183km/h
●0-100km/h加速:11.5秒
●タイヤ:195/55R16(コンチネンタル・プレミアムコンタクト)
●燃料消費率(10・15モード):13.0km/リツター


CやEの世界に近づいた。

 全高を高くとった特異な前輪駆動のパッケージングにより、4mを楽に切って、ゴルフより短い全長を実現している。車重は1310kg。1.7リッター直4SOHCは、最高出力116ps/5500rpm、最大トルクは15.8kgm/3500〜4000rpmにすぎない。にもかかわらず、山道でハンディを感じさせない。むしろ速い。不思議なくらいパワフルで、ハンドリングもいいといえばいい。このサイズなのに、乗車フィーリングはメルセデス・ベンツのその他のクルマと似ている。基本的に安楽で、気を使わないですむ。ステアリングの重さとか、トルクの出方の設定がいいのだろう。鼻歌をうたいながらスピードを上げようと思えば上がるし、のんびり行こうと思えば、のんびり行ける。わずらわしいところがぜんぜんない。乗り心地には悠揚迫らぬ、ある種のしっとり感がある。
 内装はドイツの質実さの面影をとどめていて、「あ、素敵」というオシャレ感はないけれど、生活のなかのいい道具として、ひとをわずらわせない。ちゃんと動いているだろうかとか、ここのデキが悪いだとか、そういう心配とか不安とか不満を抱かせない。山道をスポーツカーのように走るわけではないけれど、スポーツカーを追い詰めることは造作もない実力を持つ。しかも、このドライバーにとってはまったく平常心、脈拍も上がらず、アドレナリンも出さずにそういうことをやってのける。
 もはやAクラスは、安っぽい、後輪駆動になれないメルセデス・ベンツではない。


インテリアの文法は他のメルセデスと同じ。
着座姿勢はごくフツウ。キチンと座れる
インテリアの文法は他のメルセデスと同じ。
04年登場の2代目Aクラス。初代の「サンドイッチ・コンセプト」を引き継ぎ、着座位置はSUV並みに高いから、開放感があって運転しやすい。インテリアの文法は他のメルセデスと同じ。乗車フィーリングもCクラスやEクラスの世界に近づいた。


着座姿勢はごくフツウ。キチンと座れる。
全長が短いため、シート座面は小さめながら、着座姿勢等はごくフツウ。後席は十分なニー・ルームとヘッド・ルームがあり、背もたれには適切な角度がある。だからキチンと座ることができて、圧迫感はない。車両本体価格305万円の値打ちあり。


よくできた道具たらんとするメルセデス的こだわり
小さなクルマにも大型車並みの安全性を
よくできた道具たらんとするメルセデス的こだわり。
Aクラスはメルセデスを代表する車種ではない。にもかかわらず、随所によくできた道具たらんとするメルセデス的こだわりがうかがえる。荷室の広さは全長4mを切る小型車としては驚異的。床面をバンパー・レベルとツライチにすることもできる。


小さなクルマにも大型車並みの安全性を。
前方に58°傾斜させた直4ユニットは正面衝突時、パワートレインごと床下に滑るように移動して、室内への侵入を防ぐ。小さなクルマにも大型車並みの安全性を! Aクラスは高邁な理想をかかげる小型車なれど乗り心地でゴルフに一歩譲った。




VWゴルフ

VWゴルフ
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VOLKSWAGEN GOLF TSI Comfortline/フォルクスワーゲン・ゴルフTSIコンフォートライン
VOLKSWAGEN GOLF TSI Comfortline/
フォルクスワーゲン・ゴルフTSIコンフォートライン

●全長×全幅×全高:4210×1790×1485mm
●ホイールベース:2575mm
●トレッド(F/R):1535/1510mm
●車輛重量:1290(820/470)kg
●エンジン形式:水冷直列4気筒DOHC+ターボ
●総排気量:1389cc
●圧縮比:10.0:1
●最高出力:122ps/5000rpm
●最大トルク:20.4kgm/1500〜4000rpm
●変速機:7段DSG(乾式デュアル・クラッチ)
●最高速度:200km/h
●0-100km/h加速:9.5秒
●タイヤ:205/55R16(ミシュラン・ネナジー・セイヴァー)
●燃料消費率(10・15モード):16.8km/リッター


