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第1試合 スーパースポーツ対決 快楽とはなにか―、ふかい思考を迫る2台。


メルセデス・ベンツSLS AMG & フェラーリ458イタリア
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メルセデス・ベンツSLS AMG(2430万円)
●2009年秋にAMGからデビュー。
●6.2リッターV8は571馬力、650Nm。
●0-100km/h加速3.8秒、最高速317km/h
●50年代の300SLにならったガルウィング・ドア。

フェラーリ458イタリア(2830万円)
●デビューはSLSとおなじ2009年秋。
●4.5リッターV8は570馬力、540Nm。
●0-100km/h加速3.4秒、最高速325km/h。
●ピニンファリーナによるなまめかしいスタイリング。


超人対超車。


ついに上陸したガルウィングのスーパー・メルセデス、SLS AMGとは、
どんなクルマなのか? まずは、その1台とだけ向き合って、
次にイタリアン・スーパーカーの現在形たるフェラーリ458を鏡として、
新種のジャーマン・スーパースポーツの本質をさぐる。
文=鈴木正文(本誌) 写真=柏田芳敬



SLS 1 東名上で欲しくなる

 早朝に都心を出発し、例によって箱根を目指した。乗りはじめて数十分、東名高速の横浜町田IC近くまで来たところで、俄然、このクルマが欲しい、という気持ちになった。オプション・レスで2430万円というプライスのことは、すでに忘れているというより頭にない。買ったつもりになって、これで2、3泊の自動車旅行に行くとしたら……、と夢想しはじめた。反射的に、これ、トランク部分がやけに小さく見えたけど、大型トランクは収まるのか、と気になった。だから、東名御殿場インターの料金所を出るとクルマを停めて、トランク容量を確かめた。
 ちょっと落胆した。あきらかに大型トランクは入らないし、ゴルフ・バッグもムリっぽい。調べたら、容量が176リッターしかない。フェラーリ458イタリアの230リッターの75%だ。ちなみに、フィアット500は180リッターだけれど、4人乗りで後ろの席が使える。SLSは2人乗り。これでグランド・ツアーをしたければ、お付きのバンを従えていかなければならない。ま、もともと、そういうことが出来る人のためのクルマなのかもしれない。
 トランクのことは忘れることにした。フロント・ミドに571ps/6800rpmの6.2リッターV8を、重心高を下げるためにドライサンプ潤滑にして搭載し、デュアル・クラッチの7段変速機をファイナル・ギアの直後、後軸にオーバーハング・マウントするという一風変わったトランスアクスル・レイアウトを採用までして、SLSはフロント47%、リア53%という前軸より重い後軸荷重を実現した。純スポーツカーとしての、ひとつの理想的な設計が実施されたのだ。その真価は、コーナーが連続するワインディング・ロードでこそ発揮されるだろう。

箱根の中速コーナーをきれいなニュートラル・ステアで走る
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箱根の中速コーナーをきれいなニュートラル・ステアで走る「アルビームシルバー」のSLS。
 しかし、箱根に着くはるか手前の東名高速上で、すでにこれを欲しいとおもったのだった。というのも、長年の経験から、横浜町田までのドライブで、これが箱根で高い実力を見せつけるであろうことは、確実にわかったからだ。そして、文字通り血の気が引くような全開加速を数度やってみて、心が泡立つような緊張を終始まったく覚えなかったことにも感動していた。コマ落としのフィルムを見ているように、路上のすべてのクルマを瞬時に視界から追い払う動力性能を、これほどイージーに管理できるというそのことじたいが、僕に全能者になったかのような超然とした気分をもたらした。これほどの全能感を1台のクルマから得たことはなかった。SLSのなかで、僕は超人(スーパーマン)になっていた。欲しくなって当たり前だった。




 
 
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バックナンバーページの定価表記について
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予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



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