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日産へ帰っていったスカイライン。





新車価格 380.1万円
導入時期 2007年4月
走行距離 6198km




不都合な真実を忘れそうになる。


日産スカイライン350GTが帰っていった。
わずか6カ月の間ではあったけれど、上質な味わいを楽しめたことに感謝。
文=齋藤浩之(本誌) 写真=小野一秋

贅沢な移動道具
 6カ月の長期貸与期間を満了してスカイライン350GTが編集部から去っていった。
 走行距離6198km。オンボード・コンピューターが表示した数字によれば、その間の平均走行速度は33.4km/h。平均燃費は6.5km/リッターだった。東京郊外と都心との往復と、取材伴走が中心の使い方で、優にその半分以上が高速道路を使ってのものだったにもかかわらず、一方で激しい渋滞で過ごしたぶんがいかに平均速度を引き下げているかを、実感する数字だった。燃費は、排気量3.5リッターの6気筒エンジンに自動変速機の組み合わせとしては、良好な結果だったと思う。かつて同じように使って長い距離を走り込んだ排気量3.0リッターのクルマの示した燃費は6.0km/リッターだったからだ。スカイラインのATが5段型であるのに対して、そのクルマは事実上オーバードライブをもたない4段型であったし、エンジンの基本設計もはるかに旧かった。しかしながら、優れた空力設計と高回転域常用時の比較的良好な燃費特性のおかげで、そのクルマもクラス水準にそう後れをとらない燃費性能を見せての数字だった。車輌重量はスカイラインのほうが若干とはいえ大きいことも考え合わせると、それより1割弱ほど優れた値を示したというのは、最新設計の強みといっていいかと思う。
純正品でも楽しめる優れた音響システム。
クルマそのものの本質的な部分以外でもっとも嬉しかったのが、純正オーディオの質の高さだった。個人的な感想では低音域がもう少し軽やかで速いものだったらとは思ったけれど、低域を少し絞り、高域を若干持ち上げることで対処した。CD音源を圧縮してHDD内に圧縮フォーマットで溜め込める機能(オプション装備)もありがたかった。圧縮ゆえの音質劣化もさほど気にならず、便利だった。購入時には真剣に検討すべき装備。
 ひとを乗せて運ぶ機械としての即物的な側面を淡々と振り返るなら、スカイラインとはそういうクルマだった。冷静に考えれば、その走行時間のほとんどがドライバーひとり乗車であったのだから、その運送効率を云々すれば、はなはだ不経済な乗り物だったということにならざるを得ないだろう。不都合な真実が水面下に収まりきらなくなったいまこの時の社会情勢にあって威張れるようなものでもない。でも、だからこそ、その非効率のなかにもたらされる、そのクルマならではの心の喜びが問われることになる。僕らはその1点に拠って立って、自動車を選び、ともに暮らすものだからである。スカイラインはまさにその喜びで、クルマ好きの期待に応える1台だった。


(写真左)高い走りの質感は、その足もとからくる。
高級車のそれに匹敵するスカイラインのスムーズな走行質感を文字通りの意味で支える足回り。十二分に奢ったロードホイールとタイヤの組み合わせは、真円度の高さも申し分なく、超偏平タイヤの本当の真価を日々実感させてくれるものだった。サスペンションのパーツやその支持剛性の高さあってこそでもある。質感の高い走りは、丁寧な運転を心がけようという気持ちを知らぬ間に醸成してくれる。ブレーキのタッチも良かった。
(写真右)メタリックな感触と上り詰めるパワー感。
3.5リッターのV6エンジンはパワフルかつスムーズ。まろやかというよりはメタリックな回転感が強かったけれど、きめ細かな感触を伴いながら、トップエンドまでシュンシュンと回るいいエンジンだった。6段、7段という多段型ATが多くなってきたなかで、スカイラインのそれは5段型にすぎないけれど、それだけにエンジンの素性をATでごまかすことはできない。スロットル開閉の制御プログラムは最初期型のままで通した。


「いいクルマだなぁ」の思い
 この6カ月の間、その初期型セダン350GTタイプSPに覚えた不満は、落ち着いて振り返ってみるに、どれもこれも容易に修正もしくは改良の行えるものばかりだった。その大半が電子制御のプログラムに関するものだったからだ。それ以外にぜひとも修正して欲しいと思ったのは、電動調整式シートの座面の角度調整代の少なさだけだった。これにしても、改良はそれほど難しくないはずである。機械そのものについても、エアコン用冷媒圧縮機がもう少し作動音の静かなものであれば、という1点だけだったのである。
 スカイラインは、その素性と走りの上質感というもっとも大切な部分で、いいクルマだな、とステアリングホイールを握るたびに思わせるクルマだったのである。
 
 
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