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インプレッサWRX STI Aライン4ドア&6MT 4ドアと、
レガシィ2.5GT tSをめぐるエンジニアとの対話。


IMPREZA WRX STI 4door A-Line IMPREZA WRX STI 4door LEGACY B4 2.5GT
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(写真上)インプレッサWRX STI 4ドア Aライン/IMPREZA WRX STI 4door A-Line
(写真下右)インプレッサWRX STI 4ドア/IMPREZA WRX STI 4door
(写真下左)レガシィB4 2.5GT tS/LEGACY B4 2.5GT tS


なぜスバルはスポーツ・セダンにこだわるのか?


セダン自体が衰亡しつつある国産車のなかで、スバルほど走りにこだわった
セダンをつくり続けているメーカーはない。なぜそれほど“走るセダン”にこだわるのか。
復活したセダンのインプレッサWRXと、STIがチューンしたレガシィB4を試乗し、
それぞれのクルマを仕立てたふたりのエンジニアに話を聞いた。
文=塩澤則浩(本誌) 写真=望月浩彦



試乗篇 新宿そして三鷹

「なんて滑らかなんだ。素晴らしい乗り心地じゃないか」
 復活をはたしたばかりの4ドア・セダンのインプレッサWRX STIのステアリングを握り、新宿のスバル・ビル地下駐車場の、滑り止め用の溝が刻まれたスロープを駆け上がりながら、そう思った。撮影現場の銀座へと向かう間、これでもかというほどグロスの効いた濃紺のボディに映り込んだ夕暮れの街灯りが、リアのブリスター・フェンダーで激しく揺らめく様子がサイド・ミラーで見てとれる。リアに“あの”巨大なスポイラーがないのは、これがツーペダルのAラインだからだ。
 09年に5ドアSTIの派生車種としてAラインが登場したときのトピックは、ハードな6MTとまったく同じ足回りがトルコン式の5ATで楽しめることだった。「固い」けれど「嫌な固さ」じゃなかった。それがどうだ。復活したセダン・ボディでは6MTとAラインの味付けを変えるとは聞いていたけれど、嫌な固さどころか心底「いい」と思える。ダンピングはしっかりと利いている。しかし、絶妙といえるほどしなやかだ。それでいてハンドリングはシャープで応答遅れがない。気持ちいいほどボディがスッと動いてくれる。
 気持ちがいいのはエンジンも同じだ。2リッター・ツイン・スクロール・ターボで308psを発生する6MTに対して、Aラインは2.5リッター・シングル・スクロール・ターボで300ps。数値上はわずかに劣るものの、十分以上に速い。ATとのマッチングや足回りの躾を考えると、最適なバランスだろう。
インプレッサWRX STI 4ドア Aライン
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インプレッサWRX STI 4ドア Aライン/IMPREZA WRX STI 4door A-Line
 一方、6MTの魅力は、爆発的なパワーと43.0kgmという2リッター・クラスでは破格の最大トルクだ。特にツイン・スクロール・ターボはレスポンスが鋭く、踏み始めからモリモリと力が湧きだしてくる。このエンジンを味わうだけでも乗る価値があると思う。
 それにしても、なぜスバルは高性能セダンにこだわるのだろう。そう思うのは、4ドア・インプレッサと同じタイミングでSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)がレガシィのコンプリートカー、B4 2.5GT tSをデビューさせたからでもある。STIといえば、最近では、R205が注目された。サーキット走行もこなす強靭な足回りでありながら、決して縦揺れ系ではないしなやかな乗り味を兼ね備えたR205だったが、それにもちいた特殊なパーツ類を盛り込んだのが、B4 2.5GT tSである。
 STI本社のある三鷹と山梨県の富士吉田を往復する試乗会に参加したが、誤解を恐れずにいえば、これが本当にSTIチューンなのか、と疑いたくなるほど乗り心地が良かった。動力系には一切手は加えられておらず、2.5リッター・ターボの最高出力はノーマルの2.5GTと同じ285psのままだ。ボディの補剛や足回りの強化、パーツ交換など、チューニングのほとんどがシャシーに充てられている。低速でゴツゴツするようなことはまったくなく、まるで道が良くなったように感じるほど滑らかに走る。これはもう高級車の乗り心地だ。しかもただ乗り心地がいいだけではない。高速道路で目地段差を越えたときや、大きなうねりを越えたときなどは低反発マットレスのようにショックを吸収する。短い衝撃でも不快感はなく、波長の長い大きな入力で不安を感じることもない。強靭さが際立つR205とは違って、懐の深い落ちついた乗り味のGTカーだった。
インプレッサWRX STI 4ドア Aライン
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 STIのコンプリートカーが過激なほどパワフルでガチガチに足が固いというのはもう過去の話のようだ。その変化はすこし前から現れていたけれど、ここまでドラスティックに変化したとは予想していなかった。本体のスバルから出るクルマもそうだ。いまスバルに何が起こっているのか。そしてなぜスポーツ・セダンにこだわり続けるのか。その答えを知りたいと思い、インプレッサWRX STIとレガシィtSを手掛けたふたりの中心人物に会うことにした。


インプレッサWRX STI 4ドア Aライン
インプレッサWRX STI 4ドア Aライン

“走りを変える”その象徴がインプレッサWRX STI Aライン4ドアだ!
全長×全幅×全高は4580×1795×1470mmで、5ドア・ボディより165mm長い。ステアリングの応答性を高めるためにフロント・ロワーアームにピロボール・ブッシュを採用。試乗車はAライン専用オプションのタンレザーシート仕様。スパルタンになりがちな室内が華やいで見える。車両本体価格は315万円。





インプレッサWRX STI 4ドア
インプレッサWRX STI 4ドア
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インプレッサWRX STI 4ドア6MTを
ドライブすると血が騒ぐ。

Aラインとの違いは巨大なリア・スポイラーの存在だ。セダン・ボディのおかげで空力特性は5ドアより5%向上する。Aラインではオプションとなるブレンボ製ブレーキが標準装備される。エンジンは虎の子の2リッターDOHCツイン・スクロール・ターボで、308ps/6400rpmの最高出力と43.0kgm/4400rpmの最大トルクを発揮する。足回りはAラインより若干ハードな設定になっている。車両本体価格は373.8万円。





レガシィ2.5GTtS

レガシィ2.5GTtS
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レガシィ2.5GTtS
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レガシィ2.5GT tSはオトナのグランド・ツーリング・カーだ。
前後ダンパーはSTIがチューニングしたビルシュタイン製。フロント側は倒立式となる。補剛だけでなく力を「いなす」考え方を取り入れたフレキシブルタワーバー、ステアリングの操舵レスポンスを高めるフレキシブルドロースティフナー、リア・サスペンションのフリクションを低減し、路面への追従性を高めるピロボール・ブッシュとフレキシブルサポートなど、R205にも装備されたSTI特製パーツをミリ単位まで調整してアジャストしている。車両本体価格は402.99万円。受注期間は11月7日までで、600台限定。




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予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



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