一番気持ちがいいのは高速道路。
意外やワインディング・ロードも心地よい。


 今回ツインチャージャー、160psの「ハイライン」も一緒に連れ出した。あちらは動力性能が余っている。一昔前のGTIぐらいのレベルでぜんぜん速い。そういう意味ではベーシックなクルマとはいえない。シングルチャージャー、122psの「コンフォートライン」はシャシーとパワーが釣り合っていて、必要十分。ゴルフのスタンダードは明瞭にこちらだ、と思わせる。
 パワートレインは基本的に先代ゴルフVと同じながら、シャシーのストローク量が増え、ボディの動きが穏やかになった。ゴルフV型にむしろ青年ぽい軽さを感じたため、VI型は重量が増えたのかと思ったら、数十kg軽くなっている。それでいて、ある種の深みが出ている。車重は軽くなっているのに遮音性能は上がっている。つまり遮音のカンどころをつかんだ、ということだ。
 ゴルフVIはテクノロジー・レベルがインサイトを別にすると一番高い。それが端的に出ているのが7段DSGのトランスミッションで、たとえば山道でSモードを選ぶと、マニュアルでのシフトダウンもアップも必要ない。明らかに一歩先をいっている。実際、それは燃料消費率でも証明されている。

 結局、ゴルフVIは今回の5台のなかでオール・ラウンドにベストな性能を持っている。そう結論づけて間違いない。唯一の弱点は、意外や山道では「傑出していい」と評価した7段DSGのトランスミッションであった。7段DSGはクリーピングはするから、アクセル・ペダルを離せば滑らかに発進する。しかし、駐車とか車庫入れ時に、ステアリングを切ってアクセル・ペダルを踏むと、遅れてピョンと出たりする。DSGは効率には優れるけれど、日常的な使い勝手ではフツウのトルコンATのほうが好ましいのかもしれない。
VOLKSWAGEN GOLF TSI Comfortline/フォルクスワーゲン・ゴルフTSIコンフォートライン
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 冒頭述べたように、ゴルフはいまやヨーロッパ的ミドル・クラスのベーシック・カーとして存在している。そして、VWにとって根本的な価値を体現するモデルは、このゴルフしかない。自動車メーカーとしての世評の決定的なカギを、それが握っている。それゆえ先代ゴルフVの大きなマイナーチェンジともいわれている6代目だけれど、実質的な価値は大きく増している、といえる。
 美点を発揮するのは高速道路の長時間巡航で、シートもどんぴしゃだし、これはもしかしたらSクラスか、というぐらいの感じがある。意外なことにワインディング・ロードもいい。スポーツカーのような刺激的な楽しさではなくて、しかるべきものがしかるべく役割を果たしている、そういうことを実感する楽しさ、心地よさがつねにある。
 最後に、ベーシック・カーについてもうひと言。それは、使い心地のいい、キチッとしたものに乗りたい、だからといってうんと高そうに見えたり、ちょっとオシャレに見えてしまったりとか、そういうことはイヤだ、というひとのためのクルマだと思う。ゴルフは、いってみればゼロ記号。それゆえにゴルフは好ましい。ベーシックたり得ている。自動車批評的にいっても、4m内外の実用車のベストはゴルフTSIコンフォートラインである。間違いない。


隅から隅まで、目の行き届いた精密な運転席まわり
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長距離で真価を発揮する人間工学的に正しいシート
隅から隅まで、目の行き届いた精密な運転席まわり。
先代に較べ、メーター類が立体的になり、クロームが随所で輝くゴルフVIの運転席まわり。3本スポークの革巻きステアリングはパサートCCと共通する。VWを代表するクルマであるがゆえに、つくり手の目の入り方が違う。操作性も含め、あらゆるところまで精密かつ緻密に計算され尽くされていて無駄なところがない。しかるべきものが、しかるべきところにある。


長距離で真価を発揮する人間工学的に正しいシート。
人間工学的に正しいシートは、高速長距離ドライブでこそ真価を発揮する。とりわけ前席はホールド性と快適性の両方を満足させる。内装はオシャレともいえないけれど、クルマとしてきちんとできている。それこそがゴルフの最大の長所。


出し入れしやすそうなラゲッジ・ルームを見よ!
1.4リッター・シングルチャージャーはターボ・ラグを意識させない
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出し入れしやすそうなラゲッジ・ルームを見よ!
ラゲッジ・ルームは日常生活上、後席を畳まずとも、十分な容量を持つ。ライバルの荷室の写真と較べると、開口部が大きいことがわかる。荷室そのものも、でっぱりがないため使いやすい。6代、35年を無駄にしていない。


1.4リッター・シングルチャージャーはターボ・ラグを意識させない。
ダウン・サイジングの先駆けとなったTSIコンフォートラインの1.4リッター・シングルチャージャー。20.4kgmという2リッター並みのトルクを1500〜4000rpmの広範囲で供給する。最高出力は122ps/5000rpm。ターボ・ユニットで問題となるラグはターボチャージャーの小径化によりほとんど意識させない。0-100km/h9.5秒、最高速200km/h。7段DSGは効率面での貢献大。


ゴルフVIにライバルはいるのか!?
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バックナンバーページの定価表記について
「ENGINE 2014年3月号」以前の定価表記は、発売時の定価になっております。
予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



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