VOLKSWAGEN THE BEETLE
上海モーターショウ、プレスデイ初日の前夜、浦東新区を望む黄浦江畔のBUND(ザ・バンド)の特設会場に登場したザ・ビートルに報道陣は一斉に群がった。
(左)BERLIN(右)NEWYORK
世界3大陸同時発表の模様はMTVを通じて世界中継された。ニューヨークでは大人気のヒップホップ・グループ、ブラック・アイド・ピーズがライブ・パフォーマンスを披露した。
“ニュー”が取れて再・発進! ザ・ビートル!! 9月発売へ
フォルクスワーゲンのアイコン、ビートルが生まれ変わった。新たな伝説がスタートした地は同社の成長が著しい中国の上海。空冷のオリジナル・ビートルに近づいた外観に最新技術を投入した新型の名前はザ・ビートル! 今年9月にまず北米から発売だ。
文=荒井寿彦 写真=望月浩彦
上海モーターショウの開幕前夜、フォルクスワーゲンは市内を流れる黄浦江畔の特設会場で新型ビートルの発表パーティを開いた。ドイツのベルリン、アメリカのニューヨークとの3大陸同時発表だが、VW社の役員がズラリと揃う上海こそメイン会場である。会場内は熱気がムンムン。中国はもとより世界中から集まった報道陣約500名が、ステージを見降ろすように設置された観客スタンドにびっしりである。まるでオールスタンディングのロック・コンサートがこれから始まるみたいだ。「ビートルはVWのシンボルであり、歴史そのものなのです!」というヴィンターコーン会長の紹介で、白煙のなかから紅白の新型ビートルが登場すると会場のボルテージは頂点に達した。おびただしいフラッシュ、なりやまない拍手、そして大歓声! 新たな伝説のスタートに立ち会った気がして高揚した。
“ザ”がついた
新型の名前はザ・ビートル。“ニュー”を取り、“ザ”をつけての再出発である。外観を空冷のオリジナル・ビートルに近づけるため、プロポーションが変更された。4278×1808×1486mmは旧型より152mm長く、84mm広く、12mm低い。ホイールベースは2537mmで26mm伸びた。Aピラーは後退してボンネットが長くなり、ルーフラインは低く、Cピラーも大きく前傾している。サイド・ウィンドウの面積は旧型と比べて半分ぐらいしかない。ワイド&ロウ! そしてリア・フェンダーの大きな膨らみ。そうか! オリジナルに近づくとは、ポルシェ911に近づくことと見つけたり(FFだけど)! ザ・ビートルは男らしくなってより多くの男性ユーザーを取り込む狙いだ。
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内装はガラっと変わった。まず、奥行が非常に深かった旧型のダッシュボードは廃止され、ウィンドシールドがドライバーにグッと近づいた。見切りの悪さが改善されたのは嬉しい。外観同様、内装デザインもオリジナル・ビートルがモチーフになっている。質感も高い。インパネがボディ同色の仕様も用意されていて、これを奢った赤の展示車は鉄板むき出しだったオリジナル・ビートルの雰囲気を上手に現わしていた。
後席にも座ってみる。旧型より天井が低くなったとはいえ、オリジナル・ビートルは人々がシルクハットをかぶっていた時代に生まれたクルマだ。新型も頭上に余裕がある。足元も窮屈な感じはしない。
エンジンはおなじみの4気筒ターボ、TSIが1.2(105ps)、1.4(160ps)、2.0(200ps)リッターの3種類。4気筒ディーゼル・ターボのTDIが1.6(10 5ps)と2.0(140ps)リッターの2種類。どのモデルも6MTのほかDSGの組み合わせも用意されている。また、1.4と2.0TSIにはゴルフGTIに採用されたXDS(電子制御ディファレンシャル・ロック)を標準装備、コーナリング性能の向上が図られている。ザ・ビートル、走行性能もシャキっとしている予感がする。