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日産GT-R、2012年モデルにサーキットで乗る。


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NISSAN GT-R

あまりの進化に脱帽です!


デビューから4年、毎年進化を続けてきた日産GT-Rがまたしても大進化した。
このほど登場した2012年モデルで、初めてエンジン本体に手を入れるとともに、
脚のセッティングも見直したのだ。その走りをスポーツランドSUGOで試す。
文=村上 政(本誌) 写真=柏田芳敬


 いつの間にか、こんなに進化を遂げていたとは知らなかった。仙台のスポーツランドSUGOを舞台に開かれた2012年モデルの試乗会で、久々に日産GT-Rに乗って、あまりにも素晴らしいスポーツカーになっていることに、ほとんど感動といっていいくらいの衝撃を受けた。
 この日最初に乗ったのは2009年モデルのGT-Rで、そこから順番に11年モデル、そして12年モデルと、進化をたどっていけるような粋な計らいになっていた。この3台では本コースでなく外周路を走った。路面状況はほぼ一般道と同じである。
 09年モデルは走り出した瞬間から、すぐにわかるくらいに脚のセッティングが硬めで、ちょっとした路面の荒れに敏感に反応してボディを揺さぶる。初めて乗った時、これは市販車の皮を被ったレーシング・カーみたいだと感じたことを思い出した。
 次に11年モデルのエゴイストに乗り換えると、まるで別のクルマのように乗り心地がよくなっているのに驚いた。さっきまで突っ張っていた脚が嘘のようによく動いているのだ。軽量ホイールを履いているせいもあるのだろうが、バネ下が軽く、ボディの動きも軽快に感じられる。つまり、ほとんどマイナーチェンジといっていい変更を施したという11年モデルの時点で、脚まわりは劇的に良くなっていたのである。
 それがさらに12年モデルのエゴイストとなると、さらに脚の動きに磨きがかかり、これなら間違いなくデート・カーにもできるくらいに、快適な乗り心地になっていた。それでいて、さらにバネ下も軽くなったように軽快で、運転していて気持いいことこのうえない。しかも、エンジンがすぐにそれとわかるくらいにパワー・アップしているし、なによりも吹け上がり感が、より男っぽく荒々しいものになっていたのだ。


エンジンと脚まわりを大幅変更

 2012年モデルのGT-Rの進化の目玉は第1に、このエンジンの中味にまで手を入れたことにある。吸排気ともに徹底的な通気抵抗の軽減を図る一方で、排気側のバルブには冷却性能を高めるために金属ナトリウムを封入した新設計のバルブを採用。さらにバルブタイミングと空燃比、点火時期の制御を改良して、燃費を8.6km/リッターから8.7km/リッターに向上させながら、大幅なパワー・アップを実現することに成功している。最高出力は20psアップの550ps、最大トルクは2kgmアップの64.5kgmというのが発表値だ。
 次に、パワー・アップにともないボディにも手が加えられており、エンジン・ルーム後部、ダッシュ・パネル周辺が強化されているという。
 そして、もうひとつの目玉は、左右非対称のサスペンション・セッティングの導入である。GT-Rプロジェクトの責任者である水野和敏氏の解説によれば、ボディの右側に4WDのトランスファーを持つGT-Rは右ハンドル仕様の場合、ドライバーが乗った状態では、左前輪より右前輪の荷重の方が約50kgも重くなっているという。左ハンドルではこれがほとんど同じになるというのだが、そのため、右ハンドル仕様に関して、左側フロントのスプリングのバネ・レートを硬くするなど、左右のバランスを合わせるためのセッティングを施したというのだ。ほとんどレーシング・カーづくりの発想としか思えないが、一般公道を走る人だけが対象ではなく、サーキット・ユーザーも視野に入れて開発している以上は、ここまでやるのが水野流ということなのだろう。


2段ロケットのような加速

 本コースではまず、11年と12年のピュア・エディションを比較試乗した。途中でゼロ発進とパイロン・スラロームが体験できるようになっている。走り出してすぐにわかるのは、やはりエンジンの違いだった。むろん、これまでのGT-Rも驚異的な加速力を持っていたのだが、12年モデルは、中速域から2段ロケットのような加速をする感じで、凄味が増している。サウンドもこれまでより荒々しいものになっており、エンジンの持つ味わいや深みが全体に色濃くなってきたように思った。

 パイロン・スラロームをやってみると、ハンドリングも大幅に進化していることがよく分かった。11年モデルだと70km/hでなければクリアできないスラロームが、12年モデルならもう10km/h高い速度でも軽々と走れてしまうような、そんな軽快感と正確さがある。
 最後に新たに加わった「フォー・トラック・パック」装着車で、本コースを3周させてもらった。あまりにも速く、私ごときの腕ではとても全開で攻めるような走りはできなかったが、とにかく走っていてメチャクチャ気持ち良かった。脱帽です!

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写真はすべてピュア・エディションの「フォー・トラック・パック」装着車。GT-Rの開発ドライバー、鈴木利男氏の主宰する(株)ノルドリンクとの共同開発による専用スポーツ・サスペンションをはじめ、カーボン製エア・ダクト付フロント・スポイラー、スペックV用に開発されたブレーキ冷却用エア・ガイドなどが装着されている。オプション価格は147万円。
フォー・トラック・パックでは、軽量化のため後席のシートは取り外され、スペックVと同じキルティング・クロス・マットが使われる。前席には、ドライバーの身体をシート布地のグリップ力でサポートするという新しい発想から生まれたハイグリップ・ファブリックと本革のコンビ・シートを採用。センターコンソールには青いバッヂが装着される。アルミホイールは、レイズ製の鍛造となる。2012年モデルの進化の目玉はエンジン本体に手が加えられたことだ。
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 日産GT−Rピュア・エディション
駆動方式エンジン・フロント縦置き4WD
全長×全幅×全高4670×1895×1370mm
ホイールベース2780mm
車両重量1730kg
エンジン形式V型6気筒DOHC24バルブ
排気量3799cc
ボア×ストローク95.5×88.4mm
最高出力550ps/6400rpm
最大トルク64.5kgm/3200-5800rpm
トランスミッションデュアルクラッチ式6段自動MT
サスペンション形式(前)ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション形式(後)マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後)通気冷却式ディスク
タイヤ(前)255/40ZRF20 (後)285/35ZRF20
車両本体価格869万4000円
  



(2012年1月号掲載)
 
 
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