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桜とともにカブリオレが来た!


5年ぶりにフル・モデルチェンジされた9-3カブリオレ
5年ぶりにフル・モデルチェンジされた9-3カブリオレ。
全長×全幅×全高=4635×1760×1435mm。
ホイールベース=2675mm。車両重量=1640kg。


エンジン長期テスト・フリート・リポート2004

新車価格 598.5万円
導入時期 2004年3月
走行距離 9621km(導入後3947km)



サーブのお家芸であるカブリオレ・ボディの完成度やいかに?
四季を通じたテストがスタート。
文=荒井寿彦(本誌) 写真=神村 聖


大人2人が余裕をもって座れる後席
大人2人が余裕をもって座れる後席。前席はシートベルト一体型。(上)軽量化のためマグネシウムの骨を持った幌。6本のブレースによりピンと張る。(下)
欧州で人気のカブリオレ

 ENGINE長期リポート艦隊に初のスウェーデン車、サーブ9-3カブリオレが加わった。
 担当者が初めてこのクルマのステアリングを握ったのは、昨年10月、八ヶ岳のホテルを拠点に開かれた試乗会でだった。鮮やかなライム・イエローに塗られた外観に一目惚れし、ビーナスラインではしなやかな乗り心地に感動、紅葉を眺めながら、このまま東京まで帰りたいと思ったのをいまでもハッキリと覚えている。
 仕事柄、多くのクルマに試乗する機会が多いが、心底欲しい、と素直に思えるクルマはそう多くない。また、欲しいと思うスポーツカーは4人家族のネガになったりして、ピッタリくるのはなかなかないが、このクルマなら“ファミリー・オープンカー”として十分使えるのではないかと思った。
 そこで一計を案じて、日本GMに9-3カブリオレの長期貸与テスト用企画書を提出、願いかなって八ヶ岳の試乗会で乗った個体と同色の1台が手元にやってきたのである。これから1年間、4人乗りオープンカーの9-3カブリオレが実用車として、そしてファン・カーとして、どんなカーライフをもたらしてくれるのか、じっくりテストしていきたい。とはいえ、サーブに限らず4人乗りオープンカーは極めて少数派だ。しかも、ことサーブとなると、全体でも03年の国内新車登録台数はわずか782台。前年比31.9%減と落ち込みが激しい。日本におけるブランド力が弱く、03年2月に発売された新型9-3スポーツセダンも苦戦しているようだ。日本GMは9-3カブリオレをこの状況のカンフル剤と考えている。サーブのあか抜けたスポーティなイメージを牽引するこのクルマで、日本でもサーブが注目されることを狙っているのである。これは日本GMの勝手な夢ではない。
人間工学に基づいてデザインされたインテリア
人間工学に基づいてデザインされたインテリア。操作系のタッチはソフト。(上)ホイールのデザインはマイケル・マウワー氏。タイヤは225/45ZR17。(下)
 なぜなら、いま欧州では高級SUV市場とともに、プレミアム・カブリオレ市場が伸びているからだ。欧州におけるこの市場は、98年と比べて50%以上も拡大。日本GMによれば、なかでもサーブ9-3カブリオレはスウェーデン、イギリス、オランダで、この市場のトップ・シェアを誇るという。リッチで強い個性を求める人に売れているそうだ。
 日本も個性化の時代。サーブ9-3カブリオレの未来は明るいと思う。それにはもうひとつ理由がある。
 02年9月、ストックホルムで開かれた9-3スポーツセダンの国際試乗会で、サーブはプレミアム・ブランドになることを内外に宣言、今後はBMW、アウディ、ボルボなどと、真っ向勝負すると胸を張った。
 その路線のもと、00年にスマート・ロードスターなどを手掛けたドイツ人デザイナー、マイケル・マウワー氏をメルセデス・ベンツから引き抜き、新しいブランド・デザインを構築しようとしている。ここにきてスバル・インプレッサをベースにした9-2、シボレー・トレイル・ブレイザーをベースにした9-7など、マウワー氏の手腕によるニューモデルが次々と発表されているのは、ご存知の通り。  このリポートでは9-3カブリオレの実力をはかるほかに、変貌するサーブの実態にも迫りたい。
1カ月で4000km

 9-3のエンジンは2リットル直4ターボのみだが、過給圧の異なる2グレード、リニア(175ps)とエアロ(210ps)が用意されており、テスト車にはよりスポーティな味付けがされているエアロを選んだ。やっぱり、パワーはあるのに越したことはない。
 価格は598.5万円。これだけだせば、メルセデス・ベンツC240 4マティックやBMW525iが買える。4座オープンにこだわったとしても、あと30万円足せば2.4リットルV6のアウディA4カブリオレに手が届く。これらに勝る魅力とは何か? これからのリポートでそれを探っていきたい。
 導入後の走行距離は1カ月で4000km。使い始めての印象はとてもいい。
オール・アルミ製2リットル直4ターボは最高出力210ps/5300rpm、最大トルク30.6kgm/2500rpmを発生する
オール・アルミ製2リットル直4ターボは最高出力210ps/5300rpm、最大トルク30.6kgm/2500rpmを発生する。ボア×ストロークは86mmのスクウェア。
 まず、実用域のトルクが豊かで扱いやすいエンジンが毎日の通勤を快適なものにしている。わずか2500rpmで最大トルク30.6kgmを発生する2リットル直4ターボは、セダン比160kg増の1640kgのボディをスムーズに加速させる。高回転でのパンチはさほどでもないが、必要なだけスーッと速度を上げ、サッとクルージングに移るような走り方にはピッタリである。エアロといえども、過給圧は0.85バールに抑えられていて、ターボの立ち上がりが穏やか。これも、スムーズな走りの印象を強めている。アイシンAW製5ATはシフト・ショックが小さく、変速プログラムも適切だ。
 乗り心地は街中では固め。速度を上げるとフラット感が増すスポーティな味付けである。路面を確実にとらえるダンピングの効いたサスペンション、リニアより10mm低い車高、エアロ・パーツの恩恵で、高速道路では文字通り矢のように進む。
 セダンをベースとしながらも補強を徹底、ボディ構造の50%以上が専用設計となる9-3カブリオレゆえ、ゆるい感じはまったくない。ねじれ剛性はポルシェ911カレラ4Sカブリオレと同値というから驚きだ。
幌カバーの動きは独特で、水平に持ち上がってからトランクと並行に移動する
幌カバーの動きは独特で、水平に持ち上がってからトランクと並行に移動する。密閉度が高く、荷室容量も稼げるという。

 高速道路ではいまのところ、幌を上げて走っている。オープンにするとサイド・ウィンドウを上げていても風の巻き込みが強烈なのだ。アクセサリーのウィンド・ディフレクターをつけるつもりだ。もっとも、電動油圧式トップの開閉所要時間はわずか20秒。30km/hまでなら操作可能なので、簡単に開け閉めできる。ちょうど桜の季節だったので、オープンカーの素晴らしさを満喫した。
 月間平均燃費は8.16km/リットル。箱根にも行ったが、ハンドリングについてはあらためて報告します。
 
 
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