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大反響につき、「LEAF to Home」のリポート第2弾。


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横浜のみなとみらいにある積水ハウスの実証実験住宅「観環居」。本誌が発売された時にはEVパワーステーションも稼働しているはずだ。


新車価格 406万350円
導入時期 2012年3月
走行距離 7977km

いまここにある未来


日産リーフの新兵器。自宅用の充・給電器、
「E V パワーステーション」の賢い使い方を紹介します。

文=塩澤則浩(本誌) 写真=望月浩彦 取材協力=積水ハウス株式会社「観環居」


 上の写真は、横浜のみなとみらいにある「観環居」という積水ハウスの実証実験住宅である。ここにも、先月号で紹介したのと同じEVパワーステーションが設置されたというので行ってみた。
 今月号の原稿締め切り直前だったその日、横浜では15mを超える強風が吹いた。不気味な音を立てながら、強い風が植栽を大きく揺らす。ふと脳裡をよぎったのは、最近、各地で猛威を振るう竜巻のことだ。午後6時半過ぎ。辺りが暗くなり始めると、不安はいやが上にも増してくる。
 そんな時、家の灯りにホッとするのは人間の本能だろう。この日に設置されたばかりのEVパワーステーションは、まだテスト前ということもあって、撮影だけにとどめてエンジン・リーフとの通電はしていない。それでも、57号車が収まる観環居のガレージからもれる暖かい光は、ザワつく心を落ち着かせてくれた。テストが完了すれば、この光をリーフで灯すことが出来る。そればかりか、エアコンも冷蔵庫も電子レンジも、電気製品のほとんどすべてがリーフ1台の電力でまかなえるのは驚くばかりだ。
 地球規模での気象環境の変化もあるのだろう。日本ではあまり耳にすることがなかった竜巻が発生したり、最近は特に多い、記録的な集中豪雨やゲリラ豪雨が起こると、停電が心配になる。そんな時でもリーフとEVパワーステーションがあれば、普段通りの生活が可能なのだ。


上の写真が、ニチコン株式会社が製造するEVパワーステーション(※実際の販売仕様とは異なります)。幅650×高さ781×奥行350mmの大きさで、車庫に置いても邪魔にならない。リーフとつないで最大出力6kWの電力を自宅に供給でき、日常生活に必要な家電製品を同時に稼働できる。200Vの普通充電でフル充電するためには8時間必要だが、倍速充電が可能なEVパワーステーションなら4時間で完了する。事前に契約アンペアを設定することで、充電中のブレーカー落ちを回避する機能も装備しているのは嬉しい。
節電という新たな課題

「走行中にCO2を出さない、ゼロエミッションだというのがリーフの初期の一番バリューでした。もちろんいまでも重要な課題ではあるんですが、それが昨年の震災によって、CO2問題とともに電力マネージメント、つまり節電という非常に大きな課題を突き付けられたんです。社会貢献という意味も含めて、“リーフ・トゥ・ホーム”をいち早く出さなければならない。今年の夏に間に合わせる、というのが社内の大号令だったんです」

上の写真は57号車に接続したところ。さし込みはCHAdeMO式。


 と語るのは、日産のマーケティング本部でEVを担当する長谷川浩嗣さんだ。今回はリポートの第2弾ということもあり、日産グローバル本社で詳しく話を聞いた。
 興味深かったのはリーフの蓄電能力とそれを生かした賢い電力マネージメントの話だ。リーフのバッテリーには24kWhの電力を溜めることができる。24kWhがいったいどれほどなのか、フツーはなかなか想像できない。
「家の大きさや設備にもよりますが、一般のご家庭の1日当たりの消費電力を平均すると10kWhと言われています。万一停電してもEVパワーステーションがあれば、約2日間はリーフからの給電で生活できます」「何だたった2日間か」と思うなかれ。電気を溜めることほど難しいことはない。その証拠は市販されている蓄電池の値段を見ればわかる。
「市販の蓄電池は、だいたい2kWh程度で100万円はするので、単純計算になりますが、リーフの蓄電能力は1200万円の価値があることになるんです」
 長谷川さんによれば、これまで家庭用に大容量の蓄電池を備える発想自体がなかったこともあり、そもそも24kWhの容量のモノは存在しないのだという。考え方を変えれば、クルマとして使っているリーフが、EVパワーステーションがあれば、車庫にある間は1200万円相当の蓄電池になるというのだから驚く。
上の写真はEVパワーステーションの操作画面。充電開始時刻の設定や充電率、給電開始及び停止時刻、給電時のバッテリー残量率などの設定が可能。EVパワーステーションは日産のディーラーで設置工事会社を斡旋してくれる。また詳しい情報は、製造元のニチコンのウェブサイトhttp://www.nichicon.co.jpをご覧いただきたい。
 さらに長谷川さんは、電気が賢く使えることも力説する。
「電力会社が設定している時間帯別の料金プランを利用すると、電気代が安くなる夜間に充電して、料金が高くなる時間帯はリーフに溜めた電気を使って電気代を節約することが出来ます。契約条件やリーフの使い方にもよりますが、1日で213円、平日毎日活用したとして1年で5万2700円の電気代が節約できると試算しました」
 平日は昼夜ともEVパワーステーションに接続されていると仮定すれば、6年間で約31万6000円の節約になる計算だ。EVパワーステーションの価格は、経済通産省の補助金制度を利用すると、標準の工事費込みで33万円(税込)。早ければ6年で設備費が回収できることになる。
 さらに、節約は電気代だけに留まらない。昼間はリーフの電力を使用することで、需要が高まる日中に電力消費を緩和するピークシフトにも貢献できる。
日産のマーケティング本部でEVを担当する長谷川浩嗣さん。もちろんリーフのオーナーで、毎日、荻窪から横浜までリーフで通う。往復70kmの距離はエンジン・リーフと同じだ。
今年の夏も昨年と同様にすでに節電の呼びかけが始まっているいま、生活に不便や負担をかけることなく社会に貢献できるというわけだ。ちなみに日産は、大阪府と大阪市の官公庁施設に50台、大阪府内の民間向けに200台のリーフとEVパワーステーションを2013年3月まで無償提供している。今後も電力需給対策が求められている地域には「リーフ・トゥ・ホーム」による節電対策の支援を行う予定だという。日産は本気なのだ。


暮らしが変わる

 これまでリーフに乗ってきて、正直に言って、給電や節電という意識はほとんどなかった。それがEVパワーステーションの存在を知ってから変わりつつある。自宅にあれば家計の助けになるのはもちろんだけれど、たとえば住んでいる地域が停電した時に個人経営の病院にリーフとEVパワーステーションがあったら心強い。それが街の小さな商店だっていい。僕たちの暮らしは間違いなくいい方に変わるはずだ。小さいけれど、「リーフ・トゥ・ホーム」にはそんな大きな力があると思う。


(2012年9月号掲載)



 
 
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予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



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