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ザ・比較テスト・スペシャル 2011年版、悩ましい選択 その2


進化した乗り心地と操縦性

齋藤 3台とも4輪駆動のクワトロで、直噴の3リッターV6スーパーチャージャー付きエンジンを載せている。変速機は違っていて、A6とA7にはツインクラッチ式自動MTの7段Sトロニック、A8にはトルコン付きの8段ATが組み合わされている。とはいえ、おおまかな機械構成は同じ。だから余計に悩ましい。
村上 ボディとシャシーも違っているでしょ。A8はアウディお得意のアルミ・スペース・フレームを使った超軽量ボディに電子制御のエア・スプリング・サスペンションの組み合わせ。一方、A6とA7はアルミとスティールを適材適所で使ったハイブリッド・モノコック・ボディに金属コイル・スプリング式サスペンションを組み合わせている。その結果、いちばん小さいA6が最軽量なのはともかく、車検証で確認してみたら、A7よりもA8の方が20kg軽い。これにはちょっと驚いた。
A7 3.0TFSI クワトロ
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A7 3.0TFSI クワトロ 機械的な中身は新型A6と共通だが、別物の専用ボディを与えられたA7。コーダ・トロンカ風のテール・エンドには格納式スポイラーが備わる。全長×全幅×全高=4990×1910×1430mm。ホイールベース=2915mm。試乗車はオプションの20インチ・タイヤを装着していた(標準は19インチ)。
齋藤 紙の上で考えるとA8の魅力は大きいよ。高くつくスペース・フレームやエア・サス、それに8段ATが付いて945万円は安い。それに較べると、A6はちょっと高め?
村上 確かに835万円は決して安くはないけれど、革シートからボーズのオーディオまでほとんどすべての装備品が標準で付いてくることを考えれば、仕方ないでしょう。ライバルのBMW535iもまったく同じ値段だしね。A7の879万円は正直言って微妙だと思う。
齋藤 スタイリング料とテールゲート代で44万円。ん〜。
村上 主にそのテールゲートのせいで、車重がA6より50kgも重くなっている。A6とA7の走りを較べてみると、重量差が乗り味にけっこう影響していると思った。どちらもスポーティな味付けになっているけれど、A6の軽快感が際立っている。一方、A8はA7より20kg軽いにもかかわらず、A7より重厚な味付けで、山道では巨大なボディをやや持て余し気味で、やっぱりこれは超高級サルーンなんだと思わされる。
齋藤 アウディはこれまでクラスを問わずビシッと硬めに締まった乗り心地で通してきた。でも、今度のA8はメルセデスのSクラスほどではないけれど、脚のブッシュを柔らかめにしてショックを抑え、エア・スプリングの柔らかさと上手く組み合わせて、ゆったりとソフトな乗り心地を見せるようになった。時間がゆっくりと進むような感じの走り。
村上 A6やA7も、これまでのアウディの味付けからすると、かなりソフトな脚回りになっている。とにかく乗り心地が良くて、高速道路の目地段差を通過しても、これまでみたいな突き上げられたり、ピッチングが出たりすることがない。フロントのオーバーハングに搭載されるエンジンの位置を可能な限り後ろへ下げて、前後重量配分を理想に近づけたことが効いている。
齋藤 駆動力配分がリアに多くかかるようになっているから、重量配分の是正は、乗り心地だけでなくて、操縦性にも好ましい影響をもたらしている。駆動力を目一杯かけるような状況でもリアがほんとうにしっかり粘るようになった。

A7 3.0TFSI クワトロ
A8 3.0TFSI クワトロ
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A8 3.0TFSI クワトロ 先代モデルより少しアクの強いスタイリングを見せるA8。アダプティブ・エア・サスペンションを標準装備する。後席はさすがに広い。全長×全幅×全高=5145×1950×1465mm。ホイールベース=2990mm。試乗車にはオプションの20インチ・タイヤを装着していた(標準は19インチ)。
スポーティかラグジュアリーか

村上 結局のところ、アウディ・サルーンの最大の魅力は、スポーティとラグジュアリーのバランスが優れていることにあるのだと思う。アウディ自身はこの3台のなかで、A7をいちばんスポーティな仕立てにしたといっているけれど、僕はA6が断然スポーティに感じられて、運転していて楽しいことこの上なかった。どれか1台を選ぶなら、値段もいちばん安いA6にしたい。
齋藤 いちばん小さいA6でも全長が4.93mもあることを思うと、いっそもっと大きくても構わないという気になってくる。車庫の問題はあるにしてもね。すると、乗り心地がほんとうにしなやかになったA8に僕は魅かれるな。スポーティというのとは違うと思うけれど、その気になれば振り回すこともできるしね。脚はじつによくできている。
村上 でも、さすがにSクラスより大きいのでは持て余すよ。A8の後に乗ると、決して小さくはないA6がキュッと引き締まって感じられる。A7は、見切りがあまりよくないから、実際以上に大きく感じられる。
齋藤 それにしても2t近いクルマを活発に走らせる3Lエンジンは、ダウンサイジング時代の模範生だね。“技術による先進”の面目躍如。3台がこれほど魅力的なのは、このエンジンに負うところが大きいよ。

A8 3.0TFSI クワトロ

同じエンジンを積んだA6とA7とA8、ベスト・チョイスはどれ?
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(2012年1月号掲載)


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