ENGINE online/エンジン オンライン

「富士ヒルクライム」に“再”チャレンジしてきた。


VOLKSWAGEN PASSAT VARIANT TSI COMFORTLINE
クリックすると拡大
VOLKSWAGEN PASSAT VARIANT TSI COMFORTLINE


新車価格 345万円
導入時期 2008年4月
走行距離 4450km



苦痛が喜びに変わる瞬間。


6輪車生活の第1弾は、6月1日に開催された自転車の
大イベント「富士ヒルクライム」のリポート。
文=塩澤則浩(本誌) 写真=難波ケンジ



 42号車が長期リポート艦隊に加わって2カ月とちょっと。オドメーターは4000kmを超えた。今月はちょっと多めで1900kmを走った。各部のアタリがついてきた3000kmを過ぎた頃から、乗り味が滑らかになって来ている。
 バランサーシャフトのおかげでもともと低振動だった1.8リッター直4エンジンは、さらにフリクションが減った感じだし、6段ATもスムーズさを増している。
 乗り心地の変化はもっと顕著で、サスペンションはしなやかさを増し、乗り心地がしっとりして来たことがはっきりわかる。段差を乗り越えた時も、新車時と比べるとショックの角が丸くなって、硬過ぎず柔らか過ぎない現在の乗り心地は絶妙と言っていい。そんなぐあいだから、最近は週末も42号車にばかり乗っていて、マイカーのフィアット・ムルティプラの出番がめっきり減ってしまったくらいである。


標高差1255m

 今月の走行距離が多めなのは、実はそれだけが理由ではない。自転車の練習で何度か富士山に通ったことも距離が延びたことに貢献している。なぜ富士山かと言えば、「富士ヒルクライム」に出場するためである。
 「富士ヒルクライム」は、有料道路の富士スバルラインを麓から富士山の五合目まで、距離にして24km、標高差1255mを一気に上る自転車レースで、4000人を超える自転車乗りたちが集まる人気イベントだ。実は昨年、自転車を始めたばかりの時にチャレンジして、途中でリタイアしたボクにとっては因縁のレースでもある。
 「初心者でも楽しめる余裕のある制限時間」という謳い文句を真に受けて、ろくな準備も練習もせずに出場した去年は、まるで難行苦行だった。入手したての10年落ち中古自転車のギアはどちらかというとハイギアードで、腹の出た脚力不足のオヤジが乗るにはキツ過ぎた。あまりの苦しさに顔が上げられない。下を向いたままゼイゼイ喘いでいるとメガネの内側に溢れるほど汗が溜まった。結局、楽しむどころか制限時間にも間に合わず、17km地点で足切りされるという最悪の結果に終わった。

スタート当日の天気はご覧のような快晴。雪の残る富士山がはっきり見える
スタート当日の天気はご覧のような快晴。雪の残る富士山がはっきり見える。
 あれから1年。今年もまた懲りずに「富士ヒルクライム」にチャレンジしてきた。今回は事前に同じコースを途中までだが何度か練習してみた。1年前と比べると少しは脚力がついたものの、やはりまだ辛い。そこで、スペシャライズド・ジャパンにお願いしてヒルクライムに適したローギア重視のセコイヤという入門モデルの試乗車を借りることにした。これで少しでも脚力不足を補おうという作戦である。
 レースが始まったのは6月1日、日曜日の午前7時。4000人がグループごとにスタートする。ボクは最終組で7時35分のスタート。ゴールの制限時間は10時45分だから与えられた時間は3時間10分だ。優勝を争うトップ・グループの目標タイムは1時間。時間切れでリタイアした人間がそう簡単にスーパー・サイクリストになれるはずはない。ボクの目標はあくまでも完走である。


(写真左上)午前7時にトップを切ってスタートするアスリート・クラスの様子。彼らの目標タイムは1時間。平均速度は24km/hということになる。1時間半を切ることができれば健脚として賞賛される。
(写真左下)オーバーペースにならないように慎重にスタートしたボク。来年はもっと腹をへこませなければ。


フォルクスワーゲン パサート・ヴァリアント TSI コンフォートライン
オーバーヒート

 大排気量のクルマがさしてエンジン回転を上げることもなく、高いギアのままスイスイと上る坂を、小排気量のクルマはギアを落として高回転で上る。ボクの場合もこれと同じだが、高回転でペダルを回し続けたらボクの心臓はあっという間にオーバーヒートするはずだ。時間をかけてでも心臓が悲鳴を上げない程度でだましだまし行くしかない。
 走り出しは呼吸がきつかったが、5kmを過ぎると安定してきた。スバルラインの最大斜度は約8%だが、8%もあればボクには激坂に見える。ここを越えれば楽になる、と自分に言い聞かせるしかない。この坂の上まで、このコーナーの先まで。急坂のたびに“終わらない坂はない”と念じるのだ。不思議なもので辛い所を越えた後はまるで下っているかのようにペダルが軽くなる。
 異変を感じたのは去年リタイアした17km地点で2、3分休憩した時だ。この調子なら制限時間内に上りきれる、と思って再び走り始めると、お尻から太股の裏にかけて激痛が走った。筋肉が悲鳴を上げている。練習不足を悔いても後の祭りである。標高が上がるにしたがって呼吸も苦しくなりペースがガクンと落ちた。救いは、去年は見ることができなかった眼下に広がる絶景だった。
 ゴールに着いたのは制限時間5分前の10時40分。完走者3972人中3907番目のゴール。苦痛が喜びに変わる瞬間だった。記録的には何の自慢にもならないけれど、屈辱的撤退から1年、その雪辱がはたせたことが何よりも嬉しい。

今回ボクと一緒に参加したプロ・ラリー・ドライバーの鎌田卓麻選手
今回ボクと一緒に参加したプロ・ラリー・ドライバーの鎌田卓麻選手。毎日ランニングを欠かさないというだけあって、自転車レース初体験で見事完走。2時間9分のタイムは立派。


フォルクスワーゲン パサート・ヴァリアント TSI コンフォートライン
(写真左)2人分のバイクと装備を積んでもまだ余裕があるパサート・ヴァリアント。リア・シートをたためば、フロント・タイヤをはずしたバイクが立てたまま2台積めることを発見。近々、車載用のスタンドを探そうと思っている。
(写真右)スペシャライズド・ジャパンからお借りしたセコイヤ・コンプ(27万4000円)。ワイドなギアレシオが特徴で、普段使いからレースまで対応する。
 
 
最新記事一覧
Driving Lesson
エンジン・ドライビング・レッスン
「エンジン・ドライビング・レッスン2017」の受講生募集を開始します。今年の開催は全3回…
NEWS
LOTUS EVORA GT410/ロー…
ロータス・エヴォーラ・スポーツ410の後継モデル、GT410スポーツが上陸した。
NEWS
VOLVO V40/ボルボ V40CA…
ボルボV40の限定車、T3ナビ・エディションが登場した。
NEWS
BENTLEY BENTAYGA/ベン…
ベントレー・ベンテイガに、これまでのW12、V8ディーゼル、そして今回試乗記をお届けしている新しいV8…
NEWS
TOYOTA VELLFIRE/トヨタ…
トヨタ内はもとより、いまや日本のミニバンの頂点に立つアルヴェルこと、アルファード&ヴェルファイ…
NEWS
Renault CAPTUR/ルノー…
2017年のジュネーブ・ショウで発表された新型キャプチャーの日本での販売が開始された。
NEWS
Alpine/アルピーヌCAR P…
日本では初回限定車すら販売されていない新生アルピーヌの新型車A110だが、すでに初回限定車が完売し…
NEWS
ペンタゴン・ペーパーズ…
世界で最も有名な映画監督、スティーヴン・スピルバーグの作品はざっくり2つのジャンルに分けること…
NEWS
FERRARI PORTOFINO/フェ…
カリフォルニアTの後を継ぐ新型車が、その優美な姿を見せてくれた。



バックナンバーページの定価表記について
「ENGINE 2014年3月号」以前の定価表記は、発売時の定価になっております。
予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



▼長期テスト車 最新5件
 価値あるクルマで価値あるモノを探しに行く
 大反響につき、「LEAF to Home」のリポート第2弾。
 北軽井沢に住まう
ゴルディーニ遣いを訪ねる。

 スモール・フレンチ、1年3カ月の任期を終えて退役す。
 フランス車との初めての生活が始まります